第20話 行動制限解除
遅くなってすみません。
一日の三分の二を仕事場にいたら、やっぱり書けなかったよorz
私とリズは今とあるギルドのホームへと来ていた。
私がリズの店に着くと、既に話をつけていてくれたリズが待っていて、相手が今日中に会いたいという事らしく、そのまま向かう事になったのだ。
先日結成されたギルド【アマデウス】そのサブマスターの部屋へと案内されると、三つある椅子の一つに一人の美少女が座っていた。
薄紫の髪と目、白を基調とした服を着た物腰が柔らかそうな美少女だ。
「やあ、シェスカさっきぶり」
リズがフレンドリーに話し掛け椅子に座る。
「ええ、さっそくですがリズさん彼女の紹介と私の紹介をしていただけると助かりますわ。あ、どうぞお掛けになってくださいまし」
なんだろう。凄くソワソワしている。第一印象だと落ち着いた美人って感じだったんだけど……
「それじゃあ失礼して」
「メルちゃんも座った事だし、じゃあ紹介するよ。シェスカこの娘はメロディア私のフレンドだよ。それでメルちゃんこっちの娘はシェスカルナ、やっぱり私のフレンドでこのギルドのサブマスターだね」
「シェスカルナですわ、よろしくメロディアさん」
「メロディア、こちらこそよろしくシェスカルナ」
お互いに手を取って握手をする。
「私の事はシェスカで良いですわ」
「なら、私もメルで良い」
「わかりましたわ。それではさっそく本題に入りたいのですが、メルさんは【魔力操作】のスキルを取りたいのですよね?」
【魔力操作】それがMPを操作して、ミスリルを精練する事ができるかもしれないスキルか。私は静かに首肯く。
「一応、これは隠しスキルの一つで、現状持っているプレイヤーは少ないんですの、それを教えるとなると、私としても相応の見返りがないと無理ですわ」
「見返りって?」
まずは、相手の要求がわからないと取引にもならない。シェスカは我が意を得たりと言わんばかりに微笑んだ。
「まずは確認をしたいのですが、貴女は等級の高い武器をお持ちですわよね?」
確認をしたいと言ってはいるけど、彼女の表情と口調は確信をしてると告げている。
これは既に掲示板で散々書かれている事でもあるから、最早隠す事じゃない。
「持っているけど?」
「よろしければ等級を聞かせて頂いても?」
「鋼の☆7」
そこで初めてシェスカは驚いた顔をした。等級が高いと言っても、恐らく☆6までだと思っていたんだろう。私は言わずもがなリズ達も本当に良いものはそこまで口外していないからだ。
「失礼しましたわ。☆7は初めて聞きましたので、少々驚いてしまいました。それでその武器の出どころを聞いても?」
ここで私はリズの顔を見る。リズはしょうがないかと言った様子で苦笑いを浮かべて頷いた。
掲示板の事が嫌いな私にブレイブやリズ達は私に関係する事があれば教えてくれるんだけど、その中に私の考察スレみたいなモノがあるようで、そこでは私が五人目なんじゃ無いかと予想した人がいたようだ。
ブレイブ達やリズ、サンゴと仲が良いし、そういった話が出てくるのもわかる。そろそろ隠しておくのも無理があるし、相手にもよるけど明かしても良いと思う。リズにシェスカは大丈夫かと確認をしたんだ。
「あまり口外しないで欲しいけど、私が作った物だよ」
証拠として片手剣を一つ取り出して渡す。ステータスを確認したのだろう。シェスカは一つため息を吐いた。
「なるほど、やはり貴女が五人目でしたのね」
やっぱり、怪しまれてはいたみいだね。
「と言う事は、烈剣やリズさんの武器は━━」
「私が作った物、その中でリズが持っている大剣が最高のできだけどね」
「……そうですか、でしたらメルさん【アマデウス】へ入りませんか? それでしたらギルドメンバーですので【魔力操作】を教える事もできますわ」
まあ、そうなるよね。実際私がシェスカの立場であったらそう話を持ちかけるだろう。
でも━━
「ごめんなさい。私はギルドに所属する気はないんで」
「ふぅ、リズさんと同じ事を言うんですのね」
ため息を吐いてはいるけど、とくに残念そうな顔をしていないところから、一応聞いてみた程度なんだろう。
「誰かに強要されるのは好きじゃないから、ごめんなさい」
「いいですわ。私もダメ元で聞いてみただけですので、ですが不思議ですわね」
「何が?」
「【魔力操作】のスキルはある住人の方に教えて頂いて覚えるスキルなのですが、それまでそのスキルの情報は一切出てこないのですわ。このスキルを何処で御知りになったのかしら?」
「大図書館で、ミスリルの精練方法を探している時に見つけた」
それもティーダに助言をもらってだけど。
「大図書館? あそこって如何わしい本や【ゴブリンシリーズ】や【オークシリーズ】しか無かったと思うんだけど、あ、後は読めないミミズの字ね」
リズも図書館に行ってたとは思わなかった。
「【古代語】のスキルがあると読めるようになるよ」
「あー、あれかぁ~」
「なるほど、それで話的に、ミスリル製装備を作るために【魔力操作】のスキルが必要なんですの?」
「そう」
「わかりましたわ。【魔力操作】のスキルをお教え致しますわ」
「ありがとう。それで私の対価は何を?」
「いえ、もう十分に頂きましたわ、ミスリル製の装備を作るに【魔力操作】のスキルが必要、これだけでも十分に見返りになりますわ」
そういう事か、私が他人に装備を作らないのは今までの事で明らか、そうなると私の知り合い以外の装備は暫く鋼で止まることになる。
攻略はできなくはないんだろうけど、結構な時間がかかるだろう。そこで【アマデウス】のプレイヤーがミスリルの装備を作れるようになればどうだろうか?
