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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
第一章 始まりの街のメロディア
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第11話 人形作り

やっと昼休み、今回も短めです。

 ログインしました。

 すっかりと見慣れたインフォメーションをスルーして、工房を出ていく。


 リアルで検診後買い物をして、掃除洗濯、夕食の下準備を終えてからログインしたんだけど、丁度よくこっちでは13時を過ぎた辺りだった。

 時間的に問題ないし、早速ゼペットさんの所に向かう。


「こんにちは」


「おお、メロディアよく来たね」


 今日はカウンターの中にゼペットさんがいた。


「では、早速修行するとしようか」


 そう言ったゼペットさんが奥へと進んでいく、その後についていくと工房のような場所に着いた。

 工房の中には幾何学的な模様が描いてある布が二枚あって、さらに色々と用途の分からないものが置いてあった。


「さて、メロディアまずは材料作りから始めないと、魔導人形は作れない」


 鍛冶で鉱石を採掘したり、インゴットにするのと一緒だね。


「その材料作りだが、合成のスキルがないと作れないんだ。合成のスキルが無いなら修得してほしい」


 リストから合成を見つけて、早速修得する。

 アシスト機能はオフのままにする、この間アシストをオンにして鍛冶をしたら、物凄くやり辛かった挙げ句、久し振りに☆4なんて準ナマクラを作る羽目になった。それ以来アシストなんて使わないと固く決めたのだ。


「修得しました」


「うむ。では始めるとしようか」


 机へと案内されて座ると、一枚の厚手の布を手渡された。


「私からのプレゼントだ。合成をする上で必要になる合成陣という代物だ」


 渡された布、合成陣を広げると机一杯になる大きさで、幾何学的な模様が所狭しと記されている


「ありがとうゼペットさん」


「うむ。次にこれだ」


 次に渡されたのは大きな肉塊と試験管に入った液体、そして何かの粉末。どう使うのかさっぱり解らない。


「さて、合成は合成陣を使って行う訳だが、材料をすべて置いてポンっとはいかない。先ずはベースとなる素材を中心に置く。今回は肉塊がベースになるから、肉塊を真ん中の陣に置いてくれ」


 やっぱりタッチでポンっとはいかないらしい。ゼペットさんの言う通りに肉塊を真ん中の大きめな陣に置く。


「よし、次に上の陣に屑魔石の粉末を置いて、合成と言えば始まる」


 真ん中の陣から十字の形で陣が四つある。それの一番上に粉末を置いた。


「【合成】」


 二つの素材が陣の中に消え、合成陣全体が蒼く輝き、上の陣から真ん中の陣へと光が走る。


「ベースの陣へと光がきたら、その魔導薬を真ん中の陣へかけなさい」


 コルク栓を抜いて、薄紫色の液体を真ん中の陣へとかけると、トプンっと音をたてて液体が飲み込まれていく。

 試験管の中が空になるのと同時に合成陣が一際強い輝きを放った。

 すぐに輝きが収まると合成陣の上に長い肉色の何かが乗っかっていた。


「成功だね。これが魔導人形の材料の一つ魔造筋肉マジカルマッスルだ」


 出来上がった魔造筋肉を手に取る。なんというか、肉というよりもゴムのような感触だね。

 ゼペットさんが言うには、魔造筋肉は大量に使う事になるのと、この魔造筋肉の出来と使い方が魔導人形の力の出力を決めるみたい。


「さて、次の材料だけどね。これは鍛冶師である君には教える必要はないかな。人で言う骨の代わり、基礎フレームの作成だが私はテツにやってもらっている」


 ゼペットさんが指を差した方を見ると、棒状の金属が纏めて置いてある。


「あのパーツ毎に作られたフレームを繋げて、その上から魔造筋肉を取り付けていくんだよ」


 今はやらないけどね。そう言って次の材料の元が渡される。

 鋼糸? ううん。違うこれは銅だ。銅を鋼糸並みの細さにした物だ。銅線とでも呼ぶべきかな。

 銅線とさっきも使った魔導薬、屑魔石の粉末、そして黄色い液体の入った試験管、クリーム色の液体の入った試験管の全五種類だ。


「ベースは銅糸、上の陣に屑魔石、下の陣にクリーム色の薬、過敏薬、左の陣に黄色い薬、麻痺薬を置いて、合成開始、魔導薬を三回に分けて掛けてごらん」


 銅線はどうやら銅糸と言うみたいだ。そのままだね。

 言われた通りに合成をすると、陣が輝き、上、下、左の順でベースの陣へと光が走る。魔導薬を三回に分けて掛けて、合成陣が一際強く輝いた後には銅糸があった。

 失敗した? 手に取って確認してみるけど、特に変わったところがない、仕方ないアイテム名を見てみるとしよう。




アイテム名 導魔線

等級 ☆2

品質 悪


評価

魔力を伝導する性質を持つ金属線、作り手の手際が悪かった為、品質が低い。




 導魔線って言うんだ。もしかしてこれが私が探していた材料じゃ……


「これが導魔線、人で言う神経みたいなものでね。メロディア君が探していた材料でもある」


 あ、やっぱりそうなんだ。


「後は、人型なら人工皮膚、若しくは鎧兜等を筋肉にくっ付けてあるタイプとかもあったね」


 他にもローラーのついた近未来型の魔導人形等、バリエーションがあるみたい。


「さて、まだまだ沢山材料が必要だからね」


 手渡された物を指示に従って合成していく。魔導人形の目、人工皮膚、爪、髪等他にも細かい物が沢山あり、最後に心臓部、詰まり動力源を合成して終了になる。


「丁度一区切りだし、今日はここまでににしようか」


 部屋の中にある時計を見ると、既に6時を回っている。かなり集中してたみたい。

 あまり長いをしても迷惑になるし、そろそろ御暇しよう。


「今日はありがとうございました」


「ああ、筋が良いから私もつい教えるのが楽しくなってしまった。またいつでも来ると良い」


 ゼペットさんとレーゼさんに見送られて、ゼペットの家を跡にした。

 空は綺麗な茜色で、街中は狩りから帰ってきたプレイヤー達で溢れている。

 溢れているとは言っても第二の街が開放されてから、そっちに拠点を移した人もいるので、前よりは多くない。


 勇気は今なにしてるかな……ちゃんと勉強をしてると良いけど、もうすぐ期末も近いし、葵に聞いてサボってたら虐めるとしよう。

 どうせ私に泣き付いてくるんだから、それくらいは許される筈。


 それにしても、夕焼け、か。やっぱり好きにはなれそうにない……

 その夕焼けが綺麗なら綺麗な程、どうにも嫌な事を思い出してしまう。

 憂鬱とした気分で工房へと戻り、それを流すようお風呂へ入って、ベッドへと横になる。


 ゲーム内とはいえ疲れていたのか、程なくして睡魔が襲い、瞼を閉じ深い闇へと落ちていった。



次の更新は恐らく明後日以降になると思います。

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