36赤ちゃんの必須アイテムを考えてみたらとんでもなく声がかかる
ころりと形が出来上がっており、さらに整えると普通に出来てしまう。
「紙オムツ?確か、赤ん坊には布が使用されていると聞いたが」
「よく知ってるね」
「おれにも番ができたから、将来を考えると、知らないことは埋めておくに限る」
相変わらずクールである。
この世界では、オムツは使い捨てみたいなもの。魔法があるので、燃やせばいいし。
しかし、撥水加工がないから布でもなんでも、変わらない。ファルミリアは、撥水加工をどうするのかなんとかやろうとしたが、素材に迷った。
迷って、これいいかな、というものに行き着く。ビニールに近い素材を見つけられた。
なので、次々停滞していた品物が進む。ディアドアはオムツを見ながら、隅々まで観察。
「ビニールと名付けた素材があって、自然に優しいところは魔法でどうにか……うん、できたんだけど。問題は……ないは、ないかな?」
自然に還る仕様。
「オムツを作ればいいんじゃないか」
「考えなかったわけじゃないけど」
腕を組み、仕方ないとトイレットペーパーから、オムツの制作へとシフト転換した。ファルミリアは、ビニールをオムツに活用して、外に出ないものにした、通気性があるものになる。
「ディアドア、できたよ」
「早いな。元々図案はあったみたいだな?」
「うん、図案はあったから完成図はあったから、早くできた」
オムツを手に、ファルミリアは近場に住む、乳飲み子のいる家庭に声をかけた。
「すみませーん」
「あらぁ、ファルミリアちゃん」
赤ん坊を背負う女性が、朗らかに笑う。
「オムツを作ったのですが試作品なので、使ってみて欲しくてですね」
「まぁ!ファルミリアちゃんの作品?喜んで協力するわ!」
ファルミリアは発明、事業、経営者として、地元の名物人物。知らぬものはいない。
ディアドアも隣にしっかりいる。ラブラブね、などと言われながら受け取られる。笑顔が、下がっていて、奥さん……と苦笑した。
朝起きると、朝からドアを前に名前を呼ばれる。すると、近所の子持ちの女性達が勢揃いしていた。
「な、何事でしょう」
「あのオムツ!」
オムツ!からの発言によりなるほどと、笑みを浮かべた。隣にさりげなく、ツガイの男が侍る。
当然、起きるわけで。どうやら、何か言いたいらしい。
「ファルミリアちゃん!」
自宅に招き、椅子に座った面々は早速と切り出す。話したくて仕方ないようだ。
「あのね!匂いがね、まずは全く、全く、まーったくないの!」
赤ちゃんのアレの匂いがしないことに驚きすぎて、奥さんたちに嗅がせ回って、匂いがしないことに騒然としたらしい。
くんくんくんくん、と皆が嗅いでいき、匂いがしないわと騒ついたらしいのだ。
これはなに、となり、ファルミリアが作った試供品だと言った。その結末が今現在という。
それで、ゾロリゾロリと家に来たのだな。
頷くと匂いがないのは、そういう風に作ったから。範囲内のこと。
「ディアドアくんも、知ってるわよね?このオムツ」
「いや、おれは使ってないから結果は知らない」
他の子持ち主婦に、話しかけられる相棒。二人に使う機会がないからこそ、近所の主婦に頼んだのだ。
「そうなの?本当に作りたてだったのね」
「ということは、数が無さそうね」
がっかりという人達の顔。
「あっ、なら、オムツの作り方を教えるので、バイトで作るというのはどうですか?家庭で作るのは難しいけど、半分完成させているものを残り、作り終えれば完成できるようにしておくので」
いわゆる、組み立て式。おまけに完成をさせれば、それを売るという。売るために組み立てるのをバイトにすれば、ファルミリアも楽できる。
ディアドアもそれならいいなと、腕組みして何度も頷いていた。いくら彼でも、オムツを組み立てるのは余りしたくないみたいだし。
ファルミリアも商品なので、関わらせるのもどうかと思っていたことで、よい案だと閃く。ちょっとした隙間時間にできる。
子供を背負いながら、お小遣いを稼げる。ウィンウィン。というシステムを説明すると、ワッと喜ぶ人達。
もう少しシステムを詰めればすぐにでもやってもらえる。ファルミリアは笑みを浮かべ、オムツについてはもう少し待つようにと言う。
帰ってもらい一息つく。きついレモンソーダはなしでココア。ココアもファルミリアが探して練ったもの。それも、商品化してある。凄く少量だが。殆ど自分が飲む用。
「オムツ、撥水がうまくいったみたいでよかった」
問題はなかったらしく、使い心地も良かったみたい。望まれているのは数なので用意していかないと。
今すぐ販売というのも無理なので並行してやっていく。ディアドアは笑みをこちらへ向けて「バイトはいい手だな」とシステムを褒めてくる。
「家の中でやる隙間の仕事をするってのは、知ってたけどやったことなかったから、今まで考えたことはなかったんだよね」
内職のやり方は、知ってはいたが。それをこの世界でするというところまでは、思い至らなかった。ちょっと、うっかりしていたかな。主婦に隙間時間だけでも働いてもらうなどといった、試み。
「内職って響きはいいな」
ファルミリアとディアドアはお互い、話をしながら内職へのやり方を模索していく。
「リモート内職でもいいけど」
「リモート?」
「通じないから付ける意味ないか……」
ディアドアの顔を見て即諦めた。ファルミリアは気にしないでと笑って次を進める。




