リアルとフィクション
今さらな話になるのでしょうが、先日初めて『機動戦士ガ○ダムUC』を観ました。いや、まさかあんなストーリーだとは知らなかったです。懐かしいキャラがいっぱいで、面白いですね。それはともかくとして、観ていてオヤ? と思うシーンがありました。あるキャラがあるキャラと艦内で喧嘩(?)をしていたのですが、なんとしたことか、片方が片方にマウントパンチをしていました(ちなみにマウントパンチとは、馬乗りになった状態で、上に乗っている人間が下になっている人間を殴りつける技です。非常に危険です)。それだけでもムム! という感じですが、その後なんとサッカーボールキック(ちなみにサッカーボールキックとは、立っている状態の人間がしゃがんだり四つん這いになったりしている人間の顔面をサッカーボールの要領で蹴る技です。物凄く危険です。喧嘩で使わないでください)や、顔面への踏みつけ(ちなみに踏みつけとは……これはさすがにわかりますね)などをやっていたのです。ちょっと驚きましたね。硬い床の上でそんなことをしようものなら命はない……とまではいかなくても、重傷は免れません。私は観ていて危機感を覚えました。そこでもう一度別の角度から、リアルとフィクションの違いについて書かせていただきます。
だいぶ昔、某格闘技雑誌に載っていたのですが、猿の頭蓋骨を硬い床などに固定し、五百キロの力をかけたところ、砕けてしまったそうです。五百キロと言えば、かつてのKー1選手レベルのパンチ力……と言いたい所ですが、実は何の格闘技経験もない、非力な女性であっても五百キロを叩き出せる技があります。
それは、飛び上がっての踏みつけです。つまり非力な女性であっても、飛び上がって踏みつければ、硬い床に固定された猿の頭蓋骨を陥没させることができるのですよ。つまり、人間の頭蓋骨を陥没させられるかもしれないのです。
ここで冒頭に紹介した場面をもう一度考えてみてください。硬い床の上で倒れた男の顔面を踏んづけてます。非常に危険です。にも関わらず、踏んづけられた側には大したダメージないみたいで、ケロッとして部下と会話したりしてました。これは……他にいくらでも描きようがあるのに、なぜ危険な技をわざわざ使わせたのか……まあ、そこを主眼に見るアニメではないので、これ以上は言いません。ガンダ○UC批判のようになってしまいましたが、私は作品の質そのものをどうこう言う気はありません。ファンの方がもし読んでいらして、不快に思われたのなら申し訳ありません。ただ、もし仮に皆さんが喧嘩をして、相手が硬い床の上に倒れたら……絶対に蹴らないでください。硬い床の上でのサッカーボールキックや顔面への踏みつけは本当に命を奪うことが可能ですので。生きていたとしても、顔面に修復困難なダメージを負わせることにもなりかねません。
さて、私はたとえフィクションであっても、そこにわずかでもリアリティーがあって欲しいと思います。しかし、リアリティーも過ぎてしまうと……どうなのだろう? という気はしますね。
以前私は、とあるバトル作品を書きました(宣伝ではないので、あえてタイトルは伏せます)。その時、連載二作目であり、リアルな格闘シーンを描こうと思っていた私は、使う技を色々考えました。そこで重視したのが、まずシンプルかつ実戦的であること。拳法系や武術系に登場するような、複雑でしかも実戦に本当に使えるのかわからんような技は却下しました。また闘うのが高校生であるため、修得に長い年月が必要となるような技も却下し、簡単でしかも殺傷力の高い技をジムの人たちから聞きました。ちなみに本やネットは用いてません。
そんなこんなで技の情報を得た私は、早速ジムで試してみました。目突きからののど輪のコンビネーション(のど輪とは、手のひらで喉を掴むというシンプルにして凶悪な技です。握力さえあれば殺せます)などはシンプルで、かつ殺傷力が高い……しかも、不器用な私でもできるくらい簡単です。よし! と思い書き始めました。しかし、いざ書いてみると困ったことに気づきました。盛り上がりに欠けるのです。
もう一人の主人公である明というキャラがメインで闘うのですが、とにかく、さっさと闘いが終わってしまうのです。頭の中でシュミレーションし、ジムでトレーナーや前に登場した早田さんなどに試してみるのですが(無論、本気じゃないですが)、一瞬で、しかも一方的な展開で終わるのですよ。「赤井さん、暗殺でもする気ですか?」とトレーナーから笑いながら聞かれましたが……ちなみに、その場にいた早田さん曰く「相手を素手で暗殺するとなると、立ち技でいかに早く終わらせるかが大事だ」……あんたヒットマンじゃなくてサラリーマンだろうが! とツッコミたかったですが、しかし早田さんには技の情報をいただきました。感謝しています。
まあとにかく、リアルを追及し過ぎると面白みがなくなるのは確かです。格闘シーンなども、本来ならシンプルかつ殺傷力の高い技を出させれば、すぐに終わります。プロレスのように相手の技を受ける、なんてことは出来ません。一発でも受けたら、そこで終わってしまうかもしれないからです。格闘技の試合のような駆け引きもありません。まして、一度不利な状況になったら……そこで終わりです。そこからの逆転が話としては面白いのですが。
しかも、使う技が本当にシンプルで、かつ変化に乏しくて……目突きからののど輪、投げからの首への踏みつけ……それくらいしか使わんまま、物語は終わりました。まあ、単純に私の文章力が無いだけなのかもしれませんが。
やはりフィクションですから、そこには何か必要かもしれませんね……ツンデレのミニスカ美少女が百キロを超えるマッチョな大男をハイキック一発でKO! 横で見ていた主人公はパンツが見えてラッキー! その後ツンデレ美少女にドツかれる! あるいはお嬢様系の美少女が、ボクサーの不良(噛ませ犬扱い多いですよね、ボクシングは……変な格闘技よりは確実に強いんですが……ボクサーの強さを知らないんでしょうね)を一撃KO! しかし、なぜか着ているシャツがずれて巨乳が見え(しかも、なぜかノーブラ)、主人公ラッキー! 「きゃあ! ○○さんのH! 見ないでくださいよぅ! 恥ずかしいですぅ!」のような展開もあった方がいいのでしょうね……書いてるこっちが恥ずかしくなってきたので、ここで終わります。




