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銀の城は心の奥に  作者: X


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14/26

14話

セーレとマークは、正面入り口まで到着し、整備士のコーンと再会を果たした。

 

「おぅ、マーク。バイクを派手に壊したみたいだな」

「すみません、おやっさん」

 ――スライディング土下座。

 

「構う事はねぇ、頭上げろ。バイクは壊れるもんだ。壊れたらまた修理すればいい」

「おやっさん!!」

 

 男同士のやり取りを見て、セーレは少しだけ興味を示し、バイクの話に耳を傾けた。

 

「いいか、バイク乗りに必要なのは心だ」

「はい、勉強になります」

 ――マークは聞いた内容を日記帳に書き留めていた。

 

「それでな、バイクは風と一体化することが大事でな」

「それは、自分も体験しました」

「それでよ……」

 

 話の内容は要領を得ず、セーレには理解しきれなかった。結局のところ、好意を持てる話題ではなかった。

 

「……あのぅ、バイク乗りの心得とか、どうでもいいので。さっさと、私達のバイクの引渡しを済ませてください」

 

 その指摘を受け、コーンはサイドカー付きのバイクを工場から引き出してきた。サーメスとの戦闘で転倒した際についた傷は補修され、表面は丁寧に研磨されている。

 

「おやっさん、ありがとうございます」

「いいってことよ」

 ――二人は固く握手を交わした。

 

 その間に、セーレはバイザー付きのヘルメットを被り、立ち止まることなくサイドカーへ乗り込んだ。そして、話し込む二人を眺めながら、頬杖をついた。

 

「では、お世話になりました」

「マーク、そのバイクを頼んだぜ」

「はい、おやっさん」

 

 バイクのエンジンがかかり、最牡さいおすの正面入り口から外へ走り出す。アスファルトの上を走るバイクは、太陽の光を反射し、眩く輝いていた。

 

◆◇◆◇

 

 しばらく走ると、道はアスファルトから砂漠地帯へと変わった。長距離を走るうちに、道と呼べるものは失われていく。

 

「さぁ、次は私の神器探しよ」

「セーレ」

 

 マークは以前から気になっていたことを口にした。

 

「何よ」

「神器探しだが、君の神器はどんな形をしているんだ?」

 ――彼女は即答する。

 

「うーん、見た目は槍ね」

「槍?」

「そう。穂は十文字、柄は赤色、石突には獅子がついているわ」

 

 マークの脳裏に、一つの名前が浮かんだ。「アテーナー」だ。

 

「そうか、わかった。クライさんから貰った探査機に反応はあるかい?」

「全くないわね」

 

 砂漠の道なき道をバイクで進むが、神器の反応は一向に掴めない。気がつけば、辺りは夕刻を迎えていた。

 

◆◇◆◇

 

「セーレ、今日はもうこの辺にしよう。そろそろ野営の準備をしよう」

「えぇ、そうね」

 

 バイクを止め、パーキングブレーキをかける。エンジンキーを引き抜くと、セーレはマークの鞄から四角い小箱を取り出した。

 

「それは何?」

「クライからの貰い物」

 

 箱を地面に置き、蓋を開ける。

 ――中身は風船のように膨らみ始めた。

 やがて四角形となり、二十畳ほどの大きさに成長する。外観は硬化し、石のような強度を持った簡易施設が完成した。

 

「これは……凄すぎるな。クライさんの発明は何でもありだ」

「さすが天才ね。これなら朝方の炎天下でも快適に寝られるわね」

 

 セーレは施設のドアに手をかけ、中へ入った。

 内部には四つの部屋があり、その一つを開けると、固形食料がぎっしりと詰め込まれていた。

 

「今日は、これを食べたら、さっさと寝ましょう」

 

 セーレは固形食料をマークに手渡す。

 袋から取り出した食料はビスケットのような形状だった。一口かじると、苺そのものの味が広がる。

 

「何だこれ、見た目はビスケットなのに……まるで生の苺だ」

「美味しいわね、気にせずどんどん食べちゃって」

 ――セーレの食欲は止まらなかった。

 

「このペースだと、すぐ無くならないか? 節約も考えた方が……」

「大丈夫よ」

 

 セーレは小型の冷蔵庫を持ってきて、中を開けた。そこには袋詰めの固形食料が隙間なく詰まっていた。

 

「クライのワープ機能で、定期的に送ってもらってるの。これで食料には困らないわ」

「そうだったな……クライさん、大総統でもあった。ワープって、どんな技術なんだ?」

 

 かつて耳元で延々と語られた説明が、マークの脳裏をよぎり、即座に思考から排除された。

 

「ほら、そんなこと気にせず、明日の活力のために食べな」

 

 セーレはビスケットをマークの口へ投げ入れる。彼女は声を上げて笑った。マークの胸中には、「もう少し、あーん」の可愛げぐらいほしい、とわずかな不満が芽生える。

 

「じゃあ、私寝るから。アンタもいつまでも起きてるんじゃないわよ」

「あぁ、おやすみ」

 

 簡易施設のノブに手をかけた瞬間、セーレの動きが止まった。周囲には深い霧が立ち込め、不気味な呻き声が響き始める。

 

「声が聞こえる……誰かしら?」

「セーレ、どこにいるんだ? また優勢思考の連中かもしれない。警戒を!」

 

 マークの声は近くから聞こえるが、霧の中で位置は判別できない。

 

「ぎぃー……がぁー……」

 

 重苦しい音が周囲を包み込む。

 

「ふふふ……やっと見つけた」

 ――若い女性の声だった。

 

「また優勢思考かしら?」

「いいえ、違うわ」

「なら誰よ!」

 

 霧の中から、黒髪で身なりの乱れた女が姿を現す。剥き出しの殺意を隠そうともしていなかった。

 

「私はビィシャア=エドモンド! セーレを絶対に許さない。あの戦争でパパを殺した、殺人鬼をこの手で仕留めてやる!」

 

 セーレの表情がわずかに引きつる。

 

「エドモンド!? まさか、あなたの父親は、私達を補助してくれた……」

「えぇ、そうよ。殺人鬼セーレ。無関係な人間を巻き込んだあなたを、私は絶対に許さない。覚悟しろ!」

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読むだけでは足らず、作者の励みになりません。どうか勇気づけると思っての願いを読んだ句です。

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