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銀の城は心の奥に  作者: X


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24/26

24話

 セーレ、マーク、ビィシャアは、満月亭からほど近い距離の飲食店で夕食を楽しんでいた。


「乾杯!!」


 ジョッキ片手に、発泡酒の安酒が進む。

 セーレはあっという間に飲み干すと二杯、三杯目とハイペースだ。

 四杯目に入って、彼女はべろべろに酔っ払っていた。どうやら、アルコールには弱く酔いが回りやすいらしい。


「そのくらいにしておいた方が……」

「あたし、まだ酔っ払ってねぇーわよ!」

(うん……酔ったセーレは新鮮な感じね。可愛い……)


 ジョッキを飲み干し、セーレはおかわりを要求。しかし、マークはそれを却下。


「なんでよ〜アンタ。はじめてぇ会ったときもケチだったわね」

「飲み過ぎだよ」


 マークは、セーレのジョッキを奪い取り、自身のジョッキ近くに置いた。


「何すんのよ〜返しなさいよ」

「はい、水」


 マークは、グラスに入った水をセーレに手渡した。不機嫌そうな顔でグラスの水を飲み干した。


「わかったわよ〜。アンタが気になってる、この街のこと話してやるわよ」

「えっ……」

「あれはね、戦時下のときに」

 

◆◇◆◇


 エドモンドの死の一週間前。

 セーレは夜の王城にいた。王城へ来た目的は「神器回収」だ。そもそも神器とは、王城の職人達が作った「最高傑作」であり、誰も使いこなせない「無用の超物」だった。

 ――忍び寄る影達。侵入者が現れた。

 

 人数は六人。

 影は神器回収のため、王城の商業地区にある下水の排水口近くに集合した。


 威圧する口調で、銀髪の女性に文句を言った


「おい、セーレ! お前が何で一緒なんだよ」

「テマ、私は味方よ。そんな言い方しなくても……」

「はぁ、良い子ちゃんみたいな言い分だね」

「もん、私はあなたに何か酷いことしたかしら?」

「いや、お前みたいな綺麗な顔の女を見てるとムカつくんだよな。同じ女なのに、こうも違うのかって」

 ――なんなのよ、まったく呆れた。

 

「そうなの、ムカついても同じ仲間よ。協力はしましょうよ」

「冗談じゃね」


 テマは、持っていた槍をセーレの顔目がけて、突き刺そうとした。髪が白髪から銀髪となり、瞳の赤色も強く輝いた。


「ちっ、私の手を操作しやがったな」

「それが、どうしたの?」

「気にいらねぇな」


 テマは槍をブンブンと振り回し始めた。背中は逆三角形、髪型は黒のショートカットで男性のような体つきだ。


「あなた、本気なの?」

「その反抗的な目。ますます気にいらねぇな」

「そう。なら、ここで力の違いをわからせてあげるわ」

「望むところだよ」


 二人が一触即発しそうな場面を止めたのは、ルーサーであった。


「テマちゃん、セーレちゃんも落ち着きなよ。我慢できないのなら、後でベッドで可愛がって、あ • げ • る !」

「いや……いいや」

「……キモい」


 ルーサーの発言に、セーレとテマは気持ちがいっきに冷めた。二人の争いをあたふたしながら見ていた歩兵部隊の三人も、ほっとしていた。


「こほん。取り敢えず、私が眷属にした動物達によれば、潜入ルートと見張り番はここですね」


 ルーサーは、軽いデッサン調で王城の見取り図と、各地区の見張り番の配置を描いてみせた。


「お前、非戦闘員なのに、こんな得意技あったんだな」

「ほんとね、絵が上手でわかりやすい」

「セーレちゃん、ほんと嬉しいな……」

「私たちは何をすればいいかしら?」

 ――彼女は反応しない。ルーサーに興味がないようだ。

 

「……そうだね。神器の回収は、私が操る眷属のカンガルーたちがやってくれるよ。君たちは、カンガルーとオオワシ達が王城へ潜入する間、門兵を行動不能にしてくれれば問題ない」


 テマは血の気が多く、暴れたがっている。

 

「そんな役回りか、あたしは暴れたいね」

「堪えてくれ。この作戦は見張り連中の洗脳と行動不能が目的だ。つまり、君たちが適任なんだよ。そうだろう、見えざる断罪者であり洗脳のセーレ。そして、夢の世界の(いざな)い者であり眠りを誘発させるテマ」

 ――お互いの顔を一瞬見て、すぐに前を向く。

 

「そう、任せておいて」

「あぁ、コイツより格上ってことを証明してやるよ」


 その言葉を聞き、ルーサーは目を閉じる。

 別付近に待機していたオオワシの背中にカンガルーが飛び乗り、王城を目指し飛び立った。


「さて、私達、たちも行動開始ね」


 セーレとテマは、下水道の排水口から、それぞれ別方向へ飛び出していった。

 歩兵部隊三人には、眷属を操る無防備なルーサーの護衛を担当させた。


◆◇◆◇


「ここが、王城の行政地区ね」


 セーレは、歩きながら見張り番と思しき人物達に洗脳をかけた。

 能力は、相手さえ視認できれば発揮できる。

 勿論、目が合っていれば、より強く絞ることも可能だ。操れる人数の限界は、百人程度だと思われる。また、洗脳以外にも人体の細胞に関与し、相手の体を爆散させる応用攻撃もある。


 その頃。

 別地域では、テマが能力を発揮していた。

 

「さて、お前らは寝ちまいな」


 一方のテマは、霧を操る能力を持っていた。その無味無臭の白い霧に触れた者は眠りを誘う。その便利な能力ゆえ、王政地区を任された。唯一の弱点は、霧は風の流れに左右されやすいのだが、本日は無風とベストコンディションだ。


「さて、王城の連中は寝たかな。後は……」


 一方、セーレは、行政地区の見張り番の洗脳が完了。

 ルーサーが用意した眷属動物たちは無事に王城へ潜入できたようだ。

 セーレは、道に迷わず対応できた自分に驚きつつも安心し、行政地区の誰もいない公園のベンチに腰を下ろした。

 ――そこに、何かが近づいてくる気配を感じ、身構えた。


「何であなたがここに?」

「よう。やっぱりお前とは、決着をつけないと気が済まねぇんだよ」


 行政地区の公園で、仲間内のいざこざが始まろうとしていた。

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読むだけでは足らず、作者の励みになりません。どうか勇気づけると思っての願いを読んだ句です。

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