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第三十話 アーツ

 


 五十嵐さんが協力してくれる事は、灯里に話した。勝手に決めてしまって悪かったと謝ると、問題ありませんと言ってくれた。灯里的にも、五十嵐さんが居てくれた方が心強いらしい。


 あっという間に平日が終わり土曜日になり、俺達はダンジョンに向かうために朝からギルドを訪れていた。五十嵐さんと合流し、準備を整えてからダンジョン三層にやってきた。

 周りに人がおらず三人になったところで、突然五十嵐さんが灯里に頭を下げる。


「星野さんの事情を勝手に調べたこと、すみませんでした」


「別にいいですよ。ちょっと調べれば分かることですし。それより五十嵐さん」


「なんでしょう」


「私のことは名前で呼んでくれませんか?仲間パーティーにもなったんだし、大人の五十嵐さんから名字で呼ばれるとむずかゆいんですよね」


「分かりました。では灯里さん、私のことも楓とお呼びください」


「了解です!これからよろしくお願いしますね、楓さん!」


 二人の距離が縮まるのを見ていた俺は、うんうんと安心したように頷いていた。そんな俺にも五十嵐さんは名前で呼んで下さいと頼まれたけど、できたらね……と濁しておく。なんだか五十嵐さんを名前で呼ぶのって抵抗があるんだよな。年下だし後輩なんだけど、上司っぽい雰囲気があるから気軽に呼べない。


 探索する前に、俺達はステータスを確認することにした。前回は急いで帰ったから、確認出来なかったんだよな。


「ステータスオープン」


 久しぶりに唱えると、目の前にウィンドウが現れた。


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 許斐 士郎 コノミ シロウ 26歳 男 

 レベル:9

 職業:剣士

 SP:60

 HP:210/210 MP:100/100

 攻撃力:230

 耐久力:185

 敏 捷:180

 知 力:170

 精神力:200

 幸 運:180


 スキル:【体力増加1】【物理耐性1】【炎魔術2】【剣術2】【回避1】【気配探知1】

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 使用可能なSP 60


 取得可能スキル 消費SP

【筋力増加1】 10

【体力増加2】 20

【物理耐性2】 20

【剣術3】   30

【気配探知2】 20

【回避2】   20

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 おお、いつの間にかレベルが9になっているじゃないか。【収納】スキルを取得できる10レベルまで後1か。

 ここでスキルを取ってしまうとレベル10になった時に【収納】スキルを取得できるSPが足りなくなってしまうが、俺は早く強くなりたかったから、SP50を使って新たに【剣術3】と【物理耐性2】を取得した。


 理由は、【剣術3】から剣士専用の『パワースラッシュ』というアーツを使えるようになるからだ。MPを使用して、大ダメージの斬撃を繰り出すことが出来る。因みに魔法剣士とかだったら属性を付加したスラッシュを覚えるらしい。


【物理耐性2】を取ったのは、四層に上がってダメージを受けることが増えたからだ。今のところ骨折とかの重傷はなっていないが、ロックボアの突撃やゴブリンの打撃を喰らってしまう事があってめちゃくちゃ痛かった。痛みがあると、反応が遅れてしまう。だから【物理耐性2】を取得した。

 本当は【炎魔術3】が欲しかったんだけど、まだ取得出来ないから仕方ない。


 灯里もレベルが9まで上がっていたようだ。残念なことに五十嵐さんはまだ27のままみたい。やっぱりそれぐらいのレベルだと、低階層のモンスターではレベルが上がりにくいのだろう。

 ステータスの確認を終えた俺達は、四層への階段を探しつつ三層の探索を始めた。


「ロックボア2、ウルフ1、スカイバード1」


「「はい!」」


 三層では、五十嵐さんは最低限の指示しかしない。余り頼ってしまうと、俺達の状況判断能力が育たないからだそうだ。基本的に自分で考えて戦うようにしている。

 俺がダッシュすると、灯里はスカイバードに向けて炎属性を付与した矢を放ち、一撃で屠っていた。負けていられるかと、接近してきたウルフに剣を叩き込む。


「キャン!?」


(遅い!)


 四層のモンスターで慣れてしまったからだろう。ウルフの動きは単調で遅い。見切った上で、ウルフに斬撃を与えることが出来た。さらに追い打ちを仕掛けて倒した後、五十嵐さんに突撃しようとするロックボアへ側面から強襲する。


「パワースラッシュ!」


「ブゴオ!?」


 発動キーである技名を叫んだ瞬間、剣が光り輝き会心の斬撃をロックボアに浴びせる。その破壊力は凄まじく、一撃で仕留められた。


「フレイムアロー!」


 遠くから声が聞こえた途端、火炎の矢がロックボアの頭部に突き刺さる。轟々と頭部が燃えると、すぐに息絶えポリゴンとなって消滅する。灯里のアーツもかなりの威力だな。それにカッコイイし。


「お二人共、アーツの調子はいかがですか?」


「これ、凄い使えるよ。苦しい展開の時とかに助かるんじゃないかな」


「うん……一撃で倒せるのって魅力だよね」


「アーツはダンジョンの中でも魔術同様、醍醐味の一つですからね。戦闘で役立つのは勿論、単純に楽しいです」


 微笑みながら告げる五十嵐さん。そうなんだよ、アーツってなんか必殺技っぽくてかっこいいんだよな。スキルレベルが上がると、もっと強いアーツを覚えられる。上級冒険者の動画とか見ていると、それはもう漫画レベルのド派手なアーツを繰り出しているのだ。俺も早くあんな技を使えるようになりたい。


「ただ、使い過ぎるとすぐにMPを失ってしまいますから気を付けてください」


「はい」


 それから俺達は、三人での連携やアーツの練度を高めつつ、四層の階段を発見した。昼休憩を取り、灯里が作ってくれた弁当を食べた後、再び四層に足を踏み入れたのだった。



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