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ルドルフとソフィア

ルドルフ·ノザム。彼はこのノザム国の第一王子で王太子だ。

筆頭公爵家であるコーラル家の嫡女であるメルティと婚約している。

ふたりの婚約はルドルフがメルティに一目惚れして成立したのは、その夜会に参加していた貴族ならば誰でも知っている程だ。なのにも関わらず、学院へ入学してから彼はとある男爵令嬢と懇意になった。



ー·ー·ー·ー·ー·ー·ー



「ルドルフ様、申し訳ございません…本日は王太子妃教育の予定がございますので…」


学院へ入学し婚約者であるメルティと毎日会えることが嬉しくて堪らないルドルフは毎日何かしらに誘っているのだが、妃教育に忙しいと断られていた。


「王宮へ来るのだろ?ではそれが終わってから茶でもどうだ?」

「お気持ちはとても嬉しいのですが、王太子妃教育がいつ終わるのか分からないのです…

ルドルフ様をお待たせするわけには…」

「どうして、君はそんなに遅いのだ?

教育が始まってから半年以上が経っているではないか。母上はここまで遅くはなかったそうだぞ?

それに君は成績はいいほうなのに時間が掛かるのは何故だ?」

「私が細かい所まで質問するので講師たちも時間を割かなければならなかったのでしょう。」

「わかった。母上に言って学院生活に支障がない程度に妃教育を減らしてもらおう。」

「いえ…あの…これは私の我儘ですので…」

「君は僕の婚約者だ!婚約者と交流を持つのも当たり前だろ!?」


ルドルフの語気が強まるとメルティは縮こまる。


「申し訳ありません…。ルドルフ様の御心遣い感謝いたします。」


深々と頭を下げるメルティ。


「ああ。それでいいんだ。ではメルティ、またな。」

「はい。失礼いたします。」


メルティのカーテシーを見遣ることなく、ルドルフは去っていった。


「なぜ、メルティは俺を見てくれない…?他に好きな奴でもいるのか…

普通なら婚約者を優先してもいいだろう…」


ルドルフがそんなことを考えていたときだった。


「きゃぁ!」


悲鳴が聴こえ、女性と思しき体が階段から落ちてくる。ルドルフは咄嗟に女性を助けた。


「痛っ…くない!?えっ、お、王太子殿下!?」


ルドルフの顔を見て驚く女性。


「大丈夫か?」


抱えていた女性を降ろしながらルドルフは問う。


「大丈夫です。お、王太子殿下に助けていただけるなんて…」

「気にしなくていい。それよりどうして君は落ちてきた?」

「足を滑らせてしまったのです。」

「そうか。君、見ない顔だが名は何という?」

「申し遅れました。ヴォーグ男爵家のソフィアと申します。」

「ヴォーグ男爵令嬢、次は気をつけるように。」

「あ、あの助けてくださったお礼を…」

「礼などいらぬ。人を助けるのは当然だからな。では、失礼するよ。」


ルドルフはソフィアの元から去って行くが、どうも彼女の顔が頭から離れなかった。

それから度々ルドルフとソフィアは遭遇していた。

あるときは図書室の近くで、またあるときは中庭で。

ソフィアは一瞬落ち込んだ表情をみせるが、ルドルフが声をかけるとすぐに笑顔になった。

そんなある日。今日は王太子妃教育が終わったらメルティとお茶ができることになり喜んでいたルドルフだったが、中庭で泣いているソフィアを見つけた。


「ヴォーグ男爵令嬢、どうかしたのかい?」

「王太子殿下…あっ、ご、ご挨拶…」

「挨拶は構わない。どうかしたのか訊いている。」

「…あの…私…とある御方から虐められて…」

「学院で虐めがあると言うのか!?」

「私が、下位貴族だから…」

「誰に虐められたんだい?」

「…」


ソフィアは無言のまま俯く。


「ヴォーグ男爵令嬢、君を虐めたのは誰かは言えないのか?」

「王太子殿下に、ご迷惑が…」

「学院内での問題は解決せねばならない。

君のような可愛い令嬢を虐めているのは誰だ?」

「…とある、高位貴族のご令嬢です…」

「高位貴族が虐めか…しかし、俺に迷惑がかかるということは俺に関係しているのか…?」

「あの…私…」

「また虐められたら俺の所に来るといい。」


ソフィアの頭を撫でるルドルフ。


「殿下…ありがとうございますぅ…。」

「ルドルフだ。そう呼んで構わない、ソフィア。」

「ルドルフ様…。」

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