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匠の消防士  作者: oga
消防士編
5/25

火災

 19:15分。

俺がトイレで用を足している真っ只中、事態は起きた。

普段、絶対に鳴ることの無いベルが鳴る。

どんなに爆睡してても絶対に起きるくらい、けたたましい音だ。


(……マジか!)


 ションベンしてる場合じゃねぇと、慌てて備え付けてあるパソコンの画面を見やる。

現地で火災が起こると、その建物に付いている火災感知器が作動し、ここに信号を飛ばす。

ちなみにパソコン上では火災が発生した箇所を表示しており、連動してハゲ、アインシュタインの携帯にもアラームが鳴るよう設定されている。


「発生現場は…… オイオイオイオイ!」


 今夜、絶対に火災があってはならない場所。

モニターには地図が表示され、焼き肉大王が赤く点滅していた。


「ざけてんじゃねぇぞ……」


 俺は壁に掛けてある消防服に身を包み、ポンプ車の鍵を手にした。








 ポンプ車に乗り込み、サイレンを鳴らしながら現場へと急行。

ハゲ、アインシュタインには直接現場に向かうよう電話で伝えた。


(クソッ、急げ急げ!)


 今夜この時間、丁度おやっさんが焼き肉大王で飯を食っていたハズだ。

もちろん、他の街の人らだっているし、みんな顔見知りで家族みたいなもんだ。

だが、特におやっさんが心配だ。

大分年がいってるし、火に巻かれたら一環の終わりだろう。


(焦るんじゃねーぞ、俺)


 赤信号を突破して、警報から約7分で現場に到着。


「……!」


 路肩に車を止めると、焼き肉大王の前に人だかりが出来ていた。

建物は1階と2階。

内部はかなりの広範囲まで火が回ってるように見える。


「危ないからどいて!」


 俺は声を張り上げ、ポンプ車の脇に設置してあるホースを手に取り、消火栓を探した。

伊達に28年もこの街にはいない。

体が勝手に動いて消火栓を探し当てると、そこにホースを繋ぐ。

ポンプ車に戻り、ポンプの起動ボタンを押して水を汲み上げると、ハゲとアインシュタインが合流。


「オイ、急いで防火服に着替えろ!」


 服は車に積んである。

すると、ハゲが言った。


「何でこんな火の回りが早いんスか!?」


 ベルが鳴ってからものの10分で建物内部を焼き尽くす勢いの炎。

俺は、さっきの地震が関係している、と推測を述べた。


「さっきの地震で老朽化してたガス管が破裂したんだろう。 消防点検の時に指摘項目で上げてたハズだが、まだ改修されてなかったんだ」


「クソッ……」


 火災が発生した際、火が延焼する前に速攻で消すのがセオリーだが、これでは全焼は免れないだろう。

とにかく、時間との勝負だ。


「ハゲ、俺に付いてこい。 中の人らを救助に向かう」



 

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