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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
二章 過去と悪意あるイベント
36/63

第31話 永久の焔

い、一週間過ぎてしまったorz

「あっちは……」


 スクラップにした相手に目もくれず、リズ達の方を見ると、丁度止めを刺そうとしてるところだった。


「OA【破滅ノ大剣】」


 大盾を構えたベイオウルフに真っ向から大剣を振り下ろすリズ、振り下ろされた大剣は大盾に触れた瞬間、刀身が砕け散り壊れてしまった。

 だけど、それは相手の大盾も一緒のようで、取っ手だけを持つという、どこか間抜けな状態になっている。


「OA【フリージア】」


「OA【スタナーブリッツ】」


 その隙を逃さないように、アルカとテッタのマギアが炸裂、遠距離攻撃を危険と判断したのかターゲットをテッタに変えようとしたところで、ドゥーガに体当たりをくらってよろけ、その次にゴードンが右膝を砕き、態勢を崩したベイオウルフをアルデバランが宙へと放り投げ、落ちてきたところにシェスカが止めの一撃を放つ。


「OA【天羽狂騒撃てんはきょうそうげき】」


 全力疾走からのスクリューダイブパンチはベイオウルフの胸を的確に穿ち、その奥に隠されていた核をも砕いた。

 それと同時にシェスカの右手も捻れ折れ、手甲はひしゃげてしまった。


「いつっ、でも、勝ちましたわ!!」


 動かなくなったベイオウルフを一瞥して、私の方へと向き直るとブイッと左手を突き出すシェスカ。

 いや、螺旋骨折してるんだから、ブイッとかしてる場合じゃないでしょ。


 いつまでもここで突っ立っている訳にもいかないし、皆がどう反応するか分からないけど、やれる事はやったんだ。行こう。


「メルちゃ~ん!!」


 おっかなびっくりと皆のところへと向かうと、第一声がそれだった。

 そして、いつもの如くリズが私に抱きついてくる。


「お疲れ様リズ」


「うん。お疲れ様メルちゃん」


 抱きついただけではあきたらず、私を持ち上げて頬擦りをしてくるけど、半分以上いつもの事なので放置、変態の対処はこれが一番だ。


「あの、メル、さん」


 遠慮がちに声を掛けてきたのはテッタだ。


「お疲れ様テッタ」


「はい、お疲れ様ですメルさん。それと、助けて頂いて、ありがとうございます。…………まさか、運命……女性とは……有り……」


 深く頭を下げるテッタ、何かぶつぶつ言ってるけど、私でもよく聞き取れない程の小ささだ。


「メルさん!!」


「あ、シェスカ、腕大丈夫?」


「そんな事はどうでもいいですわ。こんなの唾でもつけとけば治ります。それよりその素敵武器はなんですの!?」


 腕の心配をしたら、そんな事は些事だと言わんばかりに詰め寄ってくるシェスカ。


 唾つけとけばって……どうして、こう私の周りにいる女性は残念な人が多いのだろうか? これじゃあ、私まで同類と思われてしまう。


 いっそうヒートアップするシェスカにまだ刃が出たままのディアボロッソを手渡す。




アイテム名 暴食斧ディアボロッソ

等級 ☆9

品質 優良

スロット 23

残りスロット 0


斬撃補正 81

打撃補正 30

刺突補正 8

耐久値 175/175


チェーンソー時

斬撃補正 144

打撃補正 44

刺突補正 44


発動スキル

【耐久値減少軽減 Ⅱ】【耐久値上昇 Ⅱ】【装備破壊 Ⅲ】【非生物特攻 Ⅰ】【人型特攻 Ⅰ】


評価

メロディアが作ったこの世界初の可変型武器、可変型、その響きはロマンの塊だが、実際はトラウマ製造機でしかない悪魔な斧。

対人戦で使われた際には相手に多大なトラウマを植え付ける事になりそうだが、彼女の行動を振り返れば今更な気もする……




