表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人に裏切られ番不信になった私の心を溶かして甘く抱きしめてくれたのは  作者: リーシャ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/41

41疲れ切った体に桜は癒しに最適

 ファルミリアは相変わらず忙しい日々を送っていた。けれど、今回からはすごく楽になることも理解していた。


 なぜならば念願のおむつ制作に進展があったから。少しだけ形になったのだ。トイレットペーパーは諦めたわけではない。

 トイレットペーパーだって並行したものを制作している。オムツは前回作っただろうと言われるかも知れないがさらに、進化させた物になるわけで。


 ワクワクが止まらない。幼児用オムツ制作をしてから、更なる子持ちたちの熱い視線が商店街から浴びせられていると気付いてからは、外出を控えた。あまりにオムツの性能が良すぎて完売御礼状態なのだ。


 前に考えた隙間バイトのシステムを入れたのに間に合わない。パンク気味。ずっとオムツを作っているけど、ゲシュタルト崩壊しかけてしまう。

 少し空気を吸うためにちょっぴり遠いところへ出かけようと決めていく。オムツの新作は型番を取り他の人も作れるようにしておいたから、制作し始めたら完売状態も緩和されるから気が楽だ。


「今にも死相がある」


 ファルミリアはディアドアに少しでかけるねと隈の消えたいない目元で言うと、ついていくと言われてしまう。平気だよと言うのだが、くまがひどすぎて説得力がないらしい。とほほ。そう言われたから許可するしかないよね。

 苦笑して頷くと横抱きにされて瞬間移動をする。最近取得できたとは聞いていたけれど、本当に出来ているとは。


「平気なのに、本当に」


 ブーブー言うが嬉しいのでそれ以上言わない。彼もそれを理解しているからか、笑って続けた。

 お互い好きだからされたりしたり、してあげたり、されるがままでもどちらでもいいわけなのだ。犬もくわない光景になってそう。


「あ、もう春だったんだ?」


 連れてこられたのは桜が咲く山。ここは穴場なのだとか。綺麗で見惚れる。


「春じゃないけどな」


「え?夏?」


「秋だ、秋」


 そうか、かなり長い間部屋にこもっていたことになる。くまもできるわけである。根を詰め込みすぎたらしい。

 反省しなくては。頑張りすぎない人生にしたいと思っていたのにいつのまにか激ハマりしてしまったみたい。


 誰かのために作っていたわけではないけれど、作るのに夢中になるのはいつものこと。いつもは終わってから取り戻すように寝ていたから。

 こんなふうになるまで、途中で止められることはなかった。なのに、これからは彼が合間に止めるということなのだろう。なんだかそれは、夫婦っぽいのでは?なんてね。


「連れてきてくれてありがとう」


「どういたしまして。じゃあ、弁当があるからここで食べるか」


「え?あるの?」


「ある。ほかほかだぞ」


「もしかして、時間停止?いつの間にできるように?」


「お前がなにかに夢中になると話し相手がいなくて暇になるからな」


「えー?ディアドアにはたくさん友達いるのに?」


 嘘だと思うんだけど、彼は孤高でソロだったから本音かも。


「お前より仲のいい奴なんていない。わかるだろ」


 彼はからかうように深みを持たせて目を細めるとお弁当を開く。異世界だから桜が咲くからと春という思い込みで春かなと思ったが、違ったらしい。気をつけないと。いや、でも、気をつけても意味はないかも。結局この歳になっても間違えてしまうのだから、なくならないかな。


 前の人生の方が今より長いので常識が抜けないのは、しかたないことなのだろう。受け入れて生きていくしかない。うんと頷いていると食べ物を口に入れられ、モグモグする。考え事していると、大体口に入れられるのはいつものこと。ご飯さえ疎かになるのだから、こうなるというものだ。


「うまいか」


「美味しい。手作り?」


「手作り」


 手作りなんて、さすがはと言いたい。いや、実際言ったけどね。美味しいって。

 嬉しそうに笑う男を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになる。番いがいてよかったと、今なら何度でも言える。


「番いって、いいね」


「……そう思えるようになったことは、誇りだ」


 ディアドアはじとりと見てからファルミリアを抱き寄せて抱きしめてきた。頬が赤くなるが、慣れないとね


「どうしたの?」


「最初よりは触れてもいいのかも思ってな。あまり触れなかったのは、あまりベタベタするとこれだから番いはと思われてしまうだろ?」


「え?結構触れ合いしてたのに?」


 どうやら、かなり触れ合っていたのにそれでも控えていたとのこと。ちょい疑わしい。そう言いながら、彼にかなり気を使わせていることは知っていた。

 だからとはいえ、増やしていいよとは言えまい。そもそも、男性と付き合ったことなんてほぼない。前提は例の元婚約者候補のみ。


 嫌な記憶しかない。それ以外で男性相手の対応はないし。まともなのが番でよかったと言うべきなのかもね。


「考え事か」


「男性に優しくされたことないなって。ディアドアが初めて優しくしてくれた」


「おれはお前のことを好きだから当然だろ」


 なにを当たり前のことを言うのだと、呆れている顔つきになりさらに抱き締める強さを増す。隙間から花びらが降り注ぐ。


 桜の香りが鼻腔をくすぐる。手に手を重ねて体温を分け合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