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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
三章 共鳴を始める鼓動達
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第53話 イベント告知

 コボルトと街の大工さん達の尽力のおかげで、アイリスが完成してから四日後にギルドハウスが完成した。

 そこからは大忙しだった。私の鍜冶、リズの裁縫、ゴードンの彫金、ぱるの木工、サンゴの薬学、スーの刻印、コボルトの小道具を駆使してギルドメンバーの専用装備作りが始まったからだ。

 それから二週間、作って、作って、作りに作りまくった。

 まずは戦闘をメインにしてもらう五人の装備を作って、次にリズの装備を作った所で、私達全員の集中力がきれた。いや、尽きたと言った方が正しいか。


 いや、だってねぇ、出るわ出るわ問題点の数々、その問題点をクリアする度に新しいアイデアを誰かが思い付き、設計を変更し、変更した部分でまた新しい問題点が生れ、それをクリアしたら、違う箇所に応用できるんじゃないかとまた変更、この二週間そんな事をひたすらやっていた。


 失敗した数は数え切れず、素材を採ってくる戦闘組に取り敢えず渡していた間に合わせの装備達は次々に壊れる中、それでも足りず、遂には交代で取りに行く始末、そしてまたその中で新しいアイデアを閃き失敗するという本末転倒な事をやり、つい今しがた六人の専用装備を作り終えた私達はログアウトしたり、ギルドハウスのラウンジで休憩したりと思い思いに過ごしている。


「おう、お疲れさんお嬢」


 そう言ってコーヒーを淹れてくれたのはランディだった。

 何故か彼は私の事をお嬢と呼ぶ。いや、私だけじゃない。スーの事はスー坊と呼んだり、リオの事はリオ助と独特な呼び方で呼んだりすることが多い。普通に呼ぶのなんて、シャンファとレイヴン、リズくらいだろう。

 だからと言って、彼に嫌悪感を抱くメンバーはいない。あのスーでさえ、スー坊と呼ばれても怒らないのだから、彼の人徳と言うか人柄のおかげなんだと思う。


「ありがとうランディ」


「おうよ。サンサンは紅茶派だったよなぁ」


「ああ、すまないね」


 そして、短い付き合いながら、人の事を良く見ていると感心する。

 今ラウンジにいるメンバーの好みに合わせて飲み物を持ってくる所とか何処かの幼馴染にも見習ってもらいたいものだ。


 サンゴとコボルト、ファラに飲み物を渡し終えたランディは空いてる席へと腰を下ろした。


「しっかし、こんな装備を貰っちまって良いのかねぇ」


「何処のギルドでもやってる事でしょうや」


「そうだね。僕達は同じギルドの仲間で、Win-Winの関係なんだから気にすることじゃないよ。だからファラもそこまで恐縮する必要はない」


「さ、サンゴさんそうは言っても、この装備頭おかしいですよ!!」


 槍も鎧もと若干涙目になりながら抗議してくる。


「ああ、頭おかしいというか、狂ってるよな。この機能を考えて、実行しようとしたなんて」


 そう言いながら私達三人を見る。

 失礼な、確かに私のディアボロッソがアイデアの元とは言え、狂ってるは酷い。


「まったく、酷い言われようだね。しょうがないだろう。面白そうだったんだから」


 そう、サンゴの言う通りしょうがないんだ。だって面白そうだったんだから。

 それは全てにおいて優先される事柄だと私達七人は思う。

 そんな集団が面白そうな事を見付けてやらないと思う?

 答えは否である。


「拙等に好奇心を圧し殺せとは、息をしないでフルマラソンをしろと同義でしょうや」


「そんなもんかねぇ?」


「そんなもんさ。むしろ干からびてしまうよ」


「出来て当然の事をやってもつまらないじゃない?」


「ああ、そう言われれば分からないでもない」


 出来て当然の事を繰り返すなんて作業であって遊戯ではない。何より新鮮味がないとはリズの言だ。


「だけどよぉ、これ使った時の反応が恐いぜ、ファララなんてその装備から変更して更にだろ?」


「はい。メインは最初にリズさんが作ってくれたこの装備です。換装の腕輪で装備を変更してからが恐いですよ」


 この換装の腕輪は私のアーツ、スタイルチェンジをゴードンの伝授の書を使ってスーに覚えさせて、そのスタイルチェンジをスーが新しく修得した刻印のスキルでゴードンが作った腕輪に附与したのだ。


