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親友の妹はなぜスト子なのか?  作者: 南条仁
第2シリーズ:恋を奏でて、愛を信じる
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第18話:何事も誠意って大事だよね?

「判決、シアのお仕置き決定。3日間、シアの犬になること」

「なんでだ!?」


 あまりにも無慈悲な判決に総司は不満を漏らす。

 恋奏との関係を白状したというのにこのありさまである。


「……総ちゃん、私の知らないところで先輩と仲良しになってたことが許せん」

「と言われても。ただの偶然の出会いです。そもそも、お前が迷子になったのが問題なわけで。あの件に関して、俺に非はないだろう?」

「ふーん。そうですかぁ」


 信愛は棒読みでそう呟くと、総司の耳元に囁くのだ。


「総ちゃんはぁ、私に黙って女関係を隠したんだよねぇ?」

「女関係って言い方はやめましょうね。いらぬ誤解を招きます」

「では、健全な関係であると?」

「当然だ。先輩とはあの日限りのお付き合いです」


 彼の告白に「嘘だね」と信愛は断言しきる。


「なんで?」

「総ちゃんが隠してた点が怪しい。本当にその日以来の関係ならば、信愛に何らかの形で情報が漏れてるはず。そうではないということは未だに付き合いがあったね?」


 そもそも、一度限りならば、恋奏が覚えてるはずもないわけで。

 複数回にわたって交流があったとみるのが正しい。


「今すぐ素直に告白したら無条件に許してあげます」

「……してません?」


 不自然に目を泳がせながら総司は誤魔化す。


「ホントに? 最後のチャンスだよ? 先輩と連絡を取り合ってたりしてた?」

「そのような関係にはありませんでした。本当です」


 言い訳する総司に対して彼女は「ふーん」と冷たく反応する。

 

「じゃぁ、指切りをしても大丈夫?」

「指切り?」

「嘘ついたら、今すぐシアと赤ちゃんつーくる。指切った」

「う、嘘です!? すみませんでした、嘘ついてました!?」


 子づくり宣言をされて総司は平に謝罪をする。

 さすがにそう言われたら、嘘をつけない。

 完全敗北と言った感じで、床にひれ伏す。


「ほら、やっぱり嘘ついてた!」

「すみません。子づくりはダメっす。今の俺じゃ養えない。そして、こういう時の信愛は本気で作りかねないから怖いんだ」

「シアはいつでも総ちゃんの子供が産みたいもん」


 それは遠い未来まで我慢してもらいたい。

 

「というか、夏休みのあの胃が痛くなる思いはもう勘弁」

「ホントにデキてたらよかったのにねー。あはは」

「笑い事じゃないし。あの、申し訳ございません、俺が悪かったです。でも、浮気とかではなくてね。連絡先を好感して、SNS上の交流が時々あっただけ。それだけなんだ」

「具体的にはどのようなお話を? 恋愛絡みとか?」

「年頃の女の子とはどう接して、扱っていいのかという相談をしてました」

「総ちゃんはシアのパパか!?」


 信愛とは長年の付き合いとはいえ、いまだに手を焼く総司である。


「だって、お前の扱いは非常に困るんだよ。そういう愚痴とか、悩みとか、たまに相談にのってもらえるいい先輩だったんだ。それだけです。文化祭以来、実際に会ってもなければ、恋愛関係には当然ない」

「ホントに? 嘘ばかりつく総ちゃんを信じられない」


 不満気な信愛は総司を床にひれ伏せさせたまま、


「総ちゃんの浮気者め。先輩との秘密の関係なんて作っちゃって」

「違うっての。いわゆる相談仲間ってやつ? お互いに愚痴とか言い合える感じのさ」


 軽い愚痴を言い合える間柄。

 それだけでも、信愛はあまりいい気がしない。


――総ちゃんの愚痴の相手。しかも愚痴の対象はシアとか最悪じゃん。


 自分が知らないところでの関係ゆえに文句しか出てこない。

 大きなため息をわざとらしく一つして、


「総ちゃん、再判決。処刑執行。シアの怒りを食らいなさい」

「お、お慈悲を!? お情けをください」

「甘いねぇ。甘い、甘い。シアはぁ、ものすっごく不機嫌です。隠れて美人な先輩と仲良くおしゃべりして楽しい時間を過ごしてたことでしょうねぇ?」

「主にお前がいつまでも子供のように我がままでどうしようもないという愚痴だがな」

「……ほぅ。シアがどーしようもないと?」

「い、いえ、口が滑りました。俺の恋人は素敵に可愛い女の子です、はい」


 総司は小さな恋人に見下ろされて萎縮する。

 今はただ屈辱に耐え、床にひれ伏すしかない。


「本気で浮気はしてない? キス一つでも重罪ですよ?」

「してないです。俺の恋人はお前だけ。それ以外はいらない」

「言葉だけは立派だけど、やってることは最低。さぁて、どうしようかなぁ」


 震える声で「お願いです、俺の学校での立場は守ってください」と懇願する。

 夏休み前の事件が相当に応えている様子だ。

 

「じゃ、許してあげてもいいよ? でもね、誠意を見せてもらおっか」

「は? 誠意?」

「そう。世の中、ただで許してもうおうなんて大甘でしょ?」


 信愛は笑顔を浮かべながら赤い液体の入った小さな小瓶を置く。


「誠意、見せよっか。総ちゃん」

「お、おい。信愛さんよ、これは……」


 ラベルには『タバスコ』という文字が書かれている。

 激辛の調味料、赤い悪魔がそこにいた。


「タバスコだよ。一気飲みしちゃおうか」

「死ぬわ!? バカじゃないの!? そんなの罰ゲームでもあり得んわ!」


 タバスコの小瓶を眼前に置かれて総司は本気で拒絶する。


「はぁ? そんな発言できる立場にあるとでも?」

「うぐっ。だが、こんな冗談では済まないレベルの罰ゲームは拒否する」

「ダメぇ。シアは許さない。総ちゃんの誠意を見せてもらわなきゃ、んっ」


 総司は形勢不利と見るや、信愛の唇をいきなり奪うような形でキスをする。

 怒りを忘れさせるような甘い行動を嫌がる素振りは見せず、


「……いきなり襲うとか狼さんですか。いいけどねぇ。シアと赤ちゃん作る?」

「作らないけど。怒りを鎮めてもらえるまで態度で示すというのは?」

「今日は総ちゃんがシアのために奉仕する番ねぇ? それで許してあげる」

「ほ、ホントに? 許してくれるのか?」

「これが最後だからねぇ? ほら、もう一回キスしよ? 目をつむって」


 信愛の言葉に従う総司はホッとする。

 危機を乗り越えられた、と思ったや否や、


「――はっ、そんな簡単にシアが怒りを鎮めるとでも?」


 辛辣な言葉とともに総司の口元に何かが押し込まれる。


「うぐっ!?」


 口の中に放り込まれてた赤い液体。

 一瞬にして舌を麻痺させる激痛が走る。


「お、おま、え、何を……げふっ!?」

「シアから情熱的なキスをプレゼント。熱い夜を迎えましょ?」

「あ、ぁあああああああああ」


 情け容赦ない信愛の行動に総司の絶叫だけ部屋に響くのだった。

 総司の教訓、信愛以外の女性と交流を持つことをやめること。

 さもなくば命に係わる、危機を迎える羽目になる――。

 


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