幸せ
メルティとレイモンドが婚約してから一年が経過した。
メルティはレイモンドから婚約破棄から今現在に起きたことを聞きながらお茶をしている。
まず、ルドルフは婚約破棄を公衆の面前で行ったことは許されないことだと国王に叱られ王太子の身分を剥奪された。それを知ってメルティはとても驚いていた。
勿論側近たちにも咎めがあり、それぞれの家が息子の再教育に力を入れろと王命が下った。
宰相子息が勘当寸前のところだったことはメルティは知らない。
ルドルフは先代王弟の公爵家へ勉強に通ったり、騎士の訓練に参加して心身共に鍛えていると聞いたときは
「殿下に出来るかしら…」とメルティは心配な表情を見せた。
彼女の懸念通り、今まで遊んでいたツケなのかなかなか思うようにはいかないようだ。しかしながら心を入れ替えて取り組んでいるとレイモンドが話すと少し嬉しそうにしていた。
メルティの嬉しそうな表情を見てレイモンドが嫉妬したのは言うまでもない。
ソフィアは王族への虚偽が公になってしまい、ヴォーグ男爵家は爵位を返還し男爵夫妻は平民へ。元々、叙爵されて男爵になったのでそこはあまり気にしていないらしい。ソフィアは帝国の修道院へ預けられることになった。
「どうしてよ!私は被害者よ!ルド様と結婚するのはこの私よ!ヒロインは私なのよ!?」と最後まで訳の分からないことを言って抵抗していた。
「どうして、帝国の修道院なのですか?」とメルティが質問するも、レイモンドは「さあ?」としか答えなかった。
メルティを冤罪で嵌めた女を帝国は簡単には赦さない。ということをレイモンドたちは知っているが、これはメルティには秘密だ。
ー·ー·ー·ー·ー·ー·ー
麗らかな春の日。メルティとレイモンドの挙式の日を迎えた。
「メル、とても綺麗だよ。」
「ふふ。レイ様も素敵ですわ。」
純白のウエディングドレス姿のメルティは女神でも跪くレベルだとレイモンドは思ったが、彼女の顔が真っ赤になってしまったら、挙式をせずに彼女を閉じ込めておきたくなるのが想像できたので、言わないでおいた。
「レイモンド様、メルティ様、お時間です。」
スペンサー家の執事長から声がかかったので「では、先に行っているよ。」とレイモンドが大聖堂に入っていく。
「メルティ…」
彼女に声をかけたのは父親であるコーラル公爵だ。
「お父様、今まで育ててくださってありがとうございます。」
「メルティ、幸せになるんだよ?」
「はい…。」
父親とヴァージンロードを歩く。父親の目には既に涙が溜まっているようだ。
大神官の前で誓いの言葉を交わし、結婚誓約書にサインをする。
「ここにレイモンド·スペンサーとメルティ·コーラルの婚姻を神の御名のもと認めるものとする。」
「ふふ。レイ様、気づいておりますか?」
「何をだい?」
「私たち、まだ一度も…」
メルティが言葉を続けようとすると唇が重なった。初めての口づけはふたりを満足させる。
しかし…長い…角度を変えて数回も口づけを交わす。
大神官が咳払いをするのでやっと唇が離れて、レイモンドは悪戯っぽく笑う。
「メルティの唇は甘いね。こんなに甘いなら想いを告げたときにしておけばよかった。」
「レイ様ったら!」
真っ赤な顔をして彼を見上げるメルティに、そんな彼女を見て楽しんでいるレイモンド。
ふたりの姿を目の当たりにした参列者は何を見せられているんだろう?といった表情だった。
大聖堂から出ると参列者からのフラワーシャワーが行われた。
「とても綺麗…。このフラワーシャワーは異国の文化なのでしょう?」
「そうだよ。この国ではまだ俺たちが初めてやるのではないかってカイルが言っていたよ。」
「そうなのね。ねえレイ様、私とても幸せよ。」
「俺も幸せだ。この先、どんな困難が待ち受けていようとも、ふたりで乗り越えていこう。」
「はい。ふたりなら乗り越えていけますわ。」
「メル、愛している。」
「レイ様、私も愛しています。」
ふたりはもう一度参列者の前で口づけを交わす。
甘い甘い口づけを止める者はいないほどにふたりはふたりだけの世界へ入り込んでいるようだった。
メルティとレイモンドの物語はこれにて終了です。
異世界とか爵位とか全く理解していない私の稚拙な文章を読んでいただき、ありがとうございました。
(これで3作品目ではありますが、まだまだ訳がわかっていません…)
そして、一応は完結にしますが、メルとレイ以外のキャラの話しを構想、作成しています。
ふたりの後日談もできたら…と考えています。
お待ちいただけたら嬉しいです。




