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新・雨にぬれる花

作者: みずた まり

五月の終わりごろ、お姉ちゃんとおつかいの帰り道にあじさいをみつけました。

まだきみどり色をしたつぼみで、お姉ちゃんのにぎりこぶしくらいの大きさです。

「まだきみどり色だね。」

「むらさき色の花がさくのかなぁ。」

わたしは、花がさくのが楽しみになりました。



それから、わたしは毎日あじさいに会いに行きました。

学校へ行くとき。

帰るとき。

少しとおまわりをするけれど、会いたかったのです。



六月になって、雨がふる日が多くなりました。

それとともに、あじさいたちもつぼみがふくらみ、花びらも色づき始めました。


みずいろ、

むらかき、

ももいろ…

その花びらは色々な色をまぜてできたようです。


わたしは思い出しました。

図工の時間につくった絵の具の色に少し似ているようだと。



やがて、あじさいは満開にさきました。

わたしのにぎりこぶしは四つ以上の大きさです。


大きくて、でもあざやかな色をしていて、雨にぬれるといっそう美しいです。

「意味はよくしらないけれど、『かれん』っていう言葉がぴったりなんじゃないかしら。」



日ようび。

今日も朝から強い雨がふっています。


わたしは、窓の外をぼんやりとみつめていました。

するとしだいに雨は強くなっていきました。



ドッドッドッドッ。

ダッダッダッダッ。


雨には思えないような恐ろしい音です。



わたしは、心配になって、いそいであじさいのところへ行きました。


夕立はまだ続いています。

でも、花びらは一枚も落ちていません。



雨がやみました。

ポトッ。ポトッ。

葉からわずかにしずくがこぼれ落ちています。

涙みたいに少しずつ。


「つかれたのかな。いたかったのかな。」


それでも、生き生きとさいています。

つかれたようすもありません。

「きっと、夕立の大つぶの雨より強いんだ。」

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