最終決戦 VS只野
「只野さん!」
只野は、俺と同じプリ○ュアの剣を手にしている。
只野は、その剣を腰に差したまま、鳥居を潜ってこちらに近づいてきた。
「ダイキ、どうやら俺とお前はサシで決着をつけねーといけない運命らしい」
「その剣、一体どうやって手に入れたんですか?」
「ラノベを50冊買ったんだよ。 したら、女の店員が好きなだけ持ってって下さいって渡されたんだ。 残り5本くらいあったけど、全部福袋に詰めてたぜ」
なんだそりゃ!
選ばれし者だけが使える聖剣じゃなかったのかよ……
只野は賽銭箱の前までやって来ると、一万円札を取り出し、躊躇うこと無く入れた。
ハゲが思わず、あっ、と叫ぶ。
「勿体ない!」
「っし、勝負だ、ダイキ」
「只野さん…… 分かりました、俺も本気、出します」
俺は、財布の中身を確認した。
しかし、500円しか残っていない。
「あ、アインシュタインかハゲ、一万貸してくんねーか?」
「ちゃんと返してくれるんですか?」
「たりめーだろ! つか、空気読めよ。 今500円じゃ、でけぇ消火器しか出ないんだぞ。 白けるだろうが」
「……分かりましたよ」
俺は、アインシュタインから一万円を受け取り、泣く泣く、賽銭箱に入れた。
それを確認し、只野が俺に向き直る。
「大人しく隠居生活してりゃあ良かったのにな」
みなの視線を感じ、あ、ここ、格好付けて良い場面かな、と俺は思った。
斜め45度の角度で、相手を睨む。
そして、結構前から考えてた決めゼリフを口にした。
「アンタ、前に言ったよな。 後10年で定年まで逃げ切れたって。 へっ、逃げるつもりなんて毛頭ねぇよ。 俺は、肩書きは失っても生涯消防士をやっていくつもりだ。 ここに消防士の心が入ってりゃあ、死ぬまで消防士なんだよ!」
ドン、と胸に拳を叩く。
アインシュタイン、ハゲが小声でその調子です! と囁く。
只野の剣が赤く光ると、大型のバイクに姿を変えた。
それに跨がり、エンジンを吹かすと、車輪から炎が吹き出す。
「付いてこい、早くしないと街が火の海だぜ」
俺の剣の方も、青い光に包まれる。
それが同じくバイクに姿を変えると、俺は急いで乗り込み、只野を追った。