27三度目の顔。ボロボロなだけで無事っぽい
マリノはさらに知りたくない要素が増えて、余計に耳に入れるわけがない筈。
「せめて、連絡つけばいいけど」
「そんな便利なもんはないな」
「あればいいのにね」
実母に確認を取ることも検討しなければ、いけないのかも。辛い記憶を呼び覚ますからできれば避けたい案件。
便利なもので思いつくのは電話なんだけど、今のところ開発してはいるが何もできてはない。なかなかな曲者。青龍のジルステンに関しては待つしかなさげ。
そう決まった。
「そんなぁ。ジルステン様になにかあったら」
「あったらって言うけどさ。やりにいくのはあっちで、どっちかというと、その人が起こすから止めようがないよね」
もうおきてるに違いない。従者の男はトボトボと帰っていく。見送って扉を閉めた。祖国に連絡を入れるらしい。猛攻的な主で可哀想だったなぁ。
「なにかした方がいい?」
「手遅れだから無意味だろ?」
ディアドアは言い切る。マリノも思い悩む風だったがどうにもできないことだからと、こちらへなにか相談することもなく、その日を終えた。
ディアドアらは次の日も静観状態でぼんやりと、たわいのない会話をする。
「どうする?瀕死の状態で現れたら」
「仕方ないから、病院に担ぎ込んでやってもいい」
「優しいねえ」
「ふん。まぁな。ツガイの女相手に男気を見せた、見舞いってところだ」
「縁起悪い見舞いで、異世界らしい」
三人でボソボソと話題を変えたりしてその日をまた終える。と、思っていたけど。真夜中にディアドアがファルミリアを起こした。
「ん。なぁに?」
「気配が薄くて分かりにくいが、外に一人、誰かいる」
「怖っ、誰かな」
「まぁ、見に行けば自ずとわかる。いくか?」
「うん。マリノは?」
「刺激が強い可能性もある。見た目をマシにしてから、目の前に突き出せばいい」
「りょーかい」
二人してマリノを起こさないように、足音を立てず外へ行く。ドアを開けてソッと様子を窺う。木の幹にボヤァとした影が座り込んでいた。
「あー、瀕死っていうよりボロボロなだけで、そこまでじゃないかな」
「腐っても王族だから罪に問われるギリギリでやったのかもな?」
「うーん。そっかなぁ」
二人で会話をしながら青龍のジルステンを迎えに行く。
「く……誰、だ」
息が苦しそう。
「マリノと今住んでる。この家の持ち主だよ。とにかく今はウチに入って。マリノも心配してるから」
「気を使うな。私は、私は、ただ番を見に来た、だけで」
対面して話し合った頃よりも、だいぶ傲慢さが抜け落ちた顔つきだ。うーむ、これならいけるかも。ディアドアと共に男の両脇を持ち上げて、強引に家の中へ迎えた。
「や、やめろ。会うわけには。これ以上嫌われたくない。嫌われたくない。やめろ」
「おわ。番のために実父に挑んでいったのに。番に会うのは無理だから、会いたくないって言い出すとは、予想外。もっと全面的に武勇伝引っ提げて、感謝させてものにするかと思ってた」
「おい。番をなんだと思ってるんだ。それはおれのことも含んでるのか?」
「含んでないよ。私の思ってるイメージだから」
「おれは別に、傲慢じゃなかっただろ」
ディアドアが不満そうに言い出す。でも、初対面で結構そうなって当たり前な態度だったような。
「初めて会った時の言葉って、割とさぁ」
「あれは……浮かれてたからな」
「ほら、やっぱりー。浮かれたら、ふわふわになるんじゃん」
「頭の中って言いたいのか?おれだけじゃないだろ?こいつだって浮かれてた結果、つがいに拒否されたクチだ」
「ぐはっ、ち、違う!私は拒否されてなどないっ」
ディアドアが余計なことを言うから足をバタつかせ出した。
「暴れるな」
「効果バツグンすぎて。効き目マシマシなこと言うからでしょ?」
「自業自得だろ」
無理矢理部屋に連行。




