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恋人に裏切られ番不信になった私の心を溶かして甘く抱きしめてくれたのは  作者: リーシャ


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32/40

32さぁ、ティーパックを狩りにいきましょう。今度こそ皆でね

 初対面で面会したときの傲慢さの理由は、拒否されたショックのせいで理性が飛んだのだと何度も謝られていた。と、聞く。


「お二人にも、怪我をさせかけたことを謝りたいと言ってます」


「いやー、あんなの微風だから気にしないでって、言っておいて。ただ、ディアドアはもし、機会があったら青龍族の城に貼り付けるかもしれないから。偉そうな態度をとったりする隙を見せたら危険って伝えておいてくれる?」


「危険を通りこしたなにかですよね、それ」


 思わず半眼になる少女。


「私に当たりそうになったから仕方ないね。状況的になんだろうと免除まではないってことだろうね」


「苛烈なのはあなたから聞いていましたが、確かに、ディアドアさんは結構過激な方ですね?」


 頷く。


「そうだね。冒険者としても有名なくらい強いから、余計に。なんたって、強いしね。マリノの嫌いな父親もディアドアを相手にしたら街中を最も簡単に、引きまわされて終わるよ」


 からりと笑う。


「強すぎますって、だから。あの人、平民の間ではとても恐れられるくらい強いので。私たち母娘は泣き寝入り状態でした」


 納得。


「やっぱね〜」


「年齢的にもう若くないのでギリギリだったのですよ?下手をしたら殺されてました。危ない綱渡りを彼はしたのです」


 俯くかんばせ。


「だよね。わかる。普通にやられてるよ。でも、流石に王族はって思ったらしいよ?」


「はい。改めて王族に手を出したものとして手配をする準備をしていると話してます」


「マリノはそっちで裁かれてほしい?」


 問いかけてみる。


「どうでしょう。実感が湧きませんね。あの人になにかできる想像もできなかったので」


 手は膝の上で丸められている。強すぎて、倒せるビジョンがちらりとも湧かなかったらしい。


「青龍も例に漏れず強さが正義なところがあるにしても、王族に手を出したらいけないという気持ちはあったみたいだね?」


 ファルミリアはいい気味だと笑みを深める。


「ええ。想像できません」


「謝罪させるとかできるらしいから、させるんだって」


 ディアドアからも情報を得ている。


「ジルステンからその時のこと聞いて、マリノの家族と祝杯上げれば?いえいって」


「祝杯?考えたことなど、なかったですけど……それは、よい祝日になるかもしれません」


 彼女は、両親とお酒を開けて祝おうという案を嬉しそうに笑う。相当、鬱憤を溜めたなー。だとしたら、初手でジルステンを突き放したのも当たり前なことだったのだ。


 順当な反応。寧ろ、罵らなかったのは奇跡だ。きっと、番を見つけた時は強引に脅すような言葉で母娘を追い出したのだろう、と容易に想像が付く。穏便なんて、どこにもなかった。


 やり方さえ間違えなかったら、今頃まだぬくぬくと生ぬるい幸せに浸れていたのだ。酒のツマミにされても仕方ないクズである。その人のことはもう過去になるようなのでと気を取り直して、マリノは紅茶を飲む。


「このアップルティーは本当によいですね」


「味の違いがわかるんなら、持って帰っていいよ。いっぱいあるし。ティーパック狩りで全部取る勢いでもいできたから、たくさんあるし」


「高級なのですよね?」


「高級コースにしたから高級ではある」


「私も、やってみたくはあるのですが値段が結構するらしいです」


「旦那にマネーで払って貰うし強請れば?言わなくても勝手に高級コースにするだろうけど」


 マリノは目元を撫でて、赤くする。


「あの、まだお付き合いもしてないのに。旦那ではないですよ」


「将来のって意味。いいじゃん。デートでそこを設定すれば。そして、ごっそり取れば年中飲み放題だよ」


「付き合ってもない、番の使い方が荒すぎませんか?」


「大丈夫。ちょっとにっこりすれば。ここからここまでって、買ってくれるよ、きっと」


「番に対する認識が逞しい」


「それに、元は取れるでしょ?ガッて取れば」


「全部、ジルステン様頼りですね」


「いいんだよそれで。喜んで、ひと狩り行くよ。男らしさにこだわってたから」


「弱みにつけ込み過ぎでは……申し訳ないというか」


「デートの時点で、過ぎたる幸運みたいに感じてるだろうし。つけ込んでない」


 暫し、じっとして考え込む。上を向きこちらを見てきた。なんだろう。


「あの、ついてきてもらえますか?二人きりは、不安でして」


「いーよ。勿論。そろそろ、レモンソーダ狩りのパンフレット見ながら。行きたいねって言ってたし」


「そうですか。よかった、です」


「レモンソーダについては疑問を抱かないんだね。異世界だからなの?」


 小声でぼそりと言う。


「レモンソーダでいい?グレープフルーツジュース狩りか迷ったけど」


「そうですね。デートが目的なのでその先のものに関しては、深く考えずにいました」


「そこは、好きなものを選ぶと、デートが失敗に終わっても。いい思い出になると思う」


「その強さが羨ましいほどですね」


「そうかなぁ。割と、両極端な好かれ方するから」


 竹を割るほどの分かれ方はしてないけど、このやり方を横暴と嫌う人はいると思う。ひねくれているとも言うし。


「まぁ、引かれなかったらいいかな。ジルステンは微妙だけど、青龍に配慮する意味ないから」


 遠慮したところで、なにも得られない。というわけで我が道をいつも通り行くのだ。


「へくちっ。な、なんだ?」


 どこかの王族がくしゃみをした。

新米番の結末にも⭐︎の評価をしていただければ幸いです

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