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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
三章 共鳴を始める鼓動達
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第48話 憐れな子羊

 私達が今居るのは第一の街と第四の街の間にある森林地帯だ。

 正式名称よりも通称の方が有名な珍しいマップで、通称、無意味の森と呼ばれている。

 mobがそこそこ強く、それなのに得られる素材があまり良いものがないだけではなく、採取できる素材も既存のものばかり、存在自体が無意味だと、揶揄されて呼ばれている。


 私達はそんな森の中から第一の街へと向かっている。

 まぁ、向かっていると言っても、今は戦闘中なんだけど。


「や、やぁ!!」


 手にした槍を突き出すファラ。

 声はどもっていても、その突き姿は最初に比べれば雲泥の差だ。

 最初に見た時なんて、素人目処か子供が見ても腰が引けていた為、穂先に力が十全に伝わらず、mobの事を貫く事ができない程だった。


「うおりゃ!!」


 リオの方は剣で敵を倒している。

 だけどもまだ大振りが多くて隙がある。


「終わりました」


「終わっ、りました。あだぁ!!」


 今ため口をきこうとしたリオに凸ピンを叩き込む。

 まったく、私に戦い方を教えて欲しいと言ったのはどこのどいつだと、悶え苦しむリオを眺める。


「ファラは大分動きがよくなってきた」


 元が酷かった分成長が如実に出ている。


「リオ、あまり大振りするのは良くないと教えたはずだけど?」


「あ、いや、その、つい、あだぁ!!」


 ついじゃない。教えてるんだから、少しは身につけて欲しいものだ。


「はぁ、まぁいい。引き続き指導はしていくけど、ファラに抜かれてもしらないからね」


 勿論、リオも筋はいい、刃筋はいつも正確に立てているし、飲み込みも悪くない。ただ、忘れやすいのと、調子に乗りやすいのが玉に傷だ。


「とりあえず、街に戻るまでファラは突き以外禁止、リオは急所以外の攻撃禁止」


 わかったと確認をすれば二人は首肯く。この時リオが必死だったのは気のせいだろう。


 二人の戦闘を眺めつつ、私はこのリアルの七日間、つまり此方での約一ヶ月間の整理をしている。

 順次必要なスキルとかは収得したりしていたけども、大半を放置していたし、経験値も全然振っていなかった。


 まぁ、こんなところでしょ。



CN メロディア


称号 第一の街の女神


MP 270/270


ST 280/280


筋力 30


体力 28


器用 26


精神 27



残り経験値 88


残りSP 2


所持金 3,830,200ペロン



装備スキル


【武器使いLv:10】【防具Lv:10】【剛腕Lv:25】【剛脚Lv:24】【生活魔法━】【行動制限解除━】【極集中Lv:8】【闘気術Lv:7】【魔力制御Lv:15】【中級魔導人形作成Lv:9】



控えスキル


【採掘術Lv:3】【上級鍛冶Lv:17】【中級合成Lv:22】



特殊スキル


【不死鳥の加護】



 上げる気のなかった精神がかなり上がっているのはミスリルを加工する為だったけど、魔力制御やディアボロッソを使う時に必要な為無駄にはなっていない。


 各種スキルは順当に進化してる。

 最大の変わった点は統合スキルを手に入れた事かな。

 私が今使う武器は斧、剣、刀、槍、鎌、鈍器、弓、体術、それらのスキルを全て纏めたのが武器使いのスキルで防具のスキルはその防具版である。


 クイックチェンジとスタイルチェンジはこの二つのスキルを得て初めて作れるようになったアーツだ。


 クイックチェンジは武器か防具を即座に変更する為のアーツ。

 スタイルチェンジは武器、防具、アクセサリー全てを含めて即座に変更するアーツだ。


 魔法を使わない私としては非常に役立つアーツである。


 フレンドコールでその事を知ってるリズは目下装備を制作中だとか。

 最後の方で合法的に着せ替えとか聞こえてきたのには、頭が痛くなったものだ。


 いつか、リアルでも着せ替えさせられないよね?

