きっかけ
司の毎日、それは宝玉の捜索ばかりかと言えばそうでもない。
司だって年頃の男の子だ、渋谷にでて買い物だってしたいし、ゲームセンターにも行きたい。
日本では18歳までの子供は月5万円の小遣いと決まっている、お金は娯楽以外に必要ないからだ。
ケータイ代などは全て税金で支払われている。
それでこの世の中が成り立つと言うのは日本の治安の良さも大きく関係しているだろう。現実世界ももっと余裕を持ってこの世界のようになればいいのに。
とゆうような妄想はさておき、司は皆の小遣い制度とは違い宝玉捜索人である。
確信者と言う肩書きは絶対に漏らしてはならない、漏らすと狂ったように皆が宝玉を探すかもしれないし、なにより司自身に被害も及ぶであろうからだ。
その為、司は同じ15歳の友達とは比べものにならない大金を持ち合わせている、にも関わらずいいカッコもできずに不甲斐なさすら感じていた。
幼い頃に宝玉の存在で祖父は消され、調査する為の情報をアメリカに渡し、アメリカからの調査依頼と共に莫大な金を手に入れている望月家。
そこに産まれた司は、少ないお金を持ち皆とゲームセンターに行きカラオケに行き、夜は調査とゆう同じ15歳が聞くと腰を抜かすようなレベルの存在なのである。
どれほど司がすごいかと言えば、15歳の時点で体力面ではサッカー選手、頭脳で言えばかの国公立大学に値するだろう。
それを隠し生活するのだと言うのだから大変である。
そして今日、司は16歳の誕生日を迎えるのであった。
「司、アメリカへ飛んでくれないか」
バースデーケーキを並べた食卓で、かしこまって紅明が言う。
「ん?」
司は思わず目を点にする。
「俺とお母さんで決めてた事なんだ、お前が16歳になった時には、もう十分すぎるほどに知識も体力もある。だから調査隊本部があるアメリカに行き、そこから情報を集めワープロードを使いスイフに行って欲しい。」
余りにも突然すぎる話であった。
「お父さんとお母さんは?」
「俺たちはこっちに残る、日本で俺たちが体を開ける事になればこちらでの宝玉の情報を集めきれない、それにまだまだ日本でやりたい事がある。だからアメリカでの調査はお前に任せたい」
「別に嫌って訳じゃないけど、突然すぎるだろ」
「落ち着いてからの出発でいい、ただ、今日言おうと決めていただけだ、お前が嫌なら無理に行けとは言わん」
司は考える。
こっちには友達も家族もいる。
簡単に離れれるかと言われれば無理な話だ。
だが司はなによりも宝玉の捜索を大事にしている。
決めた。
「いくよ、あぁ明日にでも」
「さすがうちの子だ」
そこから司は急ピッチで作業を進める。
宿などの向こうでの事は一切考えない。
1日目から情報を集め、確信者と落ち合う。
それが司の目標である。
考え事をし過ぎて眠れずのまま、今日が出発の日になる。
「司の為にここに1億ある。お前の考えに否定はしないからお前の好きに使え」
「相変わらずここの家族はみんな突然だな」
「頼んだぞ」
「行ってくるよ」
「気をつけるのよ、司」
3歩後を歩く勢いの瀬奈、普段は本当に陰ながら家族を支え、必要な時にしか発言しないような人であるが、余程司の事が心配なのは絶対であろう。
「あぁ、ありがとな」
そう言い残し、1億の大金と少しの手荷物を持ち司はアメリカへ飛んだ。