「と、等級☆9!? 凄いですわ!!」


「それは凄いのである」


「私にも見せてください」


 ステータスを確認したシェスカが驚いた声をあげると他のメンバーもそれに吊られてディアボロッソの方へ釘つけとなる。


「で、いつまでこうしてるつもりなの?」


 その中でいまだに私を抱き抱えるリズへと問い掛ける。

 上を向く際にリズの胸が形を変えるのが後頭部に伝わる。足が地面に着かないからしょうがない。


「んー、気が済むまでかな」


「そう」


「だって、放したら、何処かに消えちゃいそうなんだもん」


 …………


「それに、さっき、どこか悲しそうな顔をしてたしね。だから、放さないかな」


「…………そう」


 私は、少しリズの事を侮っていたのかもしれない。ここまで見られているとは思わなかった。

 それと同時に、少し嬉しさと安心を感じてる。ああ、否定されなかったと。


「悲しい時には、人肌が一番落ち着くって言うしね」


 確かに、リズの胸から伝わる鼓動は落ち着く。


「そうなると、肌と肌を重ねるのが一番な訳で、そういう訳でレッツふしだらしよっか?」


 まったく、どうしてこう素直に感謝させてくれないのかな。おどけるのなら、せめてそれらしく振る舞って欲しい。


「本当にリズは不器用だね。…………でも、ありがとう」


「お、おふ。いやー、マジレスされると、変態あたしみたいなのは困るのですよ」


 反応に困って、困惑しているリズに抱き抱えられながら、私達はしばらく騒いでいる三人を見詰めていた。




 それから、興奮が醒めるまで十分弱掛かった。

 その間はリズとテッタの三人で話していたんだけど、いい加減話を進めようと、シェスカ達を説得して、あの二体が護っていた大きな扉を開ける。


 扉の先はだだっ広い空間で、人が丸ごと入れそうな大きさから、通常サイズの大きさまで様々なケーブルのような物が部屋の真中へと向かっている。

 ケーブルの向かう先へと視線を走らせると、私達は揃って声を失った。


「…………あ、」


 永久の焔、そう呼ばれていた存在の正体がそこにいた。

 人を六人程背に乗せられそうな程大きい、燃え盛る鳥。

 この鳥を現す名前は沢山ある。おおとり鳳凰ほうおう、火の鳥、不死鳥フェニックス、そんな神話等に登場する霊鳥、もしくは神鳥とも言うべき存在が鳥篭のような物に閉じ込められていた。


「まさか、ここに辿り着ける人間がいるとは……」


 いままで伏していた顔を上げて私達を睥睨する不死鳥、その青い瞳は驚きを顕にしている。


「……不死鳥」


「いかにも、我は火の十二帝が不死鳥である」


 アルカの呟きに、不死鳥が翼を広げて肯定を示した。


「しかし、あの機械人形を相手にするのは、相等苦心した様子、どれ、これでどうか?」


 狭い鳥篭の中で翼をはためかせると、炎が巻き起こり私達を包み込んだ。


「わっぷ!?」


「あつ!! くないである」


「とても気持ちいい暖かさです」


「それに疲れや、傷も塞がっていきますわ」


 私達を包み込んだ炎は、安心するような暖かさと共に私達の傷を癒していく。

 ポーションでは治しきれなかった腹部の痛みも治まった。


「して、このような場所に何用か? ここには人間が求めるような金銀財宝等は一切ないぞ」


「ナタリーさんがあなたを解放してあげて欲しいと、日記に書いてあったのですわ」


「そうか、我を捕まえて利用したのが人なら、解放しようとするのも、また人か」


 どこか愉快そうに笑う不死鳥、だけど、不意にため息を吐く。


「だが、すまないな。解放しに来てくれたそなた達には悪いが、我はもうすぐ死ぬ運命だ」


 そんな……


「時空が切り取られた場所まで助けに来てくれたのは感謝の念が絶えん」


 時空の切り取られた場所? それはなんだろうか?


