表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

11 想

 現れたテンポブロッケンの巨大さには想像を絶するものがあった。はじめ、それは半径六十キロ――すなわち高さ六十キロ――の時間風半球のほぼ中央に、ぼんやりとした赤い影として現れた。そして、またたく間に、そのまわりを色彩豊かな原色に染め、急速に膨れ上がっていったのである。観測によると、現在その高さは二十キロにも及ぶ。

「おーきいなぁ……」

 知らせを受けて表に跳び出した関谷典正が、いくぶん陰ったとはいえまだまだ尋常を越える砂漠の暑さを忘れたかのように、そう呟いた。彼の近くいた数十人の各国科学者たちも――なかば放心したように――同様の感想を漏らしていた。

「ぼくたちは蟻ですね。まったく比較にならない。ねえ、そうでしょう、沢村さん? 奈良丸先生?」

 関谷が思わず声を発した。沢村と奈良丸が頷く。

「自然の真の姿には、いつも驚かされます」

 奈良丸が答えた。だが、そういう彼の表情はどこか冴えなかった。

「人間は自然を操ろうなどとしてはいけないんです」

 しばらくしてから、奈良丸がポツリと呟いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