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匠の消防士  作者: oga
消防士編
4/25

地震

 今年は2019年12月30日。

そしてお年玉袋とくれば、もはや目的は一つしか無いだろう。


「……お孫さん、ですか?」


「娘の子供がな、これから来るんだよ。 お年玉くれぇ準備しとかねぇと、ケチ臭い爺さんだと思われちまうだろ?」


 目尻にしわを寄せて、楽しそうに笑うおやっさん。

おやっさんの奥さんは随分前に亡くなっていて、ずっと独り身だ。

だから、年に一度、みんなが集まるこの日は何より大切なんだろう。


「でも、おやっさん元気そうで良かったですよ」


「たりめーだろ。 俺ァまだまだ現役だぜ? へへへ」


「……あ、所で、このアパートに集まるんですか?」


「何で話題逸らしてんだよ。 ……娘がこっちに顔出して、そっから駅前の焼き肉大王で飯食う予定だ。 んで、娘んちで元旦を過ごすのさ」


 ……俺たち消防士は元旦も関係なく勤務だから、一般的な正月ってのはもう随分過ごしてない。

まあ、それはさておきだ。


「じゃ、勤務の途中なんで。 あと、火の元には十分注意して下さいね」


「わーってるよ」








 16:50分。

十数件のお宅訪問をこなし、俺は詰め所に戻って来た。

そこで、簡単な点呼を始める。

テーブルを囲んで、何か報告することがあるか、確認を取る。


「報告ある奴いるか?」


 ハゲが首を振る。


「特には」


 アインシュタインも頷く。


「俺も無いです」


「っし、したら解散にすっか」


 2人が倚子から立ち上がろうとすると、突然、グラグラと建物が揺れた。


「地震か?」


 ギシギシ、ギシギシ、としばらく横揺れが続いた後、ようやく収まる。

即座に俺はテレビを付け、震源地と震度のチェックをする。

番組の最中、画面が切り替わりニュースキャスターが速報を伝えた。


「只今、千葉県沖で震度4の地震を計測したとの連絡がありました。 近隣の住人は津波に注意して下さい」


(結構でかかったな。 でもまあ、支障はないか)


 ハゲが小さく舌打ちする。


「ったく、帰ろうとした時にこれっすからね。 嫌がらせでしょ」


 俺は、まあ大丈夫だろ、と2人に帰るよう促した。

だが、これから2時間後に、未曾有の事態が起こるとは予想だにしていなかった。


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