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08アップルティー狩り

今日は恒例行事。


なんと、自分の中で謎でしかなく、謎しか残さなかったアップルティー狩りの祭り。


ツガイの祭典といい、異世界には自分の予想だにしないことがまだまだある。


ファルミリアは目を何度も瞬かせながら開催の宣言をする声を聞く。もう会場にいて、あとはアップルティーを入れ物に入れるだけ。


コースは太っ腹のブレンド高級茶葉コース。


ディアドアがそちらにしてくれた。


ファルミリアは今日、この日をかなり楽しみにしていた。


アップルティーの狩りなんて、言い方がオシャレ。


ファンシーな香りがしてきそう。


開催する人がこちらにどうぞという。


ブレンドの金額も割と高いので、増産品コースよりは人が少ない。


若いカップルは自分たちくらいで、あとは貴婦人っぽい人などが多い。


高いからね。


ディアドアもやる気で全部もぐと言っていた。


これには理由があって、ファルミリアがお願いしたのだ。


いやいや、だって元を取りたいっていうのは心理でしょ。


ごっそりやってくれと言ったのだ。


そしたら、彼はならばずっと飲めるくらい取ろうと宣言した。


アップルティーのティーパックを取る時間になったので、開催が宣言された。


彼はさらりと地面を蹴る。


それを見ながらファルミリアはゆったりとティーパックを取る。


匂いを嗅ぐといい香りがする。


りんごの香りだ。


これを毎日飲めるかと思えばテンションが上がる。


最高。


ファルミリアはディアドアの様子を見ながら周りも見た。


貴婦人や紳士たちが優雅に時間をかけてまったりまったりと摘んでいる。


そんなに時間をかけてはいっぱい取れないからこそ余裕そうだなぁと苦笑いする。


でも別に、自分的には優雅ではなくて良いので。


このティーパックを毎日飲んだり、人に進めてみたりと言う楽しみができるのでそれでいい。


ファルミリアはババッと吟味しつつ取る。


いや、どれがいいか悪いかなんて、さっぱりだけど。


適当、適当にやった。


ファルミリアはアップルティーパックの匂いを嗅ぐ。


甘酸っぱい。


帰りに市販のものを購入して、それと飲み比べてみよう。


笑みをこぼして、カゴに入れる。


時間になってアップルティー狩りは終了した。


集まると、彼はもりもりに盛られたカゴの中身が見えた。


関心したので、ありがとうと何度も言う。


彼は自慢げに胸をそらす。


ファルミリアも嬉しくなって、互いに健闘をしたと褒め合う。


ディアドアは、意気揚々と前を歩いてざばざばと雑に袋に入れていく。


事前にファルミリアが予め用意していたもの。


いることになるだろうかと思って。


貧乏性であるから、仕方ない。


係の人は何か言いたそうにしていたが、見ないことにしている。


「これで毎日たっぷり飲めるね」


言いたいことは、大海の中の海のようにわかる。


けれど、毎日飲めるのなら惜しくない。


量を限定していない企画の限界に挑戦しただけだよ、こっちは。


と色々理由を付けていたけど、単にいっぱい飲みたいってだけ。


「やったね」


「ああ。色んなアレンジにも使えるな」


「いっぱい欲しいって、わがままいってごめんね?」


「いや、このアップルティー狩りは噂に聞いていたから、体験できてよかった」


アップルティーの企画をしてくれた人、ありがとございます。


「帰ったら作って飲もうね」


「楽しみだ」


アップルティー狩りが終了した後は、自宅に帰る。


帰り際、アップルティーに合いそうなものを買い込む。


「これ、良さそうだな」


「これも、これも買おう」


買い物を済ませると、二人は家に入る。


中に入り、ディアドアらはアップルティーを入れて買った食べ物をテーブルに出す。


美味しそうな香りが家内に漂う。


「し、幸せー!」


「よかったな。ほら、いっぱいあるから遠慮するな」


テーブルの椅子に座る。


「いただきます」


「いただきます」


アップルティーを飲むと、芳醇な果物の香りが鼻を通る。


「おいしーっ」


「高級なのは正しかったな。市販のも入れたぞ」


入れられた市販用のものを飲む。


「……結構違いがわかる」


「あ、うん」


こちらの固まった顔を見た彼は心配された。


「ご、ごめん。大丈夫。あのね……味の違いがわからなくて」


彼は彼女の発言を聞いて大笑いした。


「いや、おれも言ったけど少しの違いしかわからない。でも、それは味覚と嗅覚がいいように、鍛えていたからわかっただけだ」


「そうなの?嘘でも慰めてくれた気持ちで十分だよ」


「本当だ、本当。同じアップル種なんだから味の違いは少しある程度と、甘いのがあるかないかの違いくらいだろ」


「そうなんだ。ホッとした」


でも、違いがわからなかったけど、香りは結構違う。


匂いが市販よりも強め、というのが辛うじて理解できた。


「アップルティー狩り、来年もやるか?」


「他の狩りに行きたいかな。アップルティーは確保できてるし」


栗の狩りとか、秋っぽいもの。


「パイナップルジンジャー狩りもおすすめだぞ」


「パイナップルジンジャーってなにっ!?」

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