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ヒラエスの魔女の唄  作者: 待雪天音
嘆きと祈りのクッチ
14/41

6.知らない毒の解毒薬




「シスター、危ないところを救って頂き、ありがとうございました」


 わたしとエディが揃って頭を下げると、シスター・マーガレットは首を振った。大聖堂からは、既にわたしたちを残して人の気配が消えている。今ならば多少は話しても問題ないだろうと判断したらしい。


「あなた方を助けたつもりはありません。ただ私は、力のない無実の人が力に捻じ伏せられることに我慢ならなかった。それだけです。それに結局、根本的解決には至っておりませんので」


 彼女が指しているのは、小部屋から出される前に釘を刺された話の内容だった。事態が何らかの収束に至るまでは村を出るなと、司教から忌々しげに言い付けられたのだ。依然、係留所の舟は動かないし、村の周りに張り巡らされた見張りの目は緩まない。


 大司教がどれほどの人員を連れて視察に来たのかは知らないけれど、陸続きの周りは草地ばかりの広がるようなところなので、見晴らしは抜群だろう。


「それでも、私たちが窮地から救われたことには変わりありません」


 短い説明で状況を察したエディが、シスターにもう一度感謝を述べた。あのまま法で裁かれるような事態になっていれば、彼にとって二重の意味で大変なことになっていたのは間違いない。九死に一生を得た心地だった。


「私は、表に出すべきではない不始末をいっとき誤魔化したにすぎません」


 けれど、尚も頑なに感謝を受け取ろうとしないシスターに、何度か感じた違和感を認めてエディを制した。


 彼女の言い方では、まるで司教たちの今回の行動に憤りを感じているかのようだ。謙遜で口にするにはどこか刺々しく、苛立ちが紛れている。


 聞き流せば良いものを、わたしはそれに食いついてしまった。彼女が昨日、わたしと隣に佇む彼の仲を、勘繰って深堀りせずにいられなかったように。


「あの、違ったら申し訳ないのですけれど」


「何でしょう」


「あなたは……ご自分の属する教会の方々を、信じておられないのですか」


 昨日からおぼろげに抱いていた疑問の端緒を掴み、彼女の前に引っ張り出す。


 黒褐色のシスターの瞳に、刹那、激しい閃光が走った。


 わたしの目の錯覚と言うには、あまりにも鋭い、ほんの瞬きの間の眼光だった。


「先ほどの司教様の企てを、あなたもお聞きになりましたでしょう。教会などという神聖な皮を被っていても、中に犇めくのは人間です。権威を持った、人間なのです」


「そう、ですね」


「そしてそこに、神様という存在は居ない。人間は崇拝するための偶像を作り上げるのがとても上手な生き物ですので」


 ひやりとするような声音で、シスターは唸った。無表情から発せられる温度のない声は、しかし繰る言葉だけがはっきりと嫌悪を示している。修道服の袖に隠した手を握り合わせる様が、やり場のない感情を握り潰しているようにも見えた。


 エディは隣で不思議そうな顔をしていたけれど、シスターの口ぶりと会話の内容を結びあわせてか、静かに目を伏せた。


「人も神も、信じていないのですよ。……と言ったら、あなたは軽蔑されますか。シスターでありながら、なんという冒涜を、と」


「いいえ。驚きはしますけれど」


「神を信じられないくせに、神を信じられないことに罪悪感を抱いていてもでしょうか」


「それこそ、矛盾を抱えるのが人間という生き物でしょうから」


 わたしが呆れや軽蔑といった負の感情を抱かないのは、そもそも宗教というものに属していないからだ。神様に祈っても病は治らないし、全ての人は、いずれすべからく死んでいく。


 神様を心の拠り所にする人々は、それを神様からの試練だと言うのだろう。けれどわたしは、神様は人間を救ってくれるような都合の良い存在ではないと思っていた。


 神様は居るのかもしれない。居ないのかもしれない。見たことがない存在を、否定も肯定もできないから。ただ、人がそれを信じることを否定はしないし、信じないことをそれはそれとして受け止めている。


 全ては人が、神様という存在をそう位置付けているだけにすぎないのだ。わたしが都合の悪いときばかり、不都合を神様のせいにするのと同じように。


(……なんて言ったら、わたしも異端の目で見られるのかしら)


 彼女の吐露した本心をありのまま受け止めたわたしに、シスターはひとつ頷いて返した。そこには喜びも怒りも悲しみも安堵もないけれど、ひとまずはわたしたちの感謝を受け入れてくれるということだろう。


「シスターでも、人や世界の有り様に疑問を持つことはあるのですね」


 頭上で彼が、詰めていた息と共にそうこぼした。彼の中で、俗世から切り離された組織というものはどこか異界の存在のように思われていたのだろうか。あるいは、彼もまた神を信仰する側の人間なので、そこに連なる人々に畏敬の念を抱いていたのかもしれない。


