34番人生ゲームを二人でする。後日カードも新発売
別にファルミリアは、会社を経営しているわけではない。
「まぁ、そーなんだけど」
人手がいるから経営者権を持っているだけで、必要がないならばないで。いなくても構わないし。借金を背負わないならばなくなろうと気にしない。
「何を作ったんだ」
普通は社員の生活がと経営者やあの例の叔父は思うかもしれないけれど、会社を作るとそれだけ自由になにか作るということが、やがて難しくなる。
「えっとね」
ディアドアに問われて部屋の棚から取り出す。
「平べったいから場所取るよ。そこに置くね」
「デカいな」
バーンと広げた形状は四角い板。それを床に敷き、円状のものを立てる。この円盤は魔法で勝手に動くから、立ててもいいかなと立体的にした。
「新作ゲームの、人生ゲーム!」
ドドーン、と登場させる。あの有名なボードゲームであった。
「人生ゲーム?」
「うん。普通とツガイ版を作った。やってみる?」
「やる」
目を爛々とさせる彼。意外とミーハーで新しいもの好きなのだ。人生ゲームとは。それについて彼へ教える。
「このルーレットが勝手に回る。そして、駒も勝手に移動。見てるだけでいい。手動モードも付けておいたから、触れる」
「なるほどな。これはすごい。今からやっていいか?」
「いいよ。トゥバ叔父さんがトップじゃなくなって、試供品を試してもらえる当てがなくなったのはちょっと残念だったんだよねぇ」
いつもなら魔法契約をした人たちに試供品を配ってアンケートを取る。それができなくなって、良いのか悪いのか判断できないまま。それで発売しようってのはちょっと不安。
「人数の部分の後に、スタートの部分を押したら始まるよ」
「そうか」
ディアドアはさらっとなんの抵抗もなく、そこに触れてゲームをスタートさせた。やりたくてウズウズしていたのかな。
「なにか起こったりするんだな」
確認のためにちょくちょく聞いてくる。現実に少し干渉するタイプのゲームなので、ランダムに生成されたお題や出来事が目の前で起こっていく。
「番に出会いかけて、すれ違った?」
ボードの内容を読む男は番に出会えなかったことが嫌なのか鼻にシワを寄せる。
「すぐ出会うよりも、焦らすと面白いかなって」
「すれ違いなんて起こらないぞ、現実には」
「それはそれ」
ゲームはゲーム。
楽しませるために作るもの。直ぐに結ばれてはゲームにならない。焦らしがゲーム体験には必要なのだ。そういうことをつい、彼に語ってしまった。が、彼は満足そうに頷く。
「カードゲームは単に知らなかったから興味を持つことはなかった。知ったらすごく、おもしろそうだと、のめり込みかけた」
「!……でしょ!?」
考えたものを認めてもらえるだけで、こんなに嬉しい。ニコニコになるというもの。ディアドアは考えているよりも喜ぶこちらに、酷く驚いていた。喜んでいるのがよほど意外なのかな?
嬉しくなるのはお互い様だ。ニコニコしているこちらが、かなり嬉しいらしくギュッとされる。
「わ」
どうしたのだと聞き出す。
「おれの番は天才だと褒めようかとな」
「え?ありがとう」
思わぬ言葉に目をぱちくりさせた。その瞳に映るのは愛しい彼。相手も蕩けたような顔をさせて、くすくすと笑う。
人生ゲームを進めていくと、どんどん肩書きが豪華になっていく。この仕様はゲームだったら誰でも自由に肩書きを得られることが嬉しいかな、と思って設計した。
ゲームの概念を理解してもらえさえすれば、のちのち、別の人にシナリオを作ってもらうことも検討したい。流石にファルミリアでさえシナリオには苦心した。
考えてなかなか難しいことを知ったものだ。これもそれも、あの叔父がいなくなった弊害かもしれない。いたら、人脈とかで見つけ出してもらえたのに。惜しい人を格下げしたなぁ。悔いはないし、後悔もしてないけど。
せめて、人材を育てておけばよかったかな?人材育成って、文字だけなら簡単そうに見えるのだ。どうやって、そもそも育てると?
知識だけでやってきたので実際育てるとなると全く別物だったりしそうで、手を出す文野にもなかった。内心、悩ましげに唸りつつ、ゴールを目指す。
ディアドアよりも早く辿り着いたコースを見ながら、もう少し改良せねばと腕を組む。
カードについてもなにか、策を講じたい。絵師とか転がってないかなぁ。後日、カードゲームを発売したら、今までのものよりもわかりやすいと人気を博したのだった。
⭐︎の評価をしていただければ幸いです。