「その時間が切り取られた場所と言うのはここのことですの?」


「ん? 知らずにきたのか? 魔族との戦争中に大陸のいたる所が魔法によって切り取られた筈だ。我もこの中で時空魔法を感知したから間違いないと思うが……」


 なるほど、イベントエリアはそういう設定だった訳か。


「さて、ここまで来てくれた者達に何も渡さなかったとあれば我が名折れ、まずはこれを渡すとしよう」


 不死鳥がもう一度羽ばたくと、無機質な音が響く。


───────────────

フェニックスより特殊スキルを授与されました。


【不死鳥の加護】を習得しました。


【不死鳥の加護】は特殊スキルの為、専用のスキル欄にセットされます。

───────────────


 ポーン


───────────────

特殊スキルが解放されました。


これにより全プレイヤーの特殊スキル欄を解放します。


特殊スキルとは通常スキルとは違い、公式イベントや世界イベント以外で入手不可能な特別なスキルになります。


特殊スキルは特殊スキル欄にしか装備できません。

───────────────


 全プレイヤーのって事は、今まで誰も持ってなかったって事、つまり、現状は私達しか持ってないスキルか、どうしよう。また厄介な物を手に入れたみたい。

 いや、使えないスキルかもしれないし、効果を確認してから考えよ。それに、スキルって言うよりは、称号のような名、ま、え……


 効果を確認した私は、絶句するしかなかった。


───────────────

【不死鳥の加護】

不死鳥の加護により、一日一回、プレイヤーが死亡した際に完全な状態で蘇生される。


*任意発動不可、その日の一番最初の死亡時に自動発動。

*このスキルが発動した際はデスペナルティーは適用されません。

*回数のリセットはゲーム内の深夜0時。

*完全な状態とは、全状態異常、部位欠損、空腹等も含めた全ての回復した ベストコンディションの状態。

*このスキルは外せません。

───────────────


 どうしようこれ。

 ゲームに疎い私でさえ、この効果の凄さが分からない訳がない。


 現状、エンドレスフロンティアでは蘇生手段がないところを、私達六人だけ、他のプレイヤーより保健がある状態。

 エンドの言い方を借りるなら、HP2の状態だ。

 これを知れば、欲しがるプレイヤーは沢山いるだろう。


 嬉しくはあるけど、少し扱いに困るスキルを手に入れてしまった。


「これはおまけで、各自何か望みはあるか? 我に出切る範囲で叶えよう」


 この報酬がおまけって、運営は何を考えているのか。


「……私は力が欲しいですわ」


 まずシェスカが口火をきる。


「ならば、SP10を渡そう」


 SP10ってかなり奮発している。


 その後に続いて、アルカとテッタが同じ望みを言って、SP10を貰っている。

 リズとゴードンは不死鳥の素材を貰い、残るは私だけとなった。


「…………」


 これはゲームで、イベントなんだ。

 この不死鳥の設定も、運営が用意したものであるのも理解してるつもりだ。


 だけど。


 だけど、どうしても、悲しいと思ってしまう。

 利用されて、後は死んでしまうだけ……そんなのってないと思う。

 そういう設定だって理解してる上でそう思ってしまう。


 有り体に言えば、なっとくできない。気付けば私はこう言っていた。


「死なないで」


 SP10や素材を願うのが正しいやり方だろう。だけども私は━━


「…………」


 私の願いを聞いた不死鳥は動きを止め、しばらく固まると、声を出して笑い始めた。


「ふ、ふふ、ははははは、不死たる我に、死すらもおのがサイクルに入れた我に、よもや死なないでと願う者がいるとは……これは傑作だ」


 不死鳥が人であったなら間違いなく腹を抱えての大爆笑だったであろう。

 ひとしきり笑い満足したのか、不死鳥は私をじっと見つめて。


「すまないな少女よ。我が死は逃れられぬ事よ」


 ……そう、か。

 諦めかけた私、だけど不死鳥の話はそれで終わってなかった。


「だが、その願い聞き届けた」


 何を言ってるんだろうか。死ぬのは避けられないって、さっき言っていた筈なのに。


「我は不死鳥、死ねば灰となりそこから新生する霊鳥よ。故に」


「ちょっと、待って、さっき死ぬから助けても意味がないって言ってなかった?」


 灰の中から新生するって聞捨てならないんだけど。


「うむ。今のこの身は滅ぶ。その時の熱量なら、この鳥篭を壊せる為、助けに来てくれたのにすまないという意味だったのだが……よもや勘違いさせてしまったか?」


 ええ、させられましたよ。


「そうだけど、でも良かった」


「我は不死鳥、火の十二帝よ。そなたの願いを聞き届け、そなたの使い魔となろう」


 ん? なんだって?


 今、ものすごく変な事を言われた気がしたんだけど? 使い魔がなんだって?


「ふむ、時間だ。ではこれからよろしく頼むマイマスター」


 困惑する私を放ったまま、不死鳥は灰となり、不死鳥を捕まえていた鳥篭が吹き飛ぶ。


 灰の中から鷹程の大きさの燃え盛る鳥が這い出して来て、飛ぶと私の肩へと止まった。


「呆けた顔をしてどうしたのだマスター?」


 ……頭痛い。


「私、【調教】のスキル持ってないんだけど?」


「我は十二帝、我等は調教を持ってなくても使い魔とする事が出切るのだ。逆に調教があっても、普通では使い魔にできぬのだが……」


 うん。もう深く考えるの止めよう。そうしよう。




───────────────

隠しCクエスト3/3 遺跡の最奥に向かえクリアしました。


隠しCクエスト 永久の焔をクリアしました。


評価 S

報酬 【不死鳥の加護】

個別報酬 不死鳥

───────────────


 いつも通りの告知音と共にクエストの終了が告げられた。


仕事が、仕事が暇にならない件。


ローファンタジーもしくは、ハイファンタジーも構想してるけど、うん書く時間ないね。

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