第1003話 ダム計画
「大殿様、大嵐の被害が領内多数出ております」
秋の台風が過ぎ去った次の日、早馬が知らせてきた。
「茶々、わかっているな」
「私だけじゃなく皆がもうわかっていますとも、救助隊をお初が、炊き出し隊を桜子が取り仕切っています。真琴様はこう言う災害になると自分の体が壊れるまで働くので、城にいてください」
「あぁ、すまん、どうもむきになってしまうからな。方々の城を領民に開放して寝場所の確保も忘れるなよ」
「わかっていますから、それより、山内と藤堂に命じて河川の改修を命じないと」
「そう言うことは留守居役である高琴の役目だが、高琴に電信でそれとなく命じてくれ、あと安土の信琴にも皇帝の命で同じ事をするようにと」
「はい、わかっております」
大御所政治にならないように発言に気をつけながら隠居生活をしている。
大日本合藩帝国はあくまでも皇帝が主の政治体制でなくては。
皇帝が俺の孫でも。
茶々が指示通りに各方面に指示をだす。
「真琴様、高床式の奨励のおかげで住宅の被害は少ないとのこと、ただ、田畑が。高琴が年貢をなしにするとふれを出すと」
「うむ、仕方ないこと、農政改革をしている幸村の息子を奉行として土砂の撤去を命じるよう伝えてくれ」
常陸藩には真田幸村の三男が分家として残り、農政改革を続けている。
指示を出して地図を見てしばらく考えていると、佳代ちゃんが、
「なんでダム建設しないの?そのくらいの技術はもうあるじゃん、なんなら私が出向くけど?」
「ダムねぇ~・・・・・・作らないとなとは思っていたけどさっ、ダムって必要最低限とかにしないと色々問題出てくるじゃん。大雨から海に流れ出る栄養分を含んだ土砂が海を豊かにしたり、流れ出た土砂が砂浜を形成する。ほら、俺たちの時代の砂浜浸食の一つの原因とも言われていたじゃん、ダム」
「確かにそれは・・・・・・でも、災害を食い止め、水の確保、そして水力発電には必ず必要よ。自然との調和はわかるから、小型ダムの建設を考えたら?それと地下貯蔵タンクとか」
「あ~東京の地下に作られた神殿みたいなやつ?」
「そうよ、この時間線の人では想像も出来ない地下ダムなら、川の流れも変えるのは最小限だし、美しい渓谷も保てる、ちょっとお金と労力が問題だけど」
「・・・・・・日本500年計画の一つに入れておけば、ゆっくりだけど出来るかな?取り敢えず、利根川、小貝川、鬼怒川で試してみるか?」
「そうね、計画の骨子を作ってみるね」
地下ダム計画を始める。
俺の美的感覚から避けていたダム・・・・・・やはり作らないと。
日本の川は急流過ぎて一度大雨となれば甚大な被害が・・・・・・。
だが、ダムだらけにすると生態系だけでなく地形も大きく変わってしまう。
バランスが難しい。
難しい・・・・・・。
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