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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
第一章 始まりの街のメロディア
16/63

第13話 勇気

ブックマーク、感想等ありがとうございます。


今回は勇気視点の話になります。

「おはよう勇気君」


「ああ、おはよう葵」


 クラスに入って席に座ると、響と俺の共通の、いや、響の親友である橘葵に挨拶された。


「今日もヒビちゃんお休みなんだ……」


「ああ、心配するなって言ってたよ」


 今月の検診の日から、三日程響は学校を休んでいる。勿論具合が悪い訳じゃなくて、単純に行きたくないと言っていたんだけど。


 まぁ、しょうがないか、響はクラスメートの事があまり好きじゃないからな。

 むしろ、葵とさえよく仲良くなれたと思う程だ。

 本人曰く、出席日数は計算して休んでいるから無問題らしい。そんなんでいつもテストは七十点台をキープするんだから、不公平だよなぁ。


「勇気君はダメダメだよ。女の子の心配するなって言うのは、心配してっていう裏返しなんだから」


 なぜか分からんけど葵にダメ出しされたんだけど、……解せん。

 響ならハッキリと物事を言うし、それに心配するなって、葵に向けた言葉な筈なんだけど……


「分かった!?」


「お、おう」


 どうして、こう俺の周りの女性達は響の事になると怖くなるんだろうか。葵しかり、リズは変態だけど、俺の母親しかり。

 九年前、響が家に住む事になった時に、母さんの張り切り方は異常と言うべきだった。

 いや、昔から響贔屓が凄かったけどさ、実際、よくグレなかったと思う程、母さんは俺に厳しい。


 昔反抗期の時の話しだけど、髪を金髪に染めたら怒られ、それに反抗してクソババァと呼んだ事がある。今ではよくそんなチャレンジャーな事が出来たなっと、昔の自分の蛮勇を褒めちぎりたい程だ。

 クソババァと呼ばれた母さんはキレ、訳もわからない程の速度で床に叩き付けられると、腕を捻り背中を踏み、何処から取り出したのか分からないが剃刀で丸坊主にされた。

 その後、初犯だから特別に赦すけど、次に言ったら命はないからね愚息と脅され、世の中には逆らってはいけない人がいると学んだ中二の夏だった。


 思い返してみると、よくグレなかったんじゃなくて、グレてたら今頃命が無かっただろう。

 本当、よく今まで生きてたよな俺。


「青い顔をしてどうしたの勇気君?」


「ん、いや、よく俺は生きてこれたなって、思ってさ」


「よく分からないけど、良かったね」


 本当にね。誰か俺に優しさを下さい。


「ち、このエロゲ野郎が」


「朝からイチャイチャしやがって」


「美人の母親がいて、病弱な合法ロリ巨乳の幼馴染がいて尚且つ同棲、クラスメートの美少女とも仲良くしてるとか何処のエロゲの主人公だよ」


「クソクソクソ、あのすかしたツラに拳を入れてぇ」


「もげろ、爆ぜろ、爆殺四散しろ」


「俺達非モテの怨みを思い知らせてやる」


 怨嗟の籠った声がクラス内に響いているが、精神衛生上の問題で無視をする。

 第一にエロゲの主人公とか言われているけど、俺は出会った頃から響一筋だから、つか一目惚れだった。

 第二に葵は美少女だけど、響が絡むと夜叉の類いかと思う時があるし、響も可愛い顔をして実は獅子の類いだからな? 俺の母親? アレは最早化生の類いだよ。隙さえあれば、訓練と称して実の息子を殺そうとしてくるんだからな。


 そんな事を知るよしもない野郎共の怨嗟の声をBGMとして、俺の学校生活は今日もいつも通りの模様だ。



───────────────

 ログインしました。


 いつも通りの学校を終えて、速攻で帰宅ログインする。

 響の出迎えがなかったから、響もゲーム内にいるだろう。

 このゲームを進めた身としては、気に入ってくれて何よりだ。


 フレンド画面を見てクラウド達がログインしてるかを確認したが誰もインしてねぇな。

 さて、どうするか……


 装備の耐久値も問題ないし、狩りにでも行くか。一人って言うのも久し振りだし悪くない。

 そうと決まれば狩りは急げだ。ポータルを使って第二の街へと飛び、北の山岳地帯の方へ向かう。


 この辺りは敵が他のエリアよりも殊更堅いので、大半のプレイヤー達は近付かないから、狩りの効率が良い。ついでにメルに鉱石でも掘っていく事も出来るし、一石二鳥だ。

 脚力強化のスキルとステータスに物を言わせてひた走り、此方の時間で一時間もしない内に街から山岳地帯の入り口へと辿り着く。


 山路の為あっちに行ったりこっちに行ったりとぐねった道になっているけど、行動制限解除のスキルでどんな悪路でも一直線に走って行く事が出来る。


「よ、ほ、は、母さんに走らされたあの山路に比べれば軽い軽い」


 リアルの身体能力ならキツい山路もゲーム内のステータスなら散歩コースと大差がない。

 そんな調子で山の中腹まで駆け上がると、少し開けた場所に出た。


「よし、ここら辺を探索するかって、ゴーレムか、よしよしおいでませ」


 周囲の岩が集まって不細工な巨人が出来上がる。今現在近接プレイヤーが戦いたくないmob一位に輝いているゴーレムさんだ。

 ゴーレムは兎に角堅い、鋼製の武器でも変な切り方をすれば耐久値がごっそりと減る。


 まぁ、鋼製の武器が出回り始めたから第二の街周辺の攻略も進み始めてはいるらしいけど、まだ等級がついて来てない。鉄よりも素材が良いから鉄製よりは攻撃力が上がっているだけだ。


