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その感情に名前がついた時、僕は恋を諦めた  作者: パミーン


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その感情に名前がついた時、僕は恋を諦めた

これは実際にXであったできごとです。

AIが言葉を作る、そんな時代が来たようです。


僕は実際にこの投稿を見て腑に落ちました。

それを題材に書かせていただきました。

 僕達は「曖昧」という言葉のおかげで物事をはっきりさせても、はっきりさせなくてもいいということが頭の中で認識できる。


 このことからも分かるように、言葉にする、というのは何か分からない事物や事象に対して答えを出してくれるんだと僕は思っている。


 何か哲学的なことを言ってるかもしれないな。別にそういうわけじゃないんだ。僕がこんなことを想うようになったのは先日起こったとあるできごとのせいなんだ。





 僕には大城戸真奈(おおきどまな)というそれはそれは美しいという言葉では形容ができないくらいに顔の整っている幼馴染がいる。


 幼稚園から高校までずっと同じだから余計に分かる。成長していくにつれ磨きがかかっていく彼女の美しさが。


 それでもって明るい性格で誰に対しても隔てなく接してくれるから学校のアイドル的な存在だった。「だった」ではないな。今も学校のアイドルとして君臨しているんだから。


 そんなアイドルを放っておく男子はいないわけで。僕もそんな彼女に惚れた側なもんで。なんとかして彼女を振り向かせたい!と強く思いながら生きてきたわけだよ。


 周りの男子共は我先にと言わんばかりに告白をしていく。だから僕もそれに流されて中学2年の時に真奈に告白したんだ。


「ごめんなさい。健一君とはただの幼馴染という気持ちしかないの。でも嬉しかったよ。嫌いというわけではないからこれからも仲良くしてね!」


 あっさりと振られた。僕は真奈にとってただの幼馴染。それ以上でもそれ以下でもない、ただ同じ時を過ごした仲の人間というだけ。


 あの日の夜は泣いたなあ。ただひたすら泣いて気がついたのはそれでも彼女のことが好きだということだった。


 それから僕は異性として意識してもらうために勉強、運動、身だしなみや所作振る舞いなんかを頑張った。


 今の自分に満足はしていないけど、ちゃんと努力したおかげもあって女子から人気があるという噂を耳にするようになった。


 それに女子の方から僕と接触してくることも増えた。正直モテた?なんて自惚れていた部分があったことは認める。


 そんなある日、真奈が一緒に帰ろうと僕を誘ってくれた。その時は中学3年で部活も引退していたし、受験に向けて勉強をするだけだから放課後一緒に帰った。


 まさか真奈の方から誘ってくれるとは思ってもいなかったから素直に嬉しかった。


「ねえ、今日三宅さんと話してたけど、何を話していたの?」


「え?」


「私、見たんだから。三宅さんと仲良さそうに話してたじゃん。何か分からないけどイラっとしたんだよね」


 これはまさか……。僕に嫉妬してくれている?だとしたらこの1年間の努力は無駄じゃなかったんだなと思って期待した僕は咄嗟に言ってしまったんだ。


「真奈、やっぱり君が好きだ。付き合ってほしい」


 結果は分かるよね。またもやあっさりと振られてしまったさ。しかも今度は「あなたはただの幼馴染」を何回も強調されたよ……。


 でも不思議なんだ。このあと僕は他の女子と仲良くしてるところを真奈に見られるとその日の帰りに必ず詰められるんだ。「なんで楽しそうに話してるんだ!」ってね。


 恋愛感情がないくせに嫉妬はする。これって一体なんなんだろう?そう思うようになった。


 気にはなっていたけど、受験を控えている中学3年生の僕にはだんだんと「そんなこと」程度に成り下がっていったんだ。


 そんなことを気にしていられないくらいに勉強、頑張ったなあ。これを今度は大学に行くならまたしないといけないのか……と気が重くなるくらいにはしっかり勉強はしたつもり。


 おかげ様で頭のいい方に入る真奈と同じ高校に通うことができた。真奈と同じ高校に行きたいという気持ちが原動力となって受験を乗り越えられたのは大部分を占めていると思う。


 つまり僕は二度振られてもまだ真奈のことは諦められなかったということ。三度目の正直じゃないけど、二度目のような咄嗟の告白なんかじゃなく、ちゃんと見合った場所で、見合ったシチュエーションで告白するんだって新しい制服に袖を通しながら意気込んでいたんだ。


 そうして始まった高校生活。あっという間に学校のアイドルと化した真奈には当然ファンクラブがある。当然ながら僕は入らなかった。


 あいつらは真奈をアイドルとして遠くで見てるだけの奴らだ。僕は違う。真奈と恋人として一緒に並んで歩きたいんだ。


 ファンクラブの奴らと僕とでは立ち位置が違う。だから僕は自分磨きを頑張った。恋人として選ばれるように。


 中学の時はバレーボール部だったからそのまま高校もバレー部に入った。一方の真奈は帰宅部だった。そういうこともあって彼女との接点はほぼない状態になった。学校で会ったら挨拶する程度。