「ふむ。ファラの装備、差し詰戦乙女シリーズ、もしくは聖女シリーズだがそこまでえげつない性能はしてなかったと思うが?」


 サンゴの言葉に首肯くコボルト。そんな二人を見てランディは溜息を吐いて額を覆った。


「いやいや、サンサン、コボ兄よぉ、俺の装備もそうだが、明らかに過剰過ぎる性能してるだろうよ」


「そうかね? それを言ったらリズの装備はヤバイを通り越すね」


 確かに、聖女や三銃士が過剰ならリズの切り裂き魔はとんでも装備だろう。


「お嬢、あんたら何を作ってるんだよ」


 なんで、私を非難するように見るかな。皆で作ったんだから、皆同罪だよ。


「えっと、装備?」


「可愛らしく言っても、駄目だ許しそうになる……はぁ」


「取り敢えず、限定解除リミットリリースさえしなければ、そこまで悪目立ちしないと思う、よ……」


 聖女、仙女、三銃士、騎士王、串刺し公、切り裂き魔、これ等の装備全てに施されてるギミックを起動さえしなければ普通の見た目だし、私達作だからですむと思う。


「そこは断定しようぜお嬢」


「絶対はないから」


 ふぅと肩を竦めるランディに苦笑を浮かべるファラとサンゴ、禿頭をパンっと叩くコボルト。


「ごめんくださーい」


 話が一息ついたタイミングを見計らったかのように来客が訪れた。

 玄関まで見に行けば住民の男の子、ジュリオが大きなバスケットを持っている。


「あ、メルお姉ちゃん!」


「こら、いきなり抱きつかないの」


 私の顔を見るなり抱き着いてきたジュリオに軽く注意するとはーいと元気の良い返事が帰ってくる。

 ワールドイベントの時、師匠やゼペットさん達と一緒に行動してた男の子で、後日母親のユリアさんと一緒にお礼に来てくれた以来の付き合いで、たまにユリアさんが作った料理をお裾分けしてくれる。

 バスケットを持ってるから、今日もそれでお使いを頼まれたんだろう。


「よくここがわかったね」


「ガンテツさんからお姉ちゃんここに居るって教えてもらたんだ。はい。お母さんからお姉ちゃんにって」


「ありがとう、家から遠くて疲れたでしょ。飲み物を飲んで行く?」


「いいの?」


「うん」


「やった!!」


 ジュリオを連れたってラウンジに戻れば、私の声が聞こえてたのか、ランディがオレンジジュースを用意して待っていた。


「初めまして、俺はランドール、気軽にランディとでも呼んでくれ」


「あ、僕ジュリオ、ランディ兄ちゃん、よろしく」


 私の後ろに隠れながらもしっかりとランディに挨拶をする辺りしっかりとしてると思う。


「おうよ。よろしくなジュリオ」


 しっかりと屈んでジュリオと目線を合わせるランディは子供の事が好きなんだろうか、意外とこういう事って普段やってないとできないものだし。


「うん」


「久しぶりだねジュリオ」


「サンゴお姉ちゃん久しぶり」


「これはまた元気の良い、拙はコボルトよろしくお願いしまさぁ」


「私はファラです。よろしくねジュリオ君」


「えっと、よろしく。ファラお姉ちゃん、コボルト兄ちゃん」


 ジュリオは私の隣に座ってランディから貰ったオレンジジュースを飲みながら足をプラプラさせている。

 そんな微笑ましい光景の中、無粋にも頭に鳴り響くいつもの告知音。

 互いに顔を見合せ頷くと、UIを開いてインフォメーションを見る。




information──────────


第二回公式イベントのお知らせ。


大分暑さもなく食べ物が美味しい季節になってきたこの頃、皆様はどうお過ごしでしょうか?

私事エンドは食べなくても問題ないので、毎日仕事をしております。妹に恋人が出来て惚気けてくる中、歯を噛み締め仕事をしております。

なんでもこれから冬になれば恋人達の季節だとか世迷言があるようですが、ようですが、私達に休みはないんですからね? そこのところをわかってるんですかねあの妹は……


いっそのこと滅んでくれませんかね。

そんな訳で第二回公式イベントのご案内です。


開催イベントは下記の内容となります。


第二回公式イベント

イベント名 大攻防戦

四つの陣営に別れての攻防戦。

ギルドメンバーや同盟ギルドと力を合わして勝利を目指そう。


*ギルドに参加していなくても本イベントに参加する事は出来ます。

*陣営振り分けの際、ギルド、同盟、パーティー、個人の順で振り分けられますので、陣営毎の人数が完全に一緒にはなりません。

*戦力の偏りを防ぐ為、人数が不平等になるケースもあります。


開催日時

来週の日曜日の12時


参加条件

なし



───────────────


 エンドが闇落ちしてる。それにしても……


「は、良い趣味してる。大勢のプレイヤー同士の戦い。こりゃ戦争と何が違うのか俺には分からないね」


 大多数のPVP、モンスターではなくプレイヤーを攻撃しなくちゃいけないのか。確かに良い趣味をしてる。


「攻防戦と書いてある以上、何か守るものがあるんでしょうや」


「だね。けれど、人を選ぶイベントとは、運営も随分と思い切った事をしたものだね」


 そう言いながらチラッとファラを見るサンゴ。

 ファラは顔を少し青くしながらも、しっかりと私達を見据えている。


「大丈夫です。皆が参加するなら私は大丈夫です」


「無理をする必要はないぜ?」


「拙もそう思いまさファラ嬢」


「皆さんと一緒に参加したいんです。それに……このイベントなら私の装備はメタれると思うんです」


 確かに、聖女ならこのイベントにたいして絶大な効果を発揮すると思う。もしかしたら武器である聖旗槍・オルレアンを解放するだけでも事足りるかもしれない。


 後メタと言えばリズもそうだろう。


「なら良いけど、無理はすんなよファララ」


「はい。最悪オルレアンを振るだけでも貢献できるかもですし。無理はしません」


「さて、このイベントがあるなら──」


「残りの専用装備を──」


「完成させねばならないでしょうや」


 さて、また忙しくなりそう。でもその方が良いかな。じゃないと……


「お姉ちゃん頑張ってね」


「うん。頑張るよ」


 頭を撫でれば気持ち良さそうに目を細めるジュリオに癒される。さて装備作りの再開だ。


メル達が作った装備は名前でばれそうだけど、シンプルが一番だと思って開き直る事にしました。よければ想像して答え合わせしてください。


次はかなり遅くなると思います。少しでも早く更新できるよう頑張りますが、期待はしないでくださいね。

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