「私もまた、人ですから。他の方々にはくれぐれもご内密に。その為の、告解室なのです」


「あ……もしかしてさっき、告解室にいらっしゃったのは」


 返事を口にするよりも雄弁に、彼女は静かに目を伏せた。髪を切り、閉じられた世界で熱心に祈りを唱えても、人間の葛藤というものはあらゆる隙間から生まれるものだ。


 模範的だと褒められれば褒められるほどに、周りのシスターたちへも明かせない秘密を抱え続けるのは苦しいものだろう。


 そこまで考えたところで、わたしはもうひとりの悩めるシスター見習いの存在を思い出した。


「そういえば、昨日の小さなシスター見習いさん、渡し舟の係留所で随分な無茶をしていたようですけれど」


 シスター見習い、と告げたところで、平坦だったシスターの表情が急に強張った。


「彼女を……見たのですか」


 やがて尋ねる言葉に迷う様子を見せてから、彼女はそれだけを口にした。探していた、とも、無事なのか、とも聞かないシスターに違和感が生まれる。


「はい。なんでもシャンヴァース修道院に行きたいとかで、船頭の親父さんと揉めていました。今は、わたしたちが借りている宿の部屋に。まだ居るかはわかりませんけれど。お連れしましょうか」


「居場所がわかっているのなら結構です。村からは出られませんし、今は修道院も慌ただしいので他の事に割く時間も人手もありませんから。それに、無理に連れ帰ったところであの子はまた院を抜け出すでしょう」


 立派な規律違反なので、騒ぎが明けたら反省の奉仕活動を申し付けられるでしょうけれど、とシスターがため息をつく。その仕草が困った子どもを前にした母親のようで、彼女の感情を動かす存在が居たことに少しだけ安心した。


「そういえば、係留所の船頭に聞いたのですが、大司教様が毒に倒れられたそうですね。その後、お加減は」


 それまでほとんど口を閉ざしていたエディがシスターへ尋ねた。本当は今朝、話を聞いてからずっと気になっていたのかもしれない。


 尋問官たちもこちらからの証言を引き出そうとはしていたけれど、自分たちの持つ情報はあまり提示しようとはしなかった。彼の尋問でも同じ調子だったのなら、余計にだろう。


 彼はどちらかと言うと面倒事を避けて通ろうとする人種のようなので――今回の尋問ばかりは事前予測が遅れたようだけれど――、好奇心ではなく、本心から心配しているのだろうことは感じられた。


「昨夜から、容態は相変わらず平行線です。少し小康状態で落ち着いてきたかと思えば、すぐに嘔吐や麻痺を繰り返し、腹痛を訴えられます。今、薬草に学のあるシスターたちがこぞって薬を作っているのですが、あまり効果が出ず……」


「毒は、その、晩餐に盛られたものだと小耳に挟んだのですけど……もしかして、ハーブパリスの実ですか」


 シスターの答えには、わたしも黙ってはいられなかった。医者ほどとは言えなくとも、それなりに知識のある修道女が数人がかりで薬を作っているというのに、容態が変わらないなど有り得るのだろうか。


(薬を飲んだ端から毒を摂取していると考えれば、あるいは……)


 嫌な想像が思考に滲み始めるのと、シスターが頷いたのは同時だった。


「ええ、ハーブパリスと、そのように言われています。正確には、その実ですが」


 やっぱり、と口には出さずに納得する。尋問されている間からそうだろうと目していたけれど、推測が肯定されると余計に謎が深まった。


「毒が特定できているのに、解毒できていないのですか?」


「はい。小康状態と嘔吐を繰り返すうちに、どうにも少しずつ異なる症状が出始めておりまして。それに、特定と言うのも少し違うのです」


「違うって……ハーブパリスには、そのように複数の症状の出る毒があるのですか?」


「いいえ。私の知る限りでは、主立った症状は嘔吐と麻痺の二点です。量が過ぎれば、麻痺が全身を回って死に至ることもありますが」


 死に至る。そのような毒はいくらでもあるけれど、症状が限定的だからと言って侮れないものだ。ひやりと冷たいものが背筋を伝う。粟立った腕を無言で擦った。


「そもそも晩餐の器からも、大司教様の吐瀉物からも、ハーブパリスの実らしきものは出てきていないのですよ」


「それは……薬草園からハーブパリスが根こそぎなくなっていた、ということと関係がありますか?」


 司教に物問われた内容を思い出しながら、わたしはシスターに尋ねた。彼女はまたひとつ頷く。


「ああもあからさまに尋問されれば、敏いあなたはお気付きでしょうね。ええ、はい。薬草園のハーブパリスだけが、全株、余すことなく刈り取られていたのです。

 大司教様をお迎えする昼までは異変はありませんでしたが、夜、毒に倒れられてから薬の調合の為に薬草園を見に行ったシスターが、ハーブパリスだけが無くなっていることに気付きまして。それで、犯人はハーブパリスを用いて大司教様を害したのだという結論に」