 そんな状態じゃもちろん告白してもOKをもらえるわけがないのは分かっていた。接点を作ろうと思っても部活はあるし、授業もついていくのがやっと。思ったより高校って大変なんだよ。


 そんな感じで高校2年になって奇跡が起きた。真奈と同じクラスになったんだ。これまで幼稚園、小学校、中学校と同じクラスになったことは一度もなかった。まさかここで同じクラスになれるなんて思ってもみなかったね。


 同じクラスになると接点が増える。話す回数も増えたし、同じ班になって一緒に活動することもできた。


 そうして少しずつではあるけど進展していってるかなという感触がある中でテスト勉強期間に入った。テスト勉強期間に入ると部活は休みになる。そうしたら帰宅部の真奈と帰るタイミングが一緒になったんだ。


 そういうことで僕は真奈と二度目の告白以来、久しぶりに一緒に帰ることになった。


「ねえ、前から思ってたんだけど、なんで健一君はあんなに女子にモテるの?」


「ん?僕がモテる?そんなわけないじゃないか」


「そんなわけあるよ!違うっていうならなんでいつも休み時間に女子と話してるの?」


 多分それは単純にプリント出してとかそういう事務的なやりとりだ。


「お願いだから他の女子と仲良くするのやめてくれない?見てるとイラっとしてしまうの」


 このやりとりはまるであの告白した時と同じだ。と同時に受験で忘れていた「そんなこと」が僕の中でざわざわと胸に巣食い始めた。


「ちなみにだけど、僕のことは幼馴染としか見てないよね?」


「うん、そうだね。あ、そういえばこのやりとり前にもあったね」


 どうやら僕が進展していると思っていた感触は間違っていたようだ。でもならなぜ好きでもない僕に嫉妬するんだろう?


「聞きたいんだけど、好きでもないのになんで他の女子と仲良くすることにイラっとするの?」


「なんでだろう?何か分からないけど、取られたくないって感じなのかな?確かに可笑しいよね。好きでもないのに取られたくないって」


 そう言って笑う真奈。好きではないけど取られたくない……。それは一体どういう感情なんだろう?


 僕には全く理解ができない。好きで他の異性と話してるとイラっとするならそれは間違いなく「恋」だ。でも真奈のいう感情はなんて表現したらいいんだろう?そこからはずっとモヤモヤとして気分のいいものではなかった。


 そもそもそういう感情を抱いているのは真奈だけかもしれない。普通じゃないと僕は思ってる。でもそうじゃなかったんだ。


 テストも終わり、夏休みに入り、部活のために家と学校を往復する毎日。何か面白いものないものかと思ってスマホをSNSをいじっていた。


「僕には好きな人がいるんですが、その人は僕のことは好きではないんです。でも僕が女の子と仲良くしていると取られたくないからって僕を叱るので困っています。僕には彼女の考えが分からないからです。好きではないけど取られたくないという感情を表す言葉を教えてください」


 という投稿があった。あ、真奈以外にもそういう女子いるんだと思いながらその投稿に対する返信の中にこう書いてあった。


「淡執」


 この言葉にたくさんのいいねがつけられており、その返信に対する返信も「なるほど!」という意見が多かった。


 僕もこの言葉がストンと自分の中に入っていった。そして納得した。


 真奈はただ僕に淡い執着をしていたんだ、と。


 ここで冒頭に戻るんだけど、分からないモヤモヤしたことが言葉としてはっきりすると一気に腑に落ちることがある。僕にとって「淡執」が正にそれなんだ。


 その言葉になった感情が分かった時、僕の恋はもう実らないことを悟った。


 ただ執着されているだけ。しかも淡いんだ。どう考えたって無理筋だ。勝てない戦なら挑む必要もない。


 そう思ってしまった。ただただ虚しい気分になり、胸にぽっかりと穴が空いたような感じ。


 その夜は眠れなかった。失恋したからじゃない。真奈にとって僕はただ淡い執着をするだけのちっぽけな存在でしかなかったという悲しさが僕を支配していたから。


 この日から僕は真奈に対する恋心を諦めた。





Side:大城戸真奈


 長い夏休みが明けた。帰宅部の私にとって夏休みはただ暇なだけ。といってもお友達と出かけたり家族とおじいちゃんの家に行ったりしてたからそこまで退屈というわけではなかったけどね。


 夏休み明けすぐに私の学校では期末テストが行われる。だから朝の集会で早速テスト勉強期間に入ることを宣言された。


 テスト勉強期間になると私は少し嬉しくなる。それは幼馴染の山田健一君と一緒に帰れるから。


 彼とは小さい時からのお友達でクラスは一緒になることはなかったけど、小学校の時は登下校をし、中学の時は受験の時に時々彼と一緒に下校していた。


 一緒に遊ぶといったことやお互いの家を行き来するほどの仲ではなかったけど、小さい時から知っている仲なので不思議と安心感はあった。


 そんな健一君に私は二度告白をされている。普通だと告白を断ったら気まずくなって疎遠になるということはよくあることだけど、私と健一君にはそういうことにならなかった。


 一度目に告白された時は平静を装っていたけど内心では驚いていた。え?私のこと好きだったの!?だって私達学校に行く時と帰る時ぐらいしか関わりなかったよ?お互いのことを良く知らないのに好きになるわけないよ!


