第21 ミスリル
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【行動制限解除】の事を検証した後、私達三人は色々と話し合い盛り上がった。それから三日が経過して夏休み初日、例の如く家事全般を終わらした私は工房の中に籠って盛大にため息を吐いている。
私の目の前にはナマクラと呼ぶことすら烏滸がましい☆1の山がある。
【魔力操作】のスキルを習得してから三日間、気分転換にシェスカやリズと会ったりはしたけど、基本ミスリルの生産に勤しんでいた。
「それなのに、このゴミの山、軽く凹む」
材料節約の為ナイフを作っている。見た目は綺麗に出来上がるのだ。だけどそれだけ、数回鋼のナイフと打ち合わせるだけで刃毀れしてまったく使い物にならない。
こんなんじゃブレイブに装備を渡せないじゃない……
「一度引き受けたものを出来ないとか言いたくないし、やるしかないよね」
インゴットにしたミスリルを炉に入れる。一度インゴットにしたミスリルは鉱石の時とは違いある程度耐火性が上がっている。
それでも気を抜くとすぐに溶けてしまう為【魔力操作】で包んであげるしかない。
ハシで挟んだミスリルを【魔力操作】を使ってMPで包む。
【魔力操作】のスキルは色んな効果を持つスキルだった。
私は魔法を使わないので知らなかった事だけど、エンドレスフロンティアではステータスを上げても魔法の威力は変わらないらしい。
ならどうやって魔法の威力を上げるのかと言えば、まず魔法、マギアには最低MPと最大MPがあって、マギアを使う時にどれだけMPを込めるのかと、武器の質でマギアの威力を決めているみたいだ。
【魔力操作】はその最大MPの上限を上げる効果がある。単純にマギアの威力を上げる事が出切るのが一つ目の効果、次はMPを体内の外に出せるようになり、それを物に纏わせたり、MPそのものを形を変えたりする事が出切る。MPを外に出している間はMPを徐々に消費するので、私は残った経験値を全て精神に振り分ける羽目になった訳だけども。
アニメ等である魔力を纏って身体能力の強化なんて言う事は出来なかった。
MPを消費してミスリルを保護しつつ鎚を振るう。折り返し鍛練をおこないナイフの形に整えていく。
何度もしたこの作業だけど、今回はちょっと違った。
「ふぁ、へくし!」
不意にくしゃみをしてしまったのだ、その際力んでしまって、ミスリルを保護していたMPの膜が厚くなり、ミスリルにMPが供給された感覚があった。
まさか、MPを物に込める事が出切る? いや、少し考えれば分かる事だったかもしれない。魔導人形も魔力が籠った石、魔石を核にしている訳だし、魔力であるMPを物に籠める事だって出切る筈だ。
あの本に書いてあったのは魔力で保護してたんじゃなくて、魔力をミスリルに籠めてたんじゃないだろうか? それを魔力で保護しているように見えたとしてたら?
考えるよりやれっだ。限界までMPを籠めてナイフを作り終えると、性能の確認をする。
「やっと☆2が作れた……」
どうやら直感は正しかったらしい。問題は物にMPを籠めると物凄い速さでMPを消費していく事だろう。残った経験値を精神に割り振ったとはいえ、元が4だったのでそこまで高くなってない私のMPではすぐに枯渇してしまうだろう。だとしたらどうするべきか? 決まってるMPポーションをがぶ飲みするしかない。
そんな訳で私はサンゴから貰っていた☆6のMPポーションを取り出すと横に並べて置く。
さぁて、始めようか。
「はぁー」
次の日、私はまた工房にてため息を吐いている。
目の前にはゴミと呼ぶには上等なシロモノだけど、私からしたらナマクラとしか呼べない☆3と☆4の山だ。
「あぁ、何が足らないのかなぁ、☆5に届かない」
手持ちのMPポーションを使いきった私はサンゴの所に行ってMPポーションを2スタック程譲って貰ったんだけど、既に半分程使いきってしまっている。
ミスリルも大分消費してしまったし、そろそろ☆6を作りたいんだけど……
「何が足らないのかなぁ? いっそのこと焼き入れようのお湯を魔導薬かMPポーションで作ってみようか?」
貴重な薬をそんな事に使ってどうすると思わなくもないけれど、この時の私はどうかしていたとしか思えない。
はっと気付いた時には私の手に☆7のナイフが握られていた。
アイテム名 マッドネスポイズン
等級 ☆7
品質 良
スロット 13
残りスロット 0
斬撃補正 52
打撃補正 0
刺突補正 49
耐久値 175/175
発動スキル
【耐久値減少軽減 Ⅱ】【耐久値上昇 Ⅱ】【薬物強化 Ⅲ】
評価
メロディアがトリップしながら作ったナイフ、余計な雑念を捨てて作られたこのナイフは実用性一辺倒で、生き物をより苦しませるような工夫が凝らされており、本人の嗜虐性を具現化したような物、薬を塗り込む事で切りつけた相手を様々な状態異常にする事ができる。
評価は本当に私の事が嫌いなんじゃないかな? 只でさえ暴虐姫とか不名誉な二つ名をつけられてるのに、これでは更に悪評がたっちゃうじゃない。
それにしても意地が悪いのは知ってはいたつもりだけど、ここの運営は本当に悪意がある。
まさか、焼き入れようのお湯を魔導薬とMPポーションを混ぜた物に変えたら等級が上がるとは思わなかった。頭がどうかしていたとはいえ、これが正解とは思わなかった。
従来のゲームとは違ったVRゲームだからこその罠に私が感心していると、まるで狙ったかのように無機質な告知音が響く。
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公式イベントのお知らせ。
毎日が暑い中皆様どうお過ごしでしょうか?
私達四姫は大変忙しく過ごしています。ええ、それはもう忙しいです。なんでも学生の方達は夏休みなる物があるようですが、私達にはそんなものはありません。心臓様とタメをはれるブラックな環境です。
そんな中でも私達は皆様の御健勝をお祈りしています。
前置きはこの辺にしておいて、この度運営が主催する公式イベントを開催する運びとなりました。
開催イベントは下記の内容となります。
公式イベント
王都に時空の歪みが出現する傾向がある。そこで四姫神の加護を持つ異邦人の君達には歪みの向こう側の調査を御願いしたい。
調査に参加してくれる者は一週間後王都のポータル前まで集合してほしい。勇ある者が集ってくれる事を祈る。
開催日時
一週間後の12時
参加条件
なし
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一週間後、か。
ブレイブ達とリズ、サンゴ、シェスカ、私の装備と、ドゥーガと新しい魔導人形の基礎フレームの交換と、時間的にギリギリかな。最悪私の武器は間に合わせでいいか。
「気をとりなおして、再開しようか‼」
気を入れ換える為頬を叩き、また炉にミスリルを入れた。
次回、一応掲示板の予定です。掲示板で何を書こうか悩んでいるので、少し遅くなるかもしれません。




