月明かりは何時差し込むか
夜中はすきじゃない。
ふとした拍子に、つまらないことを思い出してしまうから。
思い出して、涙が出そうになるから。
涙を我慢するように見上げた窓の外は真っ暗で、何となく、あの人を連想してしまう。
あの人の笑顔が好きだった。
あの人の仕草が好きだった。
何もかもが好きで、愛しくて。
……私はあの人に何を求めていたんだろう。
好きなのに、告白しなかった理由はなんだろう。
今となればわからないし、わかりたくもない。
外を見るのをやめ、ふと隣を見る。
眠る君を見て、つい笑みが浮かぶ。可愛い、と言うかかっこいいと言うか。何とも言えないな。
あの人を見るのをやめて、いい加減前を見つめるべきなのかもしれない。
偶然とはいえ、私はあの人以外と結ばれたわけだ。それでも前に進めないなんてとんだ臆病者なんだろう。
ゆっくりでいい、何て言われたところで焦る気持ちは抑えられなくて。
たまに辛くなる。もし私が、前を見据える覚悟があれば。待たせることも、なかっただろう。
待ってる間、どんな風に思ってただろう。
申し訳ないと思うと同時に、それでも待ってたことに嬉しく思う。
こう思えるようになった。ってことは、少しは前に進めているのかなんて考えて苦笑する。
矛盾する気持ちがあって当たり前。
そう言ってくれた君にそっとキスをした。
前向きなものをと思いながら書いたのですが、どうしても後半はシリアスになってしまいました。
駄文をお読みいただきありがとうございました。