22青龍とツガイの少女。こうなったら最後まで付き合います
思わず自分のことのように同情してしまう。
「一度お母さんと話し合ってみては?」
「でも、父親を奪った女の立場なんですよね、私。言えるかな」
最後は消え入りそうな声。
「別に必ず番と付き合うというわけではないですし、お別れすることも当然選択肢にいれてますか?」
「あ、それもそうですが、あちらは納得してくれそうになさそうですよね」
「関わるのも嫌ですか?」
「八つ当たりと、逆恨みとはわかっていても、別人としてなかなか切り離せないんですよ。父親とは年齢も世代も違うのに」
「それはあなたがまだ父親の件に納得がいってない証拠ですよ。もし、嫌でないなら相手に理由を言えば付き纏われずに済むかもしれません」
それでも、会いたくなさそうにしている。
「私が付き添います」
「え?」
「ファルミリア。いいのか」
ディアドアが問いかけてくる。まだ元婚約者のことでたまに古傷は痛むが、今回のことは他人事ではない。
「番に出会ったからってなんでもかんでも、好き勝手にするのは許せない」
言い切る。
「ファルミリアさんと言いましたか。私はマリノと言います」
「マリノさん。中途半端だと後々思い出すとまたモヤモヤします。それに、今回は当事者になりましたから、最後まできっちり終わらせることを推奨します。私も婚約者がいたのですが、番と出会った途端、婚約なんてしてないと手のひらを返して、突き飛ばされました」
「なんて酷い!」
状況が似ているからか、すぐに理解して彼女は憤る。
「でも、私もその後すぐに番と会って……会って早々罵倒しました」
「え?」
ディアドアに顔を向けたマリノに彼が笑う。
「綺麗な言葉で言うなら、母親の元に帰って眠れと言われた」
それは、凄くよく言えた場合の内容だ。
「そうなんですね」
「でも、一緒に過ごして価値観や性格、相手の心の優しさを知るごとにこの人なら番でなくても一緒にいたいと思ったんです」
「番じゃなくても……」
「今あなたは、番と出会ったことにより甘くて辛い鼓動が胸を襲ってます。それが、番の本能です。それに、嫌悪するのは当たり前です。父親が番に出会ってしまって、母親が不幸になった記憶は無くなりませんから」
友人に言われた言葉を思い出す。
「友達に言われたんです。あなたにとっては最悪な出会いだけど、相手にとっては、人生を変えるような幸福だったんだよって」
「幸運、ですか……確かにあの番は嬉しそうでした」
「嬉しいからです。あなたという愛する存在と出会えたのです。あなたの両親が出会って好きになった。それと同じです。あなたを捨てた父親と同列にするのもいいですが、ご自分のご両親の出会いでもあると思います」
あ、とマリノは口元に手を当てる。目から鱗が落ちそうだ。
「そう言われたら、そうです」
「はい。番も、恋人も相手を好きになることは同じです。あなたの番はあなたに恋をしたってことです」
「本当ですね……父さんと母さんと変わらないですね」
「青龍族の子というのも、向こうからすれば無関係ですけど。そういうことも擦り合わせていって、それから答えを出しても遅くはありませんよ、きっと」
「はい。あの、ついてきてもらえますか?」
怖いのだと呟かれて頷く。ついていくと告げ、己の住む場所を教えて彼女の手を軽く握り一人じゃないからと何度も伝える。自分が乗り越えられたのは家族とディアドア達のおかげだ。
家族があれだけしてくれても、番に対してや、関係することにはとてもピリピリして過剰に反応してしまったけれど。大丈夫、と彼に伝えるとそれでも心配そうに目を細めてくる。
心配させてしまったことに、改めて後で話し合おうと思う。明日、またもう一度会おうと彼女と約束して別れた。
その後、ディアドアに再確認をされる。本当に、関わっていいのかということだ。
確かに番関連は苦手を通り越したものになる。けれど、今回は勘が放置してはいけないといっていた。
「本当にいいんだな?なにかあっても守れる自信はあるけどな」
頼もしい言葉に笑みをこぼす。
「うん。関わりたい。心配なの」
「まぁ、一歩前進したってことか」
番関連に関して、未だ禁忌である。




