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架空現実

作者: 雨宮千歳

 妊娠した猫の腹部を裂いて、赤ん坊を取り出す夢を見た。猫の腹部からは大量の血が溢れ、色んな臓器がうごめいていた。僕は真っ白な白衣を着ていて、手袋も靴も真っ白く、髪の毛すら白くて、色のない空間と存在に妙な空虚感を抱いていた。

 手の中で瀕死状態の小さな赤い猫を、ぴくぴく呼吸する小さな赤い猫を、僕は静かに見つめていた。ママは、赤ちゃんよりも弱っていた。僕の目線の先で、薄く潤む瞳を開けた寂しげなママは、赤ちゃんを胎内から盗まれた事実を知らずに死んでいくのだろうか。

 生き物というものは果てしなく無力であり、人間というものは果てしなく残酷である。

 夢の中の僕は手のひらに乗った赤いこの子に言葉を吐いた。ただ、それは現実から見つめる僕には理解出来ない言葉で、だけど、夢の中の僕が、僅かに浮かべた笑みに、現実の僕は、理解する。

 彼は、きっと赤ん坊を殺す。


 手を伸ばしても届かないそこに、痛く目を瞑る。夢の中の僕は現実の荒波に揉まれゆく僕よりも、現実の気持ちに忠実で、もしかしたら僕よりも彼はリアルなのではないか、と思う。

 猫の息を止める現実の僕は夢の僕からの泪には決して従わないだろう。



短すぎるので感想くださいとは言いずらいですが・・・。


初投稿なので、これから宜しくお願いします*


なんか何でも言って下さい^^;


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