33カードゲームのデザインについて。実力派の新人
「うーん」
紙の上で悩ましげな声が空間に溶ける。只今現在、新しいカードゲームのデザインを考えている。
叔父トゥバの事件を経て改めて戻ってきたことは何の関係もなくちょくちょく、デザイン自体は地味に考えては溜め込んでいた。叔父とは違うシリーズで、売り出そうしていただけである。新しいカードゲームのデザインを前に、コツコツと机を指で叩く。
「どうした」
頭上から声が降ってくる。それと同時にキスが。
「新しいカードゲームのデザインを考えてる」
「ああ。魔法のカードか」
「ディアドア買ったことある?」
「いや、その頃にはそういう娯楽から離れていたから知らない。ギルドでやってるやつは見たことがある」
「そっか。なら、ルールは知らないよね」
「いや?」
ディアドアは自慢げな顔をして亜空間からカードをホルダーする入れ物を取り出す。
「お前が作ったと聞いて。直ぐに買い込んだ」
「大人買いだー。やると思ってたけども」
「ルールも覚えた。誰かとやるってわけじゃないが。お前と会話をするなら、少しでも知ってないとと思ってな」
「ありがとう。私、別に好きとかじゃないよ?ただデザインとかゲーム性を作っただけだから」
トランプゲームを流行らせたからと言って溢れんばかりのトランプ愛があるわけじゃない。
「わかってる。だが、軽く話題に出た時とかな。今みたいに通じる方がいいだろ。通じないより」
「賢い。わかる。通じると話しやすくはあるね」
頷く。
「だろ?」
ファルミリアは自分が少しだけ考えたり関係しているものを、それだけで覚えてくれる真面目な男に頬を綻ばせる。相変わらずかっこいいし。これは惚気ね。
「つい先日は、ギルドで一番強いやつを倒してきた」
「まさかの、実力を引っ提げてきた」
ぽかーんとなる。ファルミリアとて発案者ではあるが強いというわけではない。それに色々掛け持ちしていて、ルールを混ぜてしまうこともあるし。
あまり楽しいと思わない時もある。余計にだからこそ、叔父にノータッチだった。相談されても、楽しさを語れないから。
叔父は関係を築くためにも嗜んでいたらしいが。カードゲームデザインについて頭を悩ませていることを教える。具体的にはどこら辺に悩んでいるのかと、問われると。
「うーん。新しく改良したいかな。もっと細かく魔法で動かしたい。今のゲームの絵柄は少し動く程度だし」
「そうか。それには何が必要なんだ?なにかいるのか?」
「多分、魔法に詳しい専門家」
「お前のトゥバ叔父にはいると思っていたが、いないのか」
頭を振る。
「いるんだけど。今のカードゲームの作業で手一杯だと思う。発売からもう何年も経つのに、人気が続いてるし」
過去の世界のように生産して、大量に作ることは難しい。特に魔法が関与している。コピーして終わり、ということも難しいのだ。やろうと思ったこともあるが、娯楽に終わらない予感がして研究はしてない。
「そうだ。カードでトゥバ叔父さんに言うの忘れてた。大会を開催しようって計画」
「大会?」
「うん。今は個人でやってるけど。ちゃんと景品とか用意して、公式が大会を開くの。強い人や自信がある人を集めて」
「なるほど。剣術大会のカード版か」
直ぐに理解に及ぶ彼は、頭の回転が早い。
「そうそう。それ」
何度も肯定。
「やろうかなって色々考えてだんだけど、具体的に形になる前にああなったから。叔父はなーんにも知らないまま、退場したようなものだからね」
「そうだな。だが、企画部のようなものがあるはず。だよな」
問いかけている時、首を傾げる。
「企画部は、私の案を年々なんとか煎じまくって維持するのが精一杯みたいな部署だから……」
言葉が尻込みする。ディアドアの瞳が剣呑に光る。
「ほぉ。お前を当てにした前提のものか。それはいいことを聞いた」
「いやいや、怒らないで怒らないで。私も納得してちょっとアドバイスして終わるから。完全新作は自分の中で囲い込んでるから、大丈夫」
ファルミリアはまたもや、うーんうーんと悩む。言い終えると同時にやはりこのデザイン性を一新したいと思っていた。
「もし顔を合わせたら許せないかもしれないが、様子見するか」
これからも新しく出すのなら、今までの二番煎じになる。それならば、原形がなくなるようなものを作ればあーだこーだと言われることもない、かも?
「カードゲームデザインは今まで貯めたやつを使うとして、そのカードを使うゲームについては、結構形になってる」
「カードゲームバトル方式ではないのか?」
「違う。それだと、今までと大差ないでしょ」
「大差がないのが、娯楽品は普通だ」
普通は、類似品を販売していくのが、会社を長くやっていくには必要不可欠。




