表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

番外編3 王家のバラの受け取り人


 ちょうど三人が沈黙していた所に、ユトンがやって来た。 

 日に当たる金髪は、今日もキラキラ輝いて、ルイネには、世界一かっこよく見えた。

 服装は、二人が初めて出会った日と同じ、青シャツにグレーのジーンズだった。


  「その服」


 言い掛けたルイネを遮って、ユトンが、不機嫌な顔つきで、リベールを睨んだ。


  「墓地なんかでピクニックするから、そんな顔になるんだ。さっさと屋敷に戻れ」  


  「ああ、ユトン!いい時に来てくれたね。実は、ルルの彼氏が、ヤンデレ化して困ってるんだ。何とかしてくれない?」


   早速、無茶難題を吹っかけられて、ユトンは即答した。


   「断る。氏神さまにでも祈れ」


   他人事のように言うと、かわいい婚約者に思い切り睨まれた。 


   「リーシャに頼んで、胸キュンの呪文を相手にかければいい。誰か、人形でいいな。恋をさせれば解決だ」  


   ユトンは、慌ててフォローしたが、これを聞いて、ルイネは、ぽかんとした。

   その一方で、ルルは、ルビーのように赤い吊り目を輝かせた。 


   「それ、いいですね!」  


   「うっわ~、非道だねえ。一生、人形に恋させるなんてさあ。君、僕に似てきたね。一応は、血が繋がってるからさあ」


   リベールが、面白おかしく批判すると、すぐさまルルが反論した。


  「どの口が言いますか!先日の悪事を忘れたとは言わせませんよ!ルイネちゃんを騙して、王家のバラを受け取らせたでしょう?」


   眉を吊り上げるルルを見て、リベールは、居心地悪そうに首をすくめた。


 「でも、ほら、丸く収まったじゃない。ルイネちゃんも、もう怒ってないし。ね?」


  同意を求められて、ルイネは、そっぽを向いた。


  「え、まだ怒ってた?」


  焦り始めた義兄あにを見て、ユトンが大きく溜息を吐いた。


 「あの時、気付けなかった俺も悪い。言い訳になるが、ルイネから『王家のバラが欲しい、覚悟はもう決まってる』と言われたのが嬉しくて浮かれた。年甲斐もなく、のぼせあがって、ちゃんと確認しなかった。『受け取る意味は聞きました。私の心は決まっています』なんて言われた時に、おかしいと気付くべきだった」


 「王子は悪くありません!!」


  ルルが急いで否定して、リベールを指差した。


 「全部、この腹黒王太子が、悪いんです!!ルイネちゃんに、『君が王家のバラを受け取ってくれたら、ユトンは、あの、虹の指輪はいらなくなるんだ。シナリオ改変の前に、呪いがとけるんだよ。お姫様の愛でね』なんて真剣に言うから!!ルイネちゃんは、すっかり信じて。あなたのせいで、ルイネちゃんは、もう二度と元の世界に戻れなくなったんですからね!!」


  肩を怒らすレンタル悪役令嬢は、本物の悪役令嬢なみの迫力があった。

  しかし、腹黒王太子は、全く反省の色がなく、それどころか、にんまり笑った。


 「あ、それね。シナリオが改変したら、王家のバラ設定が無くなるから、元の世界に帰れない設定も無くなるらしいよ~よかったね~」


  「えっ!?」


   三人とも驚愕きょうがくして顔を見交わせた。

   それから、ルルとルイネは、両手を合わせて大喜びした。

   ユトンも、罪悪感が一気に消えて素直に喜べた。

   両親、友人に会えなくなった悲しみを、ルイネが必死に押し殺しているのは知っていた。

   時折見せる悲し気な表情が、これで消えるのだから、これほど嬉しいことはない。


  「ね?ハッピーエンドでしょ?」


  満足げにウインクする腹黒王太子が、その上とんでもない提案をした。


  「ルル、君には、僕から王家のバラを送るよ。最高の溺愛ルートだ!これで、公爵子爵に、グッバイだよ。シナリオが改変したら、バラの魔法も消えるんだから。僕の傍にいなくていい。どう?」


  ルルとルイネは、最初、目を丸くして戸惑ったように視線を交えた。

  しかし、段々と、この提案が、素晴らしいものに思え始めた。


   「悪くないですね」


   ルルが、こくりと頷いた。 

   この一言を、後悔する嵌めになるとは、思わなかった。

   ルイネとユトンも、腹黒王太子が、本気になっているだなんて、想像もしなかった。

   リベールの腹の中では、既に計画が、始まっていたのだ。


   「じゃあ、明日、早速、持って来るからね」


  その晩、リベールは、保持妖怪の双子の片割れ、四羽よつばに連絡を取った。


  入手済みの通信鏡つうしんきょうで、リベールは、話した。


「上手くいったよ、四羽。ルルが、王家のバラを受け取ってくれる事になったんだ。思わぬ方法で、成功したよ。後は、ルルを想う十五人の公爵子息から、ルルに関する記憶を完全に消して欲しい」


「分かった。先月は、世話になったから、滞りなく終わらせる」


「じゃあ、よろしくね」


 通信鏡を切った後、リベールは、不敵な笑みを浮かべて、呟いた。


「念には念を入れて、虹の魔女さまに薬を貰いに行こう。今日は、占い師レニールの姿で、あっちの世界にいるから」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