ホーミング 始動
話を終え、隣に座る3強の2人にゼムが問う。
「聞いていたなぁガルド、ビーツ」
「ゼム、俺たちにこのチームを任せていいのか?お前が1番大事にしてる物だぞ?もともと宝玉捜索の為に作ったチームでもある。なのになぜお前だけ行く事になるんだ?」
ビーツが我慢していたのを吐き出すようにすらすらと言う。
「ビーツ、いいてぇことはわかる。ただ、捜索の為にしちゃ増やしすぎたのが後悔だな、それにお前らの事はこれから伴う危険に巻き込みたくない。お前ら2人以外は宝玉の存在すらしらねぇんだ、訳も分からず連れて行っても不満がる奴らもでてくるに違いねぇ。宝玉とおめぇらの命は天秤にかけれねぇほど特別な存在だ。だからこそ俺だけが行く。俺が抜けたところでお前ら2人いりゃあこのチームは十分成り立って行けるぜ」
「なるほど、ゼム。ちゃんと考えてんだな!」
ガルドは素直に納得したようだ。
この辺の頭の使い方はやはり適当に見えてもボスである頭の使い方であろう、司は素直に感心する。
「ふん、意見をしたところでゼムの意見が変わらないのは分かってたが、気持ちを知りたかっただけだ。ゼムが俺らにチームを任すと言うのなら俺とガルドでゼムが帰るまでは守り続ける。安心してくれ。」
「んなぁこたわかってる!がはは!仲間の奴らには適当に言っててくれ!何年かかるかわからねぇが必ず戻るとな!」
いつもの破天荒なゼムに戻った。
真剣な話をする時は真剣に、それさえちゃんとしておけばあとはどうにでもと言うやり方。
「話はついたみたいだな。俺はこれからの旅の用意をさせてもらうぜ」
「あぁかまわねぇ!仲間全員に日本人が買い物に来た時には無料で提供するよう俺直々に言ってある!好きに足りないものを補うといい!」
「それは助かるな、まだ出発まで時間はあるしゆっくりさせてもらうよ」
「見納めにならねぇように目に焼き付けとけ!がはは!」
司は会議室を後にし、アジトの商店街へ向かった。
すごい。さすがナンバーワンのチームと言うべきか、その施設としては想像を遥かに絶していた。
資格、免許などはないので全員自称ではあるものの、その技術は有資格者に劣らないレベルであろう。
自動車整備工場もあれば、バイク屋、日本では見たことのない形などがある為このチームのオーダーメイドでもあるだろう。
司かて興味はある。
「失礼する、ゼムから紹介を受けていると思うが、俺もマシンが欲しい。」
「おっといらっしゃい。ゼムさんは車も君に提供させる気なのかい。まぁしょうがないことなんだが、うちは全部機械にたよらねぇんだ、お前さんだからしょうがないけどよ、本当は車って高いんだぜ?」
司が訪れたのは車屋。司専用のマシンを作る為である。
「1番早いので何ccあるんだ?」
「そりゃあエンジンによるが、このマシンがスーパーカータイプで12090ccだ、だがこれは整地された道路でしか走れねぇだろうな、ゼムさんと行くところがどこかはわからねぇが悪路もあるとも考えれるだろう、速さよりは四輪駆動でつえぇマシンを作ったほうがいんじゃねぇか?」
「まぁたしかにそうだな、速さはあまり必要ないかもしれない、四駆はどのようなものがあるんだ?」
「これだな、8人乗りだ」
スーパーカータイプでは無いそのマシン、軍用のようなゴツゴツとしたフォルム、スピードが出るようには思えないが馬力のありそうなマシンだ。
「これにはカスタムでガトリングや大砲なんてものも付けれる、せっかくこんだけでけぇマシンなんだし攻撃要素を積むのも悪くねぇと思うがな」
「そらなら頼む、ありったけ早く、ありったけ強いボディでな。」
「わかったけどよぉ、お前さん。なんでゼムさんはお前さんみたいな子供相手にそんなことしてんだ?」
「古くからの友人だよ、ちょっとばかし貸しがあってな」
「そうだったんだな、まぁそれなら深くはきかねぇよ」
「あぁそうしてくれ、ちなみに5日後にここをでる。その為の足なんだ、間に合うか?」
「なに!?5日後だと!?無茶言うんじゃねぇよ他にも仕事があるってのに!」
「カーム!全仕事をストップして5日後には完成させてくれねぇか!頼んだぞ!」
ゼムがいた。
「ゼムさんじゃねぇか。全くわからねぇ事もあるもんだな、わーたよ」
カームはこの車屋のオーナーを任されている。
ここではゼムとガルド、ビーツの三強の存在が絶対の為、
逆らえないのも無理は無い。
「すまねぇな、カーム!がはは!」
ゼムは行った。
司も気まずくなりその場を後にした。
そしてすべて無償で飯を食べ、細々した物を買いゼムの家の部屋を借り眠りについた。
出発まであと4日。