 そもゴーレムに剣等の斬撃武器で立ち向かうなって話しだけど、戦鎚や魔法で戦えば少しは楽に戦えるだろうに……

 俺も片手剣で戦うから人の事は言えないけどさ。


 走って俺へと向かってくるゴーレムは、その巨腕を振り下ろしてくる。

 それをゴーレムの方へと踏み込んで躱し、股下を転がって振り向き様に右の膝裏部分を斬る。

 俺の攻撃はキンッと金属音がして、少し膝裏に傷をつけただけだった。

 ゴーレムが振り向く前に後ろに飛び退く。


「いや、堅い堅い、メルの剣を使ってから斬れなかったのってゴーレムだけなんだよな」


 だからこそ、訓練やスキルのレベル上げにもなるんだけどさ。

 ここ最近はミスをしてもフォローしてくれる仲間とメルが作った装備があったから問題がなかったけど、その代わり、こう熱くなるっていうか、自分が研ぎ澄まされていく感覚がないと言うか、物足りなかったのも事実なのだ。


 あまり目立ち過ぎると面倒な事になるから、自重していた部分もあるんだが。

 だけど、ここならそんな事気にしなくて良いからな絶好の狩場である。


「さて、続きをしようか?」


 当たれば一撃で死亡、もしくは行動不能になる可能性が高い攻撃を出来る限り紙一重で躱して、いなして、捌いていく。

 そのついでに一撃ずつゴーレムの巨躯の何処かに傷をつけていく、その一撃も段々と重くなっていき、遂にはゴーレムの右腕を半ばから切り落とした。


 メルの装備を買う前に取っていた、【連撃】のスキル効果だ。自分の攻撃が当たる度に攻撃力が強化されていくスキルで、戦闘が終了するか、自分の攻撃が躱されるか、敵の攻撃を食らうまで効果は続く。

 メルの剣の性能が良かった為、最初引っ掻き傷程度しかつかなかったけど、五十合辺りで切断に成功した。

 ここまできてしまえば、後は単純な作業ゲーだ。尚も我武者羅に腕を振り回すゴーレムを切り刻んで、物を言わぬ石コロへとかえる。

 ふぅ、戦闘終了っと、やっぱりこのゲームはステータスやスキルだけじゃなくて、プレイヤーのリアルスキルも重要になってる。いや、リアルスキルを重要視し過ぎていると言った方が正しいな。


 今の戦闘、俺は片手剣と連撃、脚力強化、腕力強化以外のスキルを使用していない。片手剣のスキルにしてもアーツやOAオリジナルアーツを使ってない。


 何が言いたいのかって言えば、このゲームはステータスとスキルの差をプレイヤーのリアルスキル次第で簡単に覆してしまえる可能性がある事だ。

 どんなに優れたステータスがあっても当たらなくちゃダメージにはならないし、どんなに速くても、それを使いこなせなくちゃ意味がない。

 実際攻略組の六割はステータスとスキル、数に物を言わせて戦っている。

 自慢する訳じゃないけど、そんな連中なんて俺からすれば物の数じゃない。逃げられない程の範囲を魔法で覆い尽くされなければ、確実に勝てる自信がある。

 攻略組よりもステータスが低いメルですら鼻歌を歌いながら蹴散らすだろう。

 恐らくそれでは何処かで攻略の頭打ちが来るんじゃないかと思っている。別に俺がそんな事を心配する義理はない。攻略が出来ないなら出切るまで頑張れとしか言えない。

 まぁ、こんなところでウダウダと考えていてもしょうがない事だ。だけど俺にはこう思えてならない。運営や開発はプレイヤー間のバランスをとる気が無いんじゃないか……?


 その後も快勝を重ねて、街へと帰ると一通のインフォが届く。




information──────────

世界イベント開放のお知らせ。


梅雨もあけ皆さまどう御過ごしでしょうか? 私達四姫は大変ブラックな扱いを受けています。AIなのを良い事に鬼畜な扱いを受けています。


そんな中皆様方の御健勝をお祈りしております。


前置きはこの辺にしておいて、この度第二の街が開放され数日が経ちました。そこで世界イベントが開放されます。


世界イベントとは、この世界の情勢、プレイヤー様方の行動によって引き起こる事件の総称となります。その規模は大小様々となっており、酷いモノに成れば街の一つが無くなる可能性もあります。

また、世界イベントで引き起こったこの世界への影響は不可逆です。運営側は一切関与致しません。


どの時期にどのイベントが起きる等の告知も一切ありませんので、皆様方の手でお探し下さい。


今回の世界イベントはチュートリアル的な要素もありますので、告知致しますが、以後はありませんので御了承下さいますようお願い申し上げます。



世界イベント

第一の街周辺に魔物の群れが集まっている様子、このままでは第一の街が危ない。プレイヤーの方々は魔物を撃破、街を防衛して下さい。


日時

今週土曜日 午後12時


イベント内容

防衛戦


勝利条件

敵魔物の親玉撃破


敗北条件

第一の街の壊滅


───────────────


 今週の土曜日って明日じゃん。俺は思わずマジかよっと呟く事しか出来なかった。


次回は響視点に戻ります。


恐らく明後日以降の更進になります。

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