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恋人に裏切られ番不信になった私の心を溶かして甘く抱きしめてくれたのは  作者: リーシャ


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01破談になることは村の皆もわかっていた

 ツガイ、番、つがい。この世から切っても切れないコトワリ。初対面で暴言を吐いたのは、初めてだ。しかし、タイミングというのが悪すぎた故に。


「おれのツガイだ。おれと来──」


「女が欲しいならママのオッパイでも吸ってろ!」


 女としてどうとか、どうでも良かった。なんせ、虫の居所とわたしの中の地雷ワードがツガイ、なのだから。


 それをなんの前触れなく言ったのが悪い。暴言を他人に吐くことなど、いつもはしないが。発端は全て、元々暮らしていた村から話は始まる。


 その村で育ち、狭いので皆、顔見知り以上。母親は、村で激レアの扱いである女の医者&薬師。

 現代でいうと、医者と薬剤師とその他の知識を持った村なんかでは勿体ないと、言わざるを得ない立場だ。


 そんな村に住むわたしは、自然と皆子供たちは幼なじみ。そうなると流れるように、誰かと付き合うのは自然の摂理。


 例に漏れず、かなりアタックしてきた子に押されて付き合いだし、そろそろ結婚かなと思っていた。ツガイのことは知っていたが、恋愛結婚だってする人も同じくらいいる。


 あいつ、お前にプロポーズするぞとその子の親が笑って言っていたので心の準備も、ばっちり。さあばっちこいと、待っていた。


「こんにちは。ヤンリです」


 清楚系な女の子が村に来た。わたし達の結婚式の布を下ろしに来た子らしい。気が早い人が呼んだってところか。


 そして、わたしの暫定婚約者一歩手前と運命のツガイだった。ここでの不幸ポイントは、わたし達の結婚式が今の世代で早かったので、結婚について遅かれ早かれ破局は決まっていたかも。


 二人が一目で恋にオチたと知るのは全員だ。なんせ、皆の前で「わたしの……ツガイ?」とか「僕の……なのか?」と熱に浮かされた様子で近寄り、お互い顔を撫であったせい。みんなして、ぽかんとしていた。



 この瞬間、この結婚式はなくなり、代わりに彼女達に奪われることになるのは誰でもわかっていた。

 ツガイ関連にはちゃんと法律がある。双方きちんと納得して、事態をおさめる。


 つまり、彼がツガイを忘れてわたしと一緒になることだって出来た。いくらツガイが居たからって、あれだけアプローチと猛アタックされたのだから、ツガイの衝動を抑える為に行動してくれると、危機感はなかった。


 二人の間に割って入ると、その子とその子を連れてきた人。彼と彼の両親、わたしとわたしの親は家に入った。


「わたし達、付き合ってるんですけど……知ってますよね」


 場の雰囲気が悪く、誰も話さないので話題を持たせるために口を開いた。ここで大切なのは、別にそこになんの感情もなく、話題を出して滑り出しスタートをさせやすくしなきゃ、という気持ちだけ。


 ヤンリはそれを聞くなり、ボロボロと静かに涙を流した。うん、そうだね、ツガイだったけどわたし達婚約者みたいなものだしね。


 ──ドンッ


 ──ドタ!


「いたっ」


 体がぶれたと思ったら、地面に激突していた。何が起こったのかと、上を向く。

 わたしの婚約者は、泣いてるヤンリを胸に抱き「泣かないで」「結婚式なんてしないから」と必死になっているではないか。


 立ち位置的に、こいつがわたしを突き飛ばしたのは明白。周りはなんということをという目を、男に向けていた。


「ソーヤ!ファルミリアちゃんを、突き飛ばすなんて!」


 こいつの親が真っ先に叱る。ソーヤはツガイを泣かせたそいつが悪い、とわたしを睨みつけてきた。ツガイを傷つけるものは、敵だということか。


「わたしって、あなたの婚約者だったよね」


「まだプロポーズもしてない。婚約者ぶるな!」


「は?……アホくさ」


 今までの猛アタックで、いい家庭が築けると思っていたけど、こんな形で破談にしようとするのは。わたしの母も、無の顔であいつを見た。


「では、このお話は白紙ということで」


 母がわたしの傍に立ち、元婚約者未満をキツく見る。


「わたしの娘をコケにした、あなたを絶対に許しません」


 その殺気に部屋に居る全員が震えた。


 その後、元婚約者男とヤンリというツガイ女は片時も離れないまま、破談の契約を結んだ。今後一切、こちらの家系との接触を禁ずる。

 つまり、母は医者なのに医者にかかれない、くすりも売られないという致命的な立場に落とされる。それくらい怒っているわけだ。


 多分、破談になるだけならこうならなかった。突き飛ばした挙げ句、お前とは婚約者ではないと吐き散らかしたから。

 人としての存在を落としたバカ。そう語られる。


 今後一切、彼の親も子供も全員なにかあっても治療出来ないのだから。

 わたし達は憤慨しながら、村に告知するために扉用のボードを作成した。こいつら一族、今日からみないってね。


 わたしについてだけど、紹介が遅くなったが転生した身の女だ。

 母親と父親の知識も持ち合わさり、それなりに戦えるので、狩ったり採取したりして親の苦労を減らしたくて、かなり値段を安くした状態で売れるようにしている、という誰も知らない功労者。


 ひけらかすことをしないので、誰も知らない。知られても、嫁の貰い手ないしと隠していた。けれど、その意味もなくなっちゃった。


 そういえば、向こうの親はなにか言っていたけど……どうでもいい。昔から知っている人でも、いきなり突き飛ばし罵倒する恥知らずと親と関係者なんて、どうでもいい。


 もし、転生してなかったら親心的な気持ちで仕方ないと許していたかもしれないが、今回のことでわたし達のことがどれだけ言われるか。

 医者なので、恐らく責められるのは彼ら。しかし、彼のツガイは商人だ。


 裕福に近い。どっちを取るのだろう。後日、男と女の挙式が挙がるらしい。


 恥知らず一家だったらしい。村で挙げるとのこと。村人は、どうするのかと様子見するような状態でもなく、親に村を出ることを話す。


「わたしもお父さんの居る所に、引っ越そうと思ってたから丁度いい」


 母も眉間に皺を寄せて、ついて行くと言ってくれる。ふむ、あの男と女を地獄に落とす気満々。医者が居なくなれば、それを許せない周りは彼らを追い落とす。


 円満に、破局してればよかったのにさ。わたしだって、たくさん話し合って今後を決めればいいと思っていた。

 けれど、彼の最低の一言に尽きる対処でその未来も失われた。あいつは人ではない、理性を無くした獣だと。


 話し合いが出来ず、暴力に走る奴と理性的にお話し合いなんぞ、出来るわけがないよね。

 結婚式を開かれる前に、わたし達はお父さんの住む街へ移動した。

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