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エンドレスフロンティア  作者: 紫音
第一章 始まりの街のメロディア
13/63

第10話 人形師

書いている途中でデーターが消えるって、悲しいものですね。


最後の方にリアルの話が少し入ります。


8/22 最後のリアルの話を少し書き足しています。

「ここ、だよね」


 手書きの地図を見て変哲のない家の前に私はいる。

 うん。地図だとここで間違いない。


「すいませーん」


 意を決し扉を開け中に入ると、呼び鈴の音と部屋の中一杯に大小様々な人形が目にはいって、独特の匂いが鼻を刺激する。

 ショーケース内やテーブルの上に乗った人形を見てると奥から壮年の男性が出てくる。


「異邦人がこんな場所になんの用だね」


 師匠ががっしりとしたTHE鍛冶師な体格なら、目の前の男性は執事さんみたいなホッソリとした感じだ。


「あの、師匠の紹介で来ました‼」


 地図と一緒に持っていた手紙を渡すと、男性はふむと呟き頭を掻いた。


「なるほど、テツの弟子か。ならば私も名乗らねばなるまい。初めましてリトルレディー、私は人形師のゼペットだ」


「初めましてゼペットさん、異邦人のメロディアです」


「うむ。よろしくメロディア、こんな所で立ち話もなんだ。奥で話そう、ついてきたまえ」


 奥へと向かうゼペットさんの後についていく、奥には通路一杯に人形のパーツが置いてあった。人一人がようやく通れそうな道を残して、壁にまで腕とかがぶら下がっている。ある意味一種のホラーである。


「汚くてすまないね。家内が死んでしまってから、どうにも、ね」


 ゼペットさんは頭を掻きながら苦笑する。人形のパーツだらけの通路を抜けると、普通の部屋に出た。

 ゴシック調のテーブルと椅子、それと大きな古時計、後はメイド服を着た女性がいるくらいである。


「レーゼ、最上級のお客様だ。良いお茶を用意しておくれ」


 レーゼ、そう呼ばれた女性は一礼すると何処かへと消えてしまう。それにしてもレーゼさんからはまったく生きてる感じがしなかった。師匠やゼペットさん、他の原住民の人達とは違って、まるで人形のような……人形?


「その顔は、気付いたようだね。御察しの通り、レーゼは魔導人形オートマトンだよ」


 魔導人形、なるほど師匠がゼペットさんを紹介してくれた訳が分かった。

 魔導人形と言うからには魔力、つまりはMPで動いている筈、そうなるとMPで物を動かす技術があるだろう。それを転用する事ができれば、私が考案した私専用の武器に一歩近付く。


「そこに掛けるといい」


「失礼します」


 一声掛けて座ると、座り心地のいい椅子だった。向かいにゼペットさんが座るとレーゼさんが戻って来た。


「さて、メロディア、テツからの手紙では、出来る限り君の事を助けてほしいと書いてあったのだが……君は私に何を望むのだね?」


 師匠……ありがとう。


「私は━━」


 ゼペットさんへここまでの経緯を話していく。

 リズがお隣さんになるのを知った日から数日、私は街の外へと出ていた。武器スキルがレベル10を超えると作れるようになるオリジナルアーツ、私がやらかした狩りで、斧のレベルが10を超えていたのでオリジナルアーツを作りつつ、動力を伝える素材の探索をしていたんだけど、まったく成果は出ず、今日の朝、師匠に心当たりがないかを聞きに行ったのだ。

 師匠に設計図を見せると、重いため息をもらうと、ゼペットさんの家の地図と、手紙をしたためてくれたのだった。


「ふむ。なるほど、魔力を動力に動かす武器、か。設計図を見せて貰っても?」


 インベントリから設計図を取り出して、ゼペットさんに渡す。設計図をさらっと見ると、ゼペットさんは顔を抑えて笑いだした。


「ふはははは、これはこれは、また凄い事を考えるものだ。テツが気に入るのも分かる気がするよ」


「……えっと、ゼペット、さん?」


「ああ、すまない。実に愉快だったものでね」


 佇まいを直しても、まだ肩が笑っている。そこまで面白い事は書いてないんだけど……


「結論から言おう。メロディア、君が探している材料だが、私は使えそうなものを知っている」


 やったぁ、やっと辿り着いた。


「だけどね。申し訳ないがそれを教える事は出来ないんだ」


 え、そんな……どうして?


「勘違いしないで欲しいんだけどね。私は意地悪をしてる訳ではないんだ。最後の魔導人形師として先人達の知識をおいそれと伝える訳にはいかないんだ」


 そっか、ならしょうがない。そういう材料があるって分かっただけでも収穫だったしね。


「だけどね、テツの頼みでもあるし、私個人も君の事が気に入った。出来る事ならなんとかしてあげたい。だからメロディア、君が良ければ私の弟子にならないかい? 弟子ならば技術を伝えても問題ないからね」


 そう言うゼペットさんはイタズラ少年のような顔をしていた。

 武器の材料を探しに来たのに、何故か大掛かりな事になってしまっているけど、私の答えは決まっていた。


「お願いします‼」


「なら今日はもう帰りなさい。私にも色々と準備が必要だからね。それと君は異邦人だからね。来れる時に私のところに来ればいい」


 立ち上がってお礼を言うとゼペットさんの家を跡にして、工房に戻りログアウトした。


───────────────

 ゼペットさんの弟子になることが決まってログアウトした私はその後、すぐに寝て、目が覚めると朝になっていた。


 軽く身支度を整えて、朝食と勇気のお弁当を作っていく。

 7時30分くらいに勇気が下に下りてきて、顔を洗い歯を磨い頃にご飯をよそって、勇気が席についたら二人で朝食にする。


「響今日は病院か」


「うん。叔母さんにちゃんと行きなさいって言われてるからね。サボれないんだよね」


 今日は月に一回の検診の日だ。ずっと前に一度だけサボったら叔母さんに泣きつかれた挙げ句、それ以来ちゃんと行くようにと電話やメール等がくるようになった。

 なので私は今日学校を休む事になっている。


「そっか、気をつけてな」


「うん。葵によろしく言っておいて」


 クラスで唯一の友達である葵は心配性だから。


「あいよ。任された」


「今日は何を食べたい?」


「そうだな。エビチリとか食べたいかな」


 エビチリかぁ。なら病院帰りに買い物してこなきゃね。


「分かった」


 その後も他愛のない話をして、食器を洗ってから、私達は揃って家を出た。



恐らく明日は更新できないと思います。

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