 なるほど。これで、わたしたちが引っ立てられた理由が繋がった。


 昨日の昼までは確かにそこにあった薬草が、夜にはすっかり姿を消していた。かと思えば、その翌朝に見かけない顔の娘が、薬草園から消えたはずのハーブパリスを十分の一税として納めに来たのだ。


 怪しい。……どころか、それは犯人扱いされてもおかしくない状況が揃いすぎている。ありもしない罪を被せられそうになったことは置いておいても、これでは充分に不審人物だ。わたしは顔を両手で覆って盛大なため息をついた。


 エディがそっと、落ち着かせるように背中を撫でる。彼に元気付けられるというのも微妙な心地だけれど、この際ごちゃごちゃと散らかった感情を整頓してくれるならなんでもいいかと黙殺した。


「修道院や司教様たちには、私からもう一度しっかりと説明しておきましょう」――シスターはそう約束してくれた。くれぐれもよろしくお願いします、と念を込めて頭を下げて、忙しいなか引き止めてしまったことを詫びる。彼女は気にしないようにと言い置いて、今度こそ大聖堂を出ていった。


 彼女の背中を見送ってから、わたしたちも大聖堂を出る。余計な寄り道はせずに真っ直ぐ宿への道を辿ったけれど、道々、胸中は複雑だった。


「他にも何か、不安があるのかな」


 心の内を読んだように、隣を歩く彼が尋ねた。それで、今更ながらに震えが走る。司教たちに尋問されていたときには毅然としていられたものを、彼は一言であっさりと崩してくれた。


 じわじわと自覚する。わたしは今のこの状況に不安を抱きはじめているのだ。


「わたしたち、他人事と通り過ぎるには、この村の騒動に関与しはじめていると思わない? ルシルを助けたこともそうだけど、さっきだって、まったく与り知らないところで巻き込まれていたんだもの」


 危うく犯人の濡れ衣を着せられそうになって肝が冷えた。イングランドからやって来た地位ある人間の前に、わたしたちなど家畜よりも簡単に屠殺されてしまう存在なのだと再認識したのだ。これが安穏として居られようか。


 何より、不安や恐れの原因はそれだけではなかった。自分の旅支度のためにとった行動が、連れである彼までをも危険に巻き込むところだった――その事実が重苦しくのしかかる。


 いくら彼がイングランド人であれ、疑わしい者と行動を共にしていればそれだけで断罪される口実になるし、人の命が懸かってしまえば「ざまあみろ」と指を差して笑うこともできやしない。


「ここに居る間は充分、行動に気をつけた方がいいわよね」


 確かめるように、自分へ念押しするように呟く。彼はこちらを一瞥して、逡巡するように首を傾げた。


「先ほどのシスターにもあまり目立った行動はしないように言われたし、私としては、息を潜めて部屋でじっとしていた方が良いんじゃないかなと思うんだけど」


「ええ。わたしだって」


「それなら、何故きみはそれほど浮かない顔をしているのかな」


 同意されて油断した後で、反語のように返されて息を詰めた。歩みを止めずにエディを見上げる。彼はもう、こちらを見ていない。ただ真っ直ぐに、その視線は宿のある方角を向いていた。


「目立った行動をせず、宵越しの宿で嵐が過ぎるのを待っているだけで良いなら、何も不安に思う必要は無いのにね」


 彼は時々、二心も悪びれもなく、人の核心を息をするように突いてくる。軽々と、そのくせ鋭利に容赦なく。そこに責める気持ちがないのがまた、たちが悪い。


 こどもが悪意なく、大人の都合で誤魔化した疑問点を抉るようにつついてくるのに似ている。


 彼のこういうところは、イングランド人如何にかかわらず嫌いだ。


 結局わたしは、彼の何気なく吐き出された疑問に答えられなかった。




 ▽ ▲ ▽




 ドアを四度ノックして、開かれた部屋に滑り込む。


「おそかったですね。お帰りなさい(クロィソ・イ・ノール)


 いくらか落ち着いたらしいルシルの挨拶に迎えられて、ようやく肩の力を抜くことができた。名前くらいしか知らない少女の「お帰りなさい」でも、帰ってきたという気持ちにさせるから不思議なものだ。


