カイル·コーラル
メルティの兄カイル·コーラル公爵子息のお話しです。
「ん?」と思うこともあると思いますが、
読んでいただけたら嬉しいです。
彼はコーラル公爵家の嫡男で王弟の側近を努めているのだが、本当は永本晴人という転生者だ。
彼は産まれた時から晴人の記憶を有していた。
そのせいで幼少期から頭脳明晰で一目置かれていた。
「カイル坊っちゃん、妹様がお産まれになりましたよ。」
年の離れた妹に会うため母親の部屋に入ると父親が赤子を抱いている。
「母上、出産お疲れ様でした。父上、妹の顔合わせを見せてください。」
父親が妹をカイルに抱きかかえさせる。
「とても可愛いですね!」
「ふふ。カイルはお兄さんなのだから、可愛がってあげてね?」
「はい、母上。それで、名は決まったのですか?」
「ああ。名はメルティだ。」
「……メルティ…。可愛い名前です。メルティ、早く大きくなって兄様と遊ぼう。」
「まあ、カイルったら。」
両親は微笑み合っているが、カイルの頭の中は忙しなくなっていた。
「父上、母上、そろそろ部屋へ戻ります。もうすぐ家庭教師も来るので。失礼します。」
カイルは部屋へ戻るとベッドへ倒れ込む。
「あの天使はなんなんだ!?可愛すぎだろ?新生児なのにあんなに可愛いのってありか!?」
カイルは一瞬でシスコンになった。
「名前まで可愛い。メルティ…メルって呼ぼう!
そうだ、父上に言ってお嫁には出さずにいよう!ずっとこの公爵家で面倒を見よう。そうとなれば家庭教師が終わったら父上に会って話しておこう。」
そうして父親とカイルによって嫁には出さないという同盟が組まれたことをメルティは一生知ることはない。
ー·ー·ー·ー·ー·ー·ー
甘やかしすぎの父親とカイルに時折厳しくする母親のお陰で完璧な美少女に成長したメルティ。
カイルのシスコンにも拍車がかかりすぎた結果、カイルは適齢期を過ぎた公爵家の嫡男にも関わらず、婚約者がいない。が、本人は全く意に介していない様子だった。だがメルティはルドルフ王子の婚約者になってしまった。
「どうにかして、ルドルフとの婚約破棄を…
前世のゲームとかの世界だと学院へ通いだして王子は運命の出会いをするんだよな…
とりあえずそれに期待する意味も込めて、こちらの手の者を側近に忍び込ませよう。」
父親に相談すると伯爵家の嫡男を薦められた。早速彼に会ってみるととても良い人材であり、何か起きたら報告してもらうようにした。
学院へ入学して少ししたときに、伯爵子息から男爵令嬢が不自然に近づいていると報告があったので少し経ってから伯爵子息と面会した。
「その男爵令嬢にルドルフは懸想しそうか?」
「僕が思うには。」
頷きながら伯爵子息が返事をする。
「それから、その男爵令嬢を利用して宰相子息がメルティ嬢を狙っています。」
「チッ!」
カイルは大きく舌打ちをする。
「彼とは幼馴染ですが僕は昔から疎ましく思っていました。が、彼は好意的にみているようで疑いもせず僕に殿下と男爵令嬢の仲を応援しないかと言ってきました。」
「では宰相子息を上手く利用しつつ、ルドルフとメルティの婚約破棄…できるな?」
「お任せください。」
伯爵子息は不敵な笑みを浮かべる。
「お前、本当に腹黒だよな…」
「策士と仰ってくださいませんか?」
「お前ならやれると信じてるぞ。」
「はい、お任せください。」
その後、カイルの思惑通り伯爵子息は周りを誘導してくれたお陰で婚約破棄するとルドルフが言い出してくれたらしい。
「よくやった。」
「ありがとうございます。ですが、メルティ嬢が可哀想かと…」
「そこは大丈夫だ。お前には話していなかったが、メルティには私の主がついている。」
「スペンサー公爵閣下がですか!?」
「ああ。ふたりは想い合っているのに、いろいろな柵を理由に離れたんだ…」
「そんなことが…では、カイル様がメルティ嬢のために動かれたことは?」
「知っているのは父上と執事長とお前だけだ。だから墓場まで持っていけ。いいな?」
「承知しました。」
そうして、メルティはルドルフと婚約破棄し、少ししてからレイモンドと婚約することができた。
レイモンドの側近としては喜ばしいが兄としては複雑だった。しかし天使の笑顔が見れたから素直に祝福したカイルだった。
2つ同時にアップさせていただきました。
後はメルティとレイモンドの話しを頑張って書いてます!




