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エピローグ

 エドワードとアイリーン、アーサーとエリスは四人で王宮の庭園でお茶を飲んでいた。


「こんなにのんびりお茶をするなんて久しぶりだよ」


 アーサーはお茶を飲みながら感慨深く言った。


「アーサー様は大公になられるまで、いつものんびりしていらしたものね」


 アイリーンは少し皮肉っぽく言った。


「ひどいな義姉上は。兄上が行方不明になってからずっと忙しかったよ」


「あら、エドワード様が帰られてから再々執務室から消えて、エリス様のところに行っていらしたのはどこのどなたでしたかしら?」


「義姉上!」


 エリスは声を出して笑いそうになるのを手で押さえて我慢した。


「おまえたちは相変わらずだな。こどもの頃もこんな調子だったよな」


 エドワードは呆れ気味に言った。


「懐かしいです。アイリーン様がマナー教育してくださっているときもこんな感じでした」


 そのとき泥だらけのこどもが泣きながらやって来た。


「うわ〜ん、お母様〜!」


 こどもはエリスにしがみついた。


「まあ、エドガーどうしたの?泥だらけじゃない」


「お母様のドレスが汚れてしまうよ」


 そう言いながらアーサーはエドガーをエリスから離して抱いた。


「うわ〜ん、お父様〜、ルシエラが、ルシエラが〜」


「ルシエラがどうした!?」


 ルシエラの名前が出たのでエドワードは席を立ち、慌てて探しに行こうとした。


「大丈夫ですわ」


 アイリーンが澄ました顔でお茶を飲みながら言った。


「ルシエラが心配じゃないのか!?」


 エドワードがアイリーンに不満げに言った。


「すぐにアレクが連れて来ますわよ」


 アイリーンが言った通り、アレクがジタバタしているルシエラを抱き抱えて連れて来た。


「ルシエラ!怪我はないか?」


 エドワードがルシエラを抱こうとすると、ルシエラはアレクの腕が緩んだ隙にサッと降りて逃げようとした。

 アイリーンは予測していたかのように、ルシエラの後ろ襟を掴んだ。


「ルシエラ、またエドガーに悪さしたわね」


 ルシエラは後ろ襟を掴まれてバタバタしながら言った。


「だって、だって、アレク兄様はルシエラの兄様なのに、エドガーが仲良くするんだもん!」


「ルシエラ、エドガーは従兄弟だよ。仲良くするのは当たり前だよ」


 アレクが言うとルシエラは泣き出した。


 アイリーンはルシエラを優しく抱いて座り、頭を撫でた。


「お兄様を取られたようで悲しかったのね。でもねルシエラ、エドガーもルシエラに意地悪されてものすごく悲しかったと思うわよ。ルシエラが意地悪をしたことを聞いてお父様もお母様も悲しいわ。ルシエラは自分が悲しければみんな同じように悲しい思いをさせて嬉しいの?」


 ルシエラは泣き止み考えた。


「…‥嬉しくない」


「そうよね。じゃあどうすればいいかしら?」


 ルシエラはアイリーンの膝から降りてエドガーのそばに行った。


「エドガー、ごめんなさい」


 ルシエラはペコリと頭を下げた。エドガーはすでに泣き止んでいたが、アーサーの腕に顔を埋めていた。


「エドガー、ルシエラが謝っているよ。どうする?」


 アーサーが言うとエドガーは頭を上げ愛くるしい顔で言った。


「…いいよ」


 ルシエラはちょっぴり頬を赤くして、エドガーの手を引っ張った。


「あっちで一緒に遊ぼ」


「うん!」


 ルシエラとエドガーは走って行った。アレクはまるで二人の保護者のように慌てて後を着いて行った。


「アレクは7歳ですよね。もうしっかり兄役を務めていますね」


 エリスが言った。


「ええ、エドワード様に似てしっかりしていますわ」


 アイリーンが答えるとアーサーが笑いながら言った。


「ルシエラはエドガーと同じで4歳だったね。やんちゃぶりは誰に似たのかな?」


「さあ、わたくしは存じ上げませんわ」


 アイリーンはお茶を飲みながら澄まして答えた。


「アイリーンに似たのだろう?隣国での暗殺者と路地裏での格闘思い出させるよ」


「まあ、エドワード様ったらいつの話を…あのときは必死でしたの!それにエリス様に助けていただきましたし」


「そうだな。エリス殿には何度も何度も助けてもらった。いまだに恩を返せていない。何かあったら言ってくれよ、アーサー、エリス殿」


 アイリーンは相槌を打ち、アーサーとエリスは頷いた。



 夜、アイリーンはワイングラス片手に寝室のテラスで風にあたっていた。

 入浴を終えたエドワードがタオルで髪を拭きながらアイリーンに声をかけた。


「寒くないか?湯に浸かった後だと冷えるよ」


「ええ、大丈夫。今は気持ちいいわ」


 エドワードもテラスに出てきてアイリーンを後ろから優しく包み込んだ。

 

「ふふ、暖かいわ」


「大事な妻が風邪を引いたら大変なのでね」


 アイリーンは持っていたワインに口をつけた。


「わたしが飲ませてあげるよ」


 エドワードはそう言うと、アイリーンのワイングラスを持つ手を握りワインを口に含んだ。そしてアイリーンへ口移しした。

 エドワードはアイリーンの口元から垂れたワインを親指で優しくで拭った。

 アイリーンはエドワードの首に腕を回した。エドワードもアイリーンの腰に腕を回した。

 

「エドワード様、わたくしとても幸せですわ」


「わたしも幸せだよ」


「愛しています、エドワード様…」


「愛しているよ…アイリーン…愛している…」


 二人は夜影に紛れていつまでも唇を重ね合っていた。


初めての投稿作品でした。つたない小説を最後まで見ていただきましたこと感謝いたします。ありがとうございました。

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