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よみがえるエトワール  作者: yoshinoya ussie


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第1話「Atelier Étoile」

 私は、佐藤 未来。


 大阪の芸術系の大学に通っている18歳。

 この春から、大学に通いやすい場所で一人暮らしを始めた。


 実家を出るって、もっと大きな決断だと思ってたけど、実際は、段ボールに詰めた生活用品と一緒に、あっさり始まった。


 ただひとつ現実的だったのは、

 ——バイト、探さなきゃ、ということ。


 講義の合間にできて、できれば、長く続けられるところ。


 そんな条件で、何気なくSNSを眺めていたときだった。


『Atelier Étoile』


 最初に目に入ったのは、その名前だけ。


 Étoile——エトワール。

 星、という意味のその響きに、高校生の頃に一度だけ見た、あのライブの記憶がふっと重なった。


 初めて行った、ライブハウス。

 華やかだけど、近かったステージ。

 そして、パープルの衣装の、あの人。


「……エトワール」


 それだけで、少しだけ指が止まる。

 でも、そのときはまだ、ただの偶然だと思っていた。


 気まぐれに公式サイトを開いて、キャスト紹介のページ。

 ——そこで、名前を見つけた。


『白石ひかり』


 思わず、画面を見つめ直した。


 ——同姓同名、だよね。


 そう思いながらも、胸の奥が、ざわついた。

 そこから先は、気づいたら、ページを一つずつ丁寧に読んでいた。


 Atelier Étoileは、大阪・日本橋のコンセプトカフェ。

 昼と夜で世界観が変わって、昼は「アトリエ」、夜は「星の舞台」。


 キャストは、ただ接客する存在じゃなくて、その世界観の一部として“そこに立つ人”。


 制服も、装飾も、言葉遣いも、全部が決められているのに、窮屈そうじゃない。

 むしろ、「大切に作られている」感じがした。


 写真に写っているキャストたちも、無理に笑っているように見えなくて、

 それぞれが、ちゃんと“自分の役割”を持っているように見えた。


 ——ここ、雰囲気がいい。


 かわいいだけじゃない。派手すぎない。でも、ちゃんと印象に残る。

 静かだけど、芯がある場所。


 読んでいくうちに、気づいたら、さっきまでの「バイト探し」という目的はどこかに消えていた。


 ここで働くって、どういう感じなんだろう。

 ここに立つ人は、どんな気持ちで、この場所にいるんだろう。


 そんなことをリアルに考えている自分に、少しだけ驚く。


 ——あれ。

 もしかして、私。

 惹かれてる?


 画面を閉じる前に、もう一度だけ、店名を見る。

『Atelier Étoile』

 星の工房。


 ここは、誰かが輝くための場所じゃなくて、誰かが“輝こうとする時間”を、大切にしている場所なのかもしれない。

 そう思った瞬間、胸の奥で、何かが静かに決まった。


 ——行ってみよう。


 それが、未来と、Atelier Étoileの最初の出会いだった。

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