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恋人に裏切られ番不信になった私の心を溶かして甘く抱きしめてくれたのは  作者: リーシャ


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40/40

40ピルピを追い詰める。カード大会終了

 会場に再び戻ったり動いたりで想定していたよりも忙しい。予知姫のせいだ。


「ああ!あのバカ姫のせいで。どう見ても仕草が貴族以下なのは、見る人が見たらわかるんだけど」


 姫でもなんでもないインチキな人でしょうと、鬱陶しい者を見る目でピルピを見遣る。よくも図々しい真似をしているものだ。

 すでに何人も、金で抱き込んだ男たちや参加者たちが捕まっていることを知らないのだろう。睨みつけるがただただ睨みつけているので彼女は優越感に滲む顔をするだけ。


 殺意を向けたらおそらく気絶するので、抑えておいたことを感謝してほしい。とってもとってもね?

 こっちが本気を出したら、ピルピなんぞ瞬殺並みに外へ退場させられるんだからね?


 この世界は法律ガチガチではなく、実力主義なので。もちろんファルミリアが黒いといえば黒くなりやすくはある。その前に信頼とか信用とかを積み重ねているからこそ発言力があるのだ。


 ピルピはそこをズルをしてスキップしているのでファルミリアと違い、一瞬で崩れるような弱点と盲点がわかりやすくある。


 イライライライラと鬱憤を溜めていると、彼女はまたもや勝ち進む。またお金を渡して、参加者に負けるように言ったのだろう。

 もう我慢ならない。一緒に運営をしている人たちにも事前に理由や事情、背景を説明済みなので彼らも遺憾の顔を浮かべている。


 大会をめちゃくちゃにされている現状。第二回目の開催が危ぶまれている。ピルピを裏のあだ名として、バカ姫バカ姫と言いまくっているファルミリアは、そろそろキレそうになっていた。

 いや、まだまだ怒り足りないのだ。ピルピのところへ、のしのしと足音を響かせながら赴く。そうしたら、ピルピはディアドアだけ視界に入れたらしくパァッと顔を明るくする。


 ファルミリアたちの顔が見えないらしい。怒りに満ちた憤怒を。驚いたな〜。予知姫のくせにファルミリアらのこれからの断罪を予知できないなんて。ハッハッハッ。


「ディアドア様。会いに来てくださったのですねっ」


 ニコッと笑う彼女にディアドアは眉をキッとさせて睨みつけた。まだまだ可愛らしい威嚇だ。


「名前を、呼ぶな」


「あ、えと」


「名前を呼ぶなと、聞こえなかったか?」


 殺意を込めて声を出すとさすがに彼女は体を震えさせる。ディアドアの睨みは冒険者もブルブルさせるからね、仕方ない仕方ない。でも、絶対逃さないので手を緩めない。


「す、すみません」


「おい、ピルピちゃんを睨みつけっ、ひぃ!」


 ピルピファンらしき男が前に出るがディアドアの怒気が膨れ上がると、だらだらと汗を流して声が萎む。


「ご、ご、ごめんなさい」


「次、やることをさえぎったら、明日の朝日を拝めなくなるからな」


 ディアドアが静かな声音で告げると男は、こくこくと何度も頷く。


「よし、じゃあ向こうへ行け。そんなにヒーローになりたいのなら警兵に問われたら素直に話せ。ピルピを庇ったらお前も終わるぞ」


「は、はいぃ」


 首振り人形みたいに首を振り終わり、向こうへ走っていく。命をかけてまでやる気はなかったみたい。ファルミリアならそれだけ熱を上げた相手ならば、結構喰らいつくんだけど。ミーハーレベルだったって感じかな?


「あ、あ、あのっ」


 あのあのあのと煩い女は、なにが起きているのかわからないらしい。しかし、ディアドアが警兵たちがピルピを取り囲むと相手は焦ったように騒ぐ。


「え、な、なんで!?」


「火事放火の指示容疑で逮捕します」


「は?」


 ピルピはぽかんとした顔をしてあちこち見てから首を何度も振る。


「な、なんのこと?なんのこと?わ、わからないわ!」


 喚くピルピにファルミリアは瞳をキュッと細くさせて目前まで顔を寄せる。恨めしいと言う声音で恨み言をボソッと告げた。


「私の大会……お金を渡して……よくも壊してくれたよね?」


 ひくりと相手は顔をこわばらせた。否定よりも恐怖が勝ったのだ。


「次、顔を見たら永遠に眠らせるからね」


 予知姫に被せて脅す。


「!……た、助けて!今、いまいまいま、脅されたわ!!」


 ピルピは被害者ですと言いたげに叫ぶけれど、周りは何を言ってるんだこの子はという不審な顔つきで見つめるだけ。

 ファルミリアは今二つ言ったことが外に漏れないように防音が可能な魔法を使ったので周りに聞こえなかっただけである。どれだけ訴えても意味がない。


「騒ぐな!」


 警兵たちがぞろりと女を連れていく。余罪もありそう。大会は予定通り連れて行かれて、取り調べを受けている予知姫に関しては何があったかを周りにわかりやすく伝えておいた。

 兵たちに許可を得ているので大丈夫である。観客や参加者たちはざわざわしたが、主催者たちは冷静でことはすでに済んだので皆は安心した。


「ファルミリア、よかったな」


「うん!」


 大会の優勝者がしっかり一位の記念カードを受け取るのを眺めながら、ファルミリアとディアドアは並ぶ。


「ディアドアもありがとう」


「いや、いい大会だった。主催者側を見るってのもいいもんだ」


 彼の言葉に手をグッと握り、やり切った気持ちを伝えた。


「私も。成功かな。大成功ではないけど」


「いや、トラブルも伏せて街にも伝わるから宣伝効果はあるぞ」


「そうかな?」


 慰めでも嬉しい。主催者として壇上に呼ばれてここを離れた。マイク代わりに、声を響き渡らせる魔法をセットする。


「色々ありましたが、楽しんでもらえたのなら主催者として光栄です」


 他にも想いを伝えて次回の開催も考えていることを伝えて頭を下げる。拍手が聞こえて、フィナーレにカードから花びらを散らす演出をした。


 わあ!と周りが喜ぶ声に鼻たかだかになりながら、カードをやはりもっと作ろうときめたのだった。

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