「少し、面倒なことに巻き込まれて足止めを食っただけです。ただいま」


「めんどうなこと、ですか?」


 椅子に腰掛けたまま(あれからまったく動いていないのかしら)少女が首を傾げるので、わたしは少しだけ逡巡してから散歩に出かけた後の経緯を掻い摘んで話した。


 当事者かどうかはわからないけれど、彼女も一応は関係者だ。それならば、彼女にも知る権利があるだろう。今なら、この少女が船頭に訴えかけていた言葉の意味もわかる。


 メナイ海峡むこうのシャンヴァース修道院に薬草を取りに行こうとしたのは、大司教の体調が昨夜から回復の兆しを見せなかったせいだろう。女子修道院では駄目だと言ったのも、そこにある薬草だけでは治せないかもしれないと思ったから。


 恐らく見習いでは薬草に関する知識もほとんど教えられていないのだろうし、調合も看病もできない自分は足手まといだと考えたのに違いない。


 だから、自分にできることをしようと考えた。やり方は利口ではなかったようだけれど。


 途中でハープ(テリン)の手入れをしていたエディが補足を入れながら、あらかた話し終えた頃には、気を落ち着けていたはずのルシルが泣きそうな顔をして席を立っていた。


ごめ……ごめんなさいマイン・ズルゥグ・ゲニ! ごめんなさい、お姉さん。お兄さんも」


「どうしてあなたが謝るの。あなたが犯人でないのなら、あなたは何もしていないでしょう」


「なにもしていないからです。それに、わたしの属する教会のひとたちがおかけしたごめいわくですから」


「助けてくれたのも、あなたと同じ修道院のシスターです」


 あまりに可哀想なくらい震えて頭を下げるので、わたしはするつもりのなかった擁護を繰り返す羽目になった。


「私たちもこうして無事なのだし、ほら、顔を上げて」


 見かねたエディもルシルの気を落ち着けようと布巾を渡す。今にも涙が溢れ出そうな心許ない顔をくしゃくしゃにして、彼女は受け取ったそれで鼻をかんだ。


 記憶が確かならば、あれはハープの手入れに使っていた布巾の筈なのだけれど、良いのだろうか。お互いに。


「あなたが泣くとシスターたちが心配するのではない? あの、感情を押し殺しているようなシスター・マーガレットも、顕著に表情を変えたくらいだもの」


「え、シスターが、ですか」


 布巾に顔半分を埋めたまま、ルシルはくぐもった声で尋ね返した。そこには単純な驚きだけではない、確かな喜びが混じっている。シスターも、ルシルについて語る口調に気安さが滲んでいたようだし、仲が良いのだろうか。


 しゅんしゅんと鼻を啜りながら薄皮一枚の均衡で涙を押し留めている少女は、彼に礼を言ってからわたしへ向き直った。


 縋るような眼差しに、また、嫌な予感が胸を掠める。今日はこんなことばかりだ。


 彼女は勢い良く腰を折った。


「おねがい……お願いしますオス・グェルフ・ア・ザー、薬師様。すでに一度たすけていただいたのにこんなこと、失礼だってわかってます。でも、でも……どうか大司教様をたすけてください!」


 彼女と共有したこの短い間で一番の大声だった。おどおどと挙動不審に怖気づいていたかと思えば、追い詰められた獣が牙を剥くように叫ぶ姿はこちらが怯みそうになる。


 このときのわたしは、彼女の鬼気迫る“お願い”に気圧されていた。口ぶりもそうだけれど、何より、その内容に。


 躊躇い、わたしの方こそが怖気づいたのだ。


(だって、大司教を救うということは、シスターたちでも作れない解毒薬を作るということだわ)


 確定されていない毒の。それも、昨日までわたしの知らなかった植物の毒の、解毒薬を。


 そのような無理難題をして、人としても薬師としても未熟なわたしに何ができると言うのだろう。


 ついさっきだって、余計なことにこれ以上関わらない方が良いと、エディと話していたばかりではないか。


 冷たいと言われようが、非人道的だと正義感で説かれようが、ときには見て見ぬふりをすることが己の身を守ることになる。ましてわたしたちからすれば、この騒ぎは完全なる“他人事”だ。家族でも友人でもない人間のために、自分の身を脅かされる危険性を伴ってまで尽くす義務がどこにあるだろう。


 他者への施しも、心配も、気遣いも、すべては自分の命の安寧と周りを見渡す余地があってこそなのだから。


 押される勢いに腰が引ける。彼女の純真な必死さを振り切るように、見下ろしていた後頭部から顔を背けた。


 さっき答えを出さずに放り出したジレンマが、彼女の瞳を借りてわたしを追い詰める。


「わたしは神様じゃないわ。知らない毒の解毒薬は作れない」


 ――どんな病も怪我も治す万能のエリクサーなんて、この世に存在しないのよ。


 つかえた胸の奥底から湧き上がってくる何かをこらえるために呟く。自分に言い聞かせるような言葉は、波紋のように波立って、開けっ放しの窓から抜けて行った。




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