 いや下手したらコスプレすらあり得る。

 そうなったらリアルで彼女とあってしまった自身の不運を嘆く事になるだろう。

 来るかもしれない未来に恐怖し現実逃避していれば、いつの間にか第一の街へと到着していた。

 流石に街に着けばプレイヤーや住人の人達が増えるから見られている。

 まぁ、森を抜けた辺りから好奇の視線を感じていたんだけども。


「お疲れ様、って、あれ? そんな仮面をつけてどうしたんです? めろふぶ!?」


 私の正体に気付いた門番の人に闘気を使い詰め寄りその口を掌で塞ぐ。


「ちょっと雲隠れしてる最中なんで、私の事はディアって呼んで下さい」


 小声で門番の人にお願いをすればすぐに頷いてくれるので手を放すと、彼も小声で返してくる。


「了解です。街の皆にも伝えておきます」


「助かります」


「いえいえ」


 ファラ達はどうしたのかと困惑気味だけども、私が行くぞと促せば、何も訊かずについてきた。私が隠し事をしてるのには気付いているだろうから、敢えて触れてこなかったんだろう。


「さて、街に着いた」


「はい。ありがとうございます」


「ありがとう、ございます」


「それでだけど、その防具はもうダメだと思うけど、二人はペロンに余裕は?」


 二人の装備は初狩りに襲われた事と、帰ってくる時の戦闘でボロボロだ。後少しで耐久値がなくなる寸前なんだと思う。


「えっと、ないです」


「俺も、です」


「なら着いてくる」


 そう言って向かったのは、勿論リズの家だ。

 隣にある私の家の前には誰も居なかった。少しだけ安心した。

 こっちで一ヶ月経ってもいるようだったら、流石にGMコールせざるを得なかったから……


「愛してる!!」


 リズの家の扉を開けば早速、変態が抱き着こうとしてくるから、すぐ後ろにいたリオを引っ張り盾にする。

 勢いよく抱き着きにきたリズは止まれず、その豊満な胸にリオの顔を抱き締める形になった。

 みるみる内に顔が青褪めていき、鳥肌がたったリズはすぐにリオを突き飛ばし、四肢切りをリオへと振り下ろした。


「死ねぇ!!」


 それを大太刀で受け止める。

 だけど、闘気まで使ったリズの全力を受けた大太刀は半ばから折れてしまった。

 虹を使って作った大太刀だったんだけど、流石に最高等級の四肢切りは受け止めきれなかったようだ。

 元々、大太刀で大剣を受け止めようとしたのが間違いとも言えなくはないけどね。


「うぅ、ディアちゃんに傷物にされちゃった。こうなったら責任を取ってもらうしか」


 よよよと泣き崩れる真似をするリズ。


「流石にやり過ぎたとは思うけど、すぐに抱き締めるのを止めなさい」


 まぁ、そのお陰でリオは一瞬の天国を味わえたはず、それは顔を真っ赤にして惚けていることから丸分かりだ。


「ブーブー、あたしの愛情表現なんだよ?」


「リズの場合は頻度が高いの」


「こっちで一ヶ月間ディアちゃんに会えなかったんだよ?」


「リアルでは会っていたでしょ」


「そうだけど、リアルとはまた違った抱き心地があってだね」


「そんなの知らないから」


 そんなやり取りをしていれば、後ろからおずおずとファラが話しかけてきた。


「あ、あのディアさん、リズさんってもしかし、てぇ!?」


 勿論そんな言葉はリズを前にして続く訳がなかった。私ですら目で追うのがやっとな速さでファラの事を抱き締めにいく。


「ヤバイ。久し振りに降りてきたよ。もうディアちゃんたら、こんな娘連れてきてたんなら、早く言ってよ」


「あ、あの」


「大丈夫、お姉さんが優しくしてあげる」


「か、顔が、こ、怖い」


 暴走モードに入ったリズにファラはすっかりと怯えている。

 ごめんね。リズの被害を二分する為に連れてきた部分もあるから甘んじて生贄になって、貴女の犠牲は忘れないから。

 奥の方へと連行される憐れな子羊もといファラを私は見送ったのだった。





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