答えは簡単、他のギルドから武器の作製依頼やミスリルの精練方法を売り付ける事も出切るだろう。
「ただ、それとは別に個人で頼みたい事がありますわ」
「何?」
「その、よ、よろしければ、私とフレンドになって頂きたいんですの」
さっきまでとは一変、耳まで真っ赤にしてモジモジとしたシェスカに、思わず面食らってしまった。
「あ、あの、私楽しみでしたの、リズさんからあのサイクロップスを宙へ投げ空き缶の如く蹴り飛ばし、あのクレーターを作る程の大火力を斧一本で出してみせる方が私に聞きたいことがあると言われて、いてもたってもいられませんでしたわ」
何故だろう。今私の頭の中には類は友を呼ぶって言葉が激しく自己主張をしている。もしかしてリズとは違ったタイプの変態なんじゃ……
「あ~、シェスカはねぇ。あたしとは違った病気だからねぇ」
「是非是非、私とお友達になってくださいまし!!」
あの近い近い、顔が近いから!! 後リズは羨ましそうな顔をしてないで助けてよ。
「わかった。わかったから!!
落ち着いてシェスカ」
身を乗り出す彼女の肩を掴んで座らせると、とても嬉しそうな顔を浮かべていた。
「はい。フレンド申請送ったから」
「うふふ、これでメルさんとお友達になれましたわ」
私の名前がフレンド欄に追加されたのを確認して、今にも小躍りをしそうな程に弛んだ顔をしているけど、私とフレンドになったからって、そこまでなるものなんだろうか? 勿論フレンドなら武器の作製ぐらい受けるけど、恩恵なんてそれだけだ。
すると、顔を近付けてリズが耳打ちをしてくる。
「シェスカはああ見えて、戦闘狂の気があるから、魔法も使わずあのクレーターを作り出したり、アーツを使わないでサイクロップスを投げた事に感銘を受けたみたいなんだよね」
何となく感じてはいたんだけど、ああ、やっぱりそっちの人だったか……
「それではメルさん!!」
「な、何?」
「さっそく【魔力操作】の習得を始めましょう。何処でもよろしいので肌を晒して頂けます?」
あれ? てっきり【魔力操作】を教えてくれる住人の方を紹介してくれるんだと思ってたんだけど、シェスカ自身が教えてくれるんだ。
上着を脱ぐのも面倒なので、右の袖を肘くらいまで捲りあげる。
「では、失礼致しますわ」
シェスカが私の腕を手に取ると、シェスカから私に向かって何かが流れ込んでくるような感じがする。暫くすると今度は私の中の何かがシェスカの方へと引っ張られているような感じに変わった。
「分かりますかメルさん、今私のMPをメルさんの中に送り込んで、メルさんのMPを引っ張ったりしているんですけど」
「うん。わかる」
「でしたら、次は自分の意思で私のMPを引っ張ってみてください」
言われた通りにシェスカのMPを引っ張ろうとする。なんて言えば良いのかな。叔母さんにマッサージを教えてもらった時の感覚に近いのかな。叔母さんは丹田にて練り、氣満ちて氣息をし、自在に動かすって言ってたっけ。
確かこうだった筈、下腹部を意識して深呼吸、器に水が満ちていくような感覚、それが通路を通り全身に満ちて行って、規則正しく息を吸って吐く。私の中にある異物を絡め取って引っ張るようなイメージする。
それと同時にお馴染みのあの音がなった。
───────────────
これまでの行動により新しいスキルがアンロックされました。
アンロックされたスキル
魔力操作
闘気
───────────────
おかしい。【魔力操作】ともう一つ開放されたんだけど、シェスカも同じだったのかな?
