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匠の消防士  作者: oga
消防士編
1/25

プロローグ

(今日も暇だなぁ~)


 俺こと、ダイキ(50)は、昼間っからテレビをつけ、欠伸をかみ殺していた。


「ダイキさん、今朝の筋トレ終わりましたよ。 腹筋30回と腕立て伏せ30回」


 今話かけてきたのはハゲ(30)

本名が禿鷲実だからハゲだ。

俺はオウ、ご苦労、と片手を上げて返事をした。


「じゃあまあ、昼入ってくれや。 んで、午後からは世間様アピールで街中軽く走って、3時位に戻ってくりゃいいよ」


「ウッス。 あ、一応報告ッスけど、アインシュタインのヤツがまだ残ってやってるんで、俺面倒なんで、隊長から言っといてもらっていッスか?」


「またアイツか……」


 俺は、はぁ~…… と肺に溜めた空気を一気に吐き出した。

場にネガティブ・ブレスを吐くと、あからさまに嫌そうな表情でハゲが答える。


「それやめて下さいよ。 臭くなるんで、部屋が」


 そういうと、ハゲのヤツは自分の机から弁当を取り出し、俺の向かいの倚子に座った。 

勝手にチャンネルを回して、ミートボールを口に運ぶ。

うまそうだな、と思っていると、ハゲがこちらを振り向きもせずに言う。


「ちゃっちゃとアインシュタイン連れ戻して下さいよ」


「……お、おう」


 てか俺一応隊長だぞ?

チャンネル回すのだって、回していいっすか? くらいの確認とれっつの。

そんな風なことを心の声で毒づきながら、俺はその足で外へと出た。


「ハア、ハア…… っく! ふっ!」


「アインシュタインくーん」


 俺はポケットに手をつっ込みながら、地べたで腹筋をするアインシュタインに近づいた。


「……何ですか」


 金髪に青い瞳のアインシュタインがこちらを見やる。

こいつは最近この部署に配属されたアインシュタイン・クロウ(22)

日本人とイギリス人のハーフで、顔立ちはかなり整っている。

消防学校ではかなり優秀な成績を収めたらしく、何でこんな退屈な部署に配属されたのか謎だ。


「もうお昼回ってるからさぁ~、ご飯、食べない?」


「……」


 すっく、と立ち上がると、アインシュタインは俺の腕を指差した。


「ポケットに手つっこむの、良くないですから。 あと、別に昼食うために消防士、やってる訳じゃないんで」


 寒いからと無意識にポケットに手をつっこんでいた。

この件は先月の職場会議で話題になったことで、世間体が良くないから、という理由で本部からも通達があった。

俺は慌ててポケットから手を出したが、こんなものを守ってるヤツはハッキリ言ってコイツくらいだ。

……まあ、隊長の俺が守らないのもどうかとは思うが。


「なあ、アインシュタイン。 消防士はチームワークだろ。 飯くらい一緒に食おうぜ。 これは隊長命令だ」


「オレ、一度も現場に出たことない人を隊長とは思ってませんから」



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