相性は大事です
これを書いているのは四月ですが……四月と言えば、新しい事を始めるにはピッタリの時期ではないでしょうか。暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい季節です。
これは格闘技に限りませんが……何かを始める際、最も大切なのは習慣化させる事です。習慣になってしまえば、続けることは難しくありません。暑くなったり寒くなったりしても、習慣となっていれば続ける事が出来ます。これが、暑い時期や寒い時期に始めてしまうと……習慣化する前に挫折する確率が高いのではないかと思いますね。
何かを始める際、重要な要素の一つが……まずは習慣化させる、という事でしょう。
格闘技を始めるにあたって、もう一つ気をつけて欲しい事があります。
それは相性です。何を馬鹿な……と思われるかもしれませんが、これはとても重要な要素です。この相性という部分もまた、格闘技に限らず、あらゆる分野において無視できません。
以前にも書きましたが、格闘技には打撃系と組み技系があります。この打撃と組み技という時点から、相性という問題が発生する訳です。殴り殴られるのが嫌い、若しくは組んずほぐれつの世界が嫌い……という人もいるでしょう。その辺りは、きっちりと考えておく必要がありますね。自分は何をしたいのか、また逆に何をしたくないのか……そこの部分は、しっかりと理解しておきましょう。
格闘技のジムや道場には、指導員もしくはインストラクターといった立場の人がいます。ジムや道場によって呼び名は様々ですが、要は指導する立場の人ですね。
この指導員との相性……これは大きいですね。初めのうちはどんな指導方法であれ、技術は伸びていきます(よほど無茶苦茶な指導でない限りは)。この時点において、指導員の技量の差というものは、あまり関係ありません。
しかし、相性の悪さだけはどうしようもないです。嫌いなタイプの人間が相手では、何を教わっても実にならないでしょうね。ですから、相性のいい指導員のいる場所に行くのが理想ではあります。
ただ、これもまた難しい部分がありまして……パッと見では、相性までは判断しづらいと思います。ですから、事前の見学そして一日体験コースは、是非とも受けていただきたいです。二日かけて、指導員との相性を見極めて欲しいものですね。
余談になりますが……指導員も本当にピンからキリまであります。子供が相手でも敬語で接し、丁寧に指導するタイプがいるかと思うと……暴言スレスレの言葉を吐きまくるようなタイプの人もいます。基本的に、指導員はみな敬語で接するのが普通だと思うのですが、それすら出来ていないような人間もいますね。
これはやはり、体育会の弊害なのかもしれません。指導員にとって、新しく入会する人間=自分の後輩、という意識があるのかもしれませんね。あるいは単純に、プロ選手の俺は偉い……という意識ゆえ、なのかもしれません。いずれにしても、相性以前の人格的な問題を抱えている指導員の噂も、少なからず耳にします。そのあたりは、事前に自身の目で見極めるべきでしょう。
さらに、そのジムや道場のカラーみたいなものもあります。
極端な話ですが、体にタトゥーの入った少年が多数トレーニングに励んでいるようなジムがあったとします(実際にありますが、あえて名前は出しません)。このようなジムに、一般の学生や会社員の方は入りにくいかもしれません。もし仮に、事前によく調べもせずに入ってしまったなら……はっきり言って、大変な居心地の悪さを感じることになるでしょうね。もっとも、そんな環境であろうと慣れてしまえば問題はありません。しかし、大半の人は……慣れる前に、辞めてしまうのではないでしょうか。
ですから、事前の見学そして一日体験コース……入門の前には、忘れずに行ってください。
最後に、見学&一日体験コースに行く際の注意を書いておきます。
先ほど、指導員の中には態度が酷い者もいる……と書きました。しかし、見学に来る人の中にも、酷い態度の者がいるそうです。「あそこの流派の方が凄い」「どこそこのジムの方が立派だ」などなど……何のためにそんな事を言っているのか理解不能ですが、その言葉は誰の得にもならない事は確かです。
さらに先日、私の通うジムに妙な人が来ました。一日体験コースを受けていったのですが……「ここのジムに入会するつもりはありません。ただ体験してみたいだけです」などと言っていました。ちょっと常識を疑うようなセリフですね。仮に、そう思っていても口にはしない言葉だと思うのですが……。
しかも、十代の学生が言ったのなら「まだ若いし、常識を知らないんだろう」で終わらせられますが……この人は、三十過ぎたおじさんです。社会人としての経験もある程度は積んでいるはずなのに……こんな最低限の常識すら知らない成人男子がいるんだな、と私は驚かされました。
最後の部分は愚痴のようになってしまいましたが……とにかく、ジムや道場に足を運んだ際には、最低限の礼儀はわきまえておいてください。これは決して、私が手前勝手なルールを押し付けているわけではないはずです。




