目覚めて初めて見たものは?
「こつん、こつん。」
何かが気を失い倒れている葉月の頭を突いている。
「・・・・・・う・・・・・・うう。」
葉月は目を覚ました。
「こつん、こつん、コン! コン! コン! つん! つく! つん!」
更に何かが葉月の頭を激しく突く。
「痛い!? 痛いじゃないの!? 何するのよ!?」
起き上がる葉月。そこで見たものは?
「ニワトリ?」
「コケコッコー!」
目の前には鶏がいた。
「なぜ!? 鶏が!? ・・・・・・。」
疑問を抱いて葉月は言葉を失った。
「ごめん。もう一回、寝るわ。」
そして葉月は二度寝した。
「こつん。こつん。」
そして再び葉月の頭を突くニワトリ。
「zzz、zzz。」
何も見なかったことにしたい葉月は狸寝入りを決め込む。
「こつん、こつん、コンコンコンコン!」
スローで突いても起きないので、激しく突くことにしたニワトリ。
「痛い!? やめろ!? 頭に穴が開くでしょう!?」
突かれる痛さに耐えきれなくなった葉月は目覚めた。
「コケコッコー!」
葉月に朝が来た。得意げに鳴くニワトリ。
「それにしても、ここはどこ?」
周りを見渡しても見覚えのない中世ヨーロッパ風の世界ではなく、古文的な日本の世界だった。
「それに私は葉月。あなたは誰?」
「コケー!」
ニワトリに話しかける葉月。
「どこからどう見てもニワトリよね!?」
「コケー!」
だってニワトリだもの。
「おまえの名前がないと呼ぶときに大変よね。なんていう名前にしようかしら?」
葉月はニワトリの名前を考え始める。
「コケー! って鳴くから、コケコケ! ・・・・・・インパクトに欠けるわね。」
16才の女子高生といえば、妙な所が気になるお年頃。
「お腹も空いてきたし、何か食べたいな・・・・・・。」
葉月はお腹ペコペコで死にそうだった。
「おまえ・・・・・・美味しそうね。」
ニワトリが食べ物に見えてきた葉月。
「コケ!?」
身の危険を覚えるニワトリ。
「そうだ! お前の名前は、チキンよ!」
こうしてニワトリの名前はチキンに決まった。
「コケ?」
複雑な心境のチキン。
「良かったね。チキン。」
「コケー!」
「あなたも自分に名前ができて喜んでいるのね。」
名前を付けて良かったと思う葉月。
「それでは・・・・・・いただきます!」
笑顔でチキンを食べようとする葉月。
「こ、こ、こ、コケ!?」
寝耳に水のチキン。
「タラン?」
その時、葉月の視界が赤くなった。
「血!? 血が出てる!? ギャアアアアアアー!?」
チキンに突かれまくった脳みそから血が流れている。
「コケ!?」
葉月は目を回して気絶してしまった。
「見せてもらおうか? たかが人間の16歳の女子高生に世界が救えるのか、どうかを。」
その様子を上空から見ている者がいた。
「久しぶりにお家に帰ろうっと。アハッ!」
真理亜だった。真理亜は空を飛んで去って行った。
つづく。