「凄い、凄いですわ。あっという間に覚えてしまいました」
よくわからないけどシェスカが興奮してる。ついでだし他のスキルの事も聞いてみようか。
「ねぇ、シェスカ」
「はい!! なんですの!?」
「今ので、スキルが二つ開放されたんだけど、シェスカもされた?」
「え、なんですのそれ? 私は【魔力操作】以外に開放されてませんわ」
うーん。私はプレイヤーから教えて貰ったから?
でもスキルがないとその行動はできない……あれ? おかしくない?
あのウインドウにはこう書かれていた。これまでの【行動】により新しいスキルがアンロックされたって。
でもスキルがないとその行動に対する制限が解除されない筈、なら私とシェスカで違うのはなんだろう? 教えてもらった人の違い。所持スキルの違い。後考えられるのはステータスの違いだけど、私よりステータスが低いってことはなさそうだから、違うと思うし、そうなると一番怪しいのはあのスキルだろう。
「私は【魔力操作】【闘気】の二つが開放されたんだけど……」
「聞いた事のないスキルですわ」
「だねぇ」
まだ発見されていないスキルなのか、それとも誰かが隠しているスキルなのかはわからないけど……
そも、制限されている行動を何故出来るのか? 私は【行動制限解除】があるから問題が無かったけど、本来スキルがなければ料理等も出来ない。
なら、その制限を解除するにはどうすればいいのか、一つは【行動制限解除】を装備している事、もう一つは誰かにそのスキルを教わっている時なんじゃないかと思う。
それならスキルが無くてもその行動を出切る事に違和感がない。
あくまでも仮説でしかないけど、あながち間違いじゃないと思う。
そして、【行動制限解除】のSPの重さにも納得がいく。行動を伴うスキルならば、隠しスキルでも制限が解除される。つまり条件さえわかれば、誰かに教わらなくても隠しスキルを開放する事が出切るのだ。SP10なら安い方かもしれない。
「たぶん【行動制限解除】のせいで、手に入ったんだと思う」
「なるほど、あり得そうだね」
「【行動制限解除】ですか……」
リズは納得したように手を打ち合わせて、シェスカは何か考え込むように顎に指をやった。
「なら、あたしが【行動制限解除】を外してシェスカに教えてもらえばわかるんじゃない?」
「検証するの?」
リズは既に【行動制限解除】を持ってるからSPが無駄にはならないからね。
「そうだね。スキルの事は知っておいた方が良いからね。じゃあシェスカお願い」
「……わかりましたわ」
【行動制限解除】を外したリズの腕をシェスカが握って暫くすると、サムズアップをするリズ。
「【魔力操作】開放されたよ。次は【行動制限解除】を装備してっと、シェスカもう一回お願い」
【魔力操作】よりは時間が掛かったものの、再びサムズアップをするリズ。どうやら習得に成功したみたい。
「【闘気】が開放されたよ。あたししか検証してないから、確実とは言えないけど、あながち間違いじゃないと思うよ」
「いえ、二人ですわ」
「え?」
「私だけ除け者とか嫌でしたので、【行動制限解除】取っちゃいましたわ」
どのスキルを習得するかは個人の自由なのでなにも言えないけど、よくSP10を払って使えないかもしれないスキルを習得しようと思ったもんだと思う。
スキルを習得した本人は舌を少し出して笑っている。
「【行動制限解除】を装備して試したら私も【闘気】が開放されたので、メルさんの仮説が正しいと思いますわ」
「それでどうする? この事掲示板にでも書き込む? 【行動制限解除】ってゴミスキル扱いだから習得してる人って少ないし、あたし達以外から情報が出る事は低いと思うけど?」
掲示板に書き込むかどうか、それについては二人の意見も聞かなくちゃいけないけど、私としては書き込みたくはないかな。
スキルの内容を探し当てたとかで有名になりたくないし、手の内を一枚知られるのも痛い。
「私は掲示板に書き込みたくないかな……」
「なら三人だけの秘密だね、情報ってどこから漏れるかわからないし」
「異議なしですわ。これはメルさんが気付いた事ですし、私もギルメンに黙っておきますわ」
私が気付いた事だけど、検証をしたのは二人なんだから、二人にも決定権はある筈なのに、私の意見にあわせてくれた事にお礼を言った。
次話なんちゃって鍛治回、その後イベント開始予定ですが、その間に掲示板を入れようか悩んでいます。もしかしたら鍛治回、掲示板回、イベント開始になるかもしれません。