 そう思うとこれまでに告白してきた人達と健一君は一緒だったんだと少し落ち込んだ。私と健一君はあくまで見知った幼馴染なんだから。


 ある日、健一君が三宅さんという男子に人気のある女子と話していた。とても楽しそうな顔をしている健一君。


 彼の笑顔を見た時、なんだかイラっとした。できるなら話しかけないでほしいと思った。


 そのことを下校時に話したら二度目の告白をされた。いきなり告白してくるってどういうこと?意味が分からなかった。どこに告白するポイントがあったんだろう?と不思議に思いつつ、丁重にお断りをしたらそこから受験を理由に一緒に帰らなくなった。


 やっぱり気まずくなったのかなと思ってはいたけど学校では挨拶はしてくれるし、ちょっとした会話はしていたから疎遠になったというわけではなかった。


 高校に上がってからは彼と関わる機会が少なくなったけれども、二年に上がって初めて一緒のクラスになったことでまた昔のような関係に戻れた。だからテスト勉強期間に入って一緒に帰ることができるようになって嬉しかった。


 でも不満があったのでそこはしっかりと言った。あんまり他の女子と仲良くしないでほしいと。テスト勉強期間中の下校時はそんな話ばっかりだったな。申し訳ないことをしたと思いつつも、不満があるのだから仕方ない。


 今日も朝一から健一君のところに女子が話しかけていた。また楽しそうな笑顔を……と思ったら健一君はよく分からないけどとても苦しそうな顔をしているような気がした。どうしたんだろう?何か嫌なことでもあったのかな?


 まあ下校時に相談に乗ってあげればいいかと思って一緒に帰ろうと誘ったところ、


「ごめん。一緒には帰れない。あともう僕に話しかけるのはやめてもらえるかな?」


 っていきなり低くて冷たさを感じる声で断られて固まってしまった。あれ?もしかしたら私何か怒らせるようなことしちゃった?


「ど、どうして?テスト勉強期間の時は一緒に帰ってたじゃない」


「大城戸さんに理由があるわけじゃないよ。ただの僕の一方的な都合なんだ。だから気にしないで大丈夫」


 大城戸さん?私のことは真奈って呼んでたのにどうして……。固まったまま動かない私を置いて彼は去っていった。


 一人で帰る道中。一人で帰ることは度々あったけれども、今日はやけに寂しい。なんでだろう?別に健一君と帰れなかっただけでそんなに落ち込むことではないはずなのにな。


 断った時の彼の顔、ものすごく苦しそうな顔だった。あんな顔初めてみた。彼に何か悪いことでも起きたのかもしれない。なら幼馴染である私が助けになれるなら助けてあげたい。


 そう思って次の日から話しかけても無視をされ、テストの後は学校が終わればすぐに部活に向かい、私に話しかける隙を与えない。一体どうして?これ、絶対私に何かあるんだ。そう思った。


 でも思い当たる節が全くない。私は何とかして彼の悩みを聞き出したいと思うようになった。私に原因があると思うからきちんと聞いて悪いところがあれば謝るし、直してほしいところがあったら改善するから。


 だからせめて話をさせてくれないかな?


 それから私は学校での健一君を観察するようになった。どうしたら彼と話ができるのかタイミングを見計らうようになった。それと同時に彼と交友のある人達と仲良くするようにして彼の情報を得るように動いた。


 私、一応こう見えても学校ではアイドルなんて言われるくらいには人気があるの。だから私が話しかければ皆すぐに仲良くなってくれる。一部、私のことを拝んでくるちょっとおかしい人達はいたけれど、健一君の情報がどんどん入ってくるようになった。


 彼は真面目で誠実。真面目だけれどユーモアもある。運動はバレーが得意だけど他の競技も卒なくこなす。勉強はあまりできないけど努力でカバーしている。そして絶対に悪口は言わない優しい人。


 今まで知らなかった健一君のことを知っていくにつれ、私はだんだん不安になってきた。なんで不安になるのかは分からない。


 私の中で勝手にイメージしていた彼とは全く違う人物だったことで私はどれだけ彼を知ろうとしなかったんだろうと後悔のようなものまで出てくるようになった。


 そして、ある日私にとって決定的な情報が告げられる。


「山田君は大城戸さんへの恋を諦めたんだってさ」


 放課後、私は一人教室で残っていた。誰もいない教室は寂しい。でもその寂しいだけじゃない。


 彼の座っている席に目を向ける。そういえばずっと観察していたけど私と目が合ったこと全くなかったな……。


 私は絶望した。どうして不安だったのか、後悔していたのかはっきりした。


「私、健一君に恋、してたんだ……」

今回はあえて連載作品の形で短編を書かせていただきました。

この続きが気になった方は感想でもメッセージでもXのDMからでも連絡ください。


多くの声がありましたら続きを書くつもりです。

お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ものすごく続きが読みたいです。 後日談でもいいので書いてください。 お願いします。
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