解説&裏話
※注意
これを読むと、キャラクターの印象を変えてしまう恐れがあります。
キャラクターのイメージを変えたくない方や、解説などに興味がない方は閉じて頂けると嬉しいです。
また、基本楽しい話はありません。ご理解頂けた方のみお読みください。
・真白 柚花/ユズについて
ユズは生前、作中で本人が言っていたように悩み、苦しむことの多い人生を送っていました。
そしてその感情は本人が思っていたよりも強く、それは柚花が事故で死んでしまった時に密かに爆発していました。
ユズは元々はただの浮遊霊でしたが、内側に強い感情が根付いていたので十分に悪霊足り得る素質がありました。
もっと遊びたい。恋人も欲しい。あれもしたい、これもしたい。もっと自由に。もっと……と、そんな欲は幽霊となったユズの中で密かに芽生え、本人の預かり知らぬところでスクスクと成長していきました。
そしてユズは、ある日偶然ハルに出会います。
欠けたピースがハマるように、欠けているものが多いユズに"ハル"という存在は見事にハマりました。そしてハルもまた色んなものが欠けてしまっていたので、"ユズ"という存在を割とすんなりと受け入れる事が出来ました。
そして、ユズの心の内にある欲は更に強いものを求め出しました。友達よりも更に濃い存在が欲しかったので、その役割をハルに求めたのです。
情熱的に、だけど自然に、ユズはハルを口説いていきます。そうしてハルが段々と絆されていくのを感じ取って、喜んでいるのが12話目です。
この頃から、ユズはハルに対して恋愛感情を抱いていると自覚しています。だからこそハルにキスをされてとても心が踊ったのに、それが自暴自棄による衝動的なものだと発覚し、怒り狂います。
そこで初めて内側で止まっていた欲が表に出てきます。悪霊として初めて開花した瞬間です。
ユズは恋愛をしたことが無かったので、恋愛に関する感情が全て初体験です。なので理性的になれず、感情をそのままに溢れさせハルにぶつけます。暴走に近いと思います。
それはいわば呪いや洗脳にも近いもので、当てられたハルは徐々に暴走したユズが求める通りの行動を取るようになります。
暴走が解けても記憶には残ります。自分が、ハルに害する者に何をしようとしたか、そしてハル自身にも何をさせようとしていたのか全て思い出し、自分が恐ろしい存在になったのだと理解しました。
自分が怖くて堪らないユズは思わずハルに助けを乞い、悪霊のユズに半分洗脳されているハルは百点満点の答えをくれました。
こうしてユズはハルを手に入れました。
その日からユズは満ち足りた生活を送っていました。しかし満ち足りてしまった為に、ユズは満足してしまいました。心の内にずっとあった欲が無くなったせいで、ユズは現世に留まる力が無くなったのです。
今までも、ユズが薄くなったり一瞬消えかけることは何度かありました。あれはユズの欲が一瞬満たされた時に出るものでした。しかし今回は別で、ハルに愛してるとも言われ、もう完全に満足してしまったのでユズは現世に留まれなくなり、空の上からハルを見ることしか出来なくなりました。
この時にハルを一緒に連れて行かなかったのは、まだユズが悪霊として未完全であり、ユズの中に僅かに残っていた良心がなんとかその行動を止めたからです。
本当は寂しくて仕方ありませんでした。だからハルをずっと見ていました。
ハルが自分の住んでいた場所に近付いた時、自分の母親と出会った時、そして自分の部屋に入った時。
嬉しくて嬉しくて、ずっとそこにいて欲しいと思いました。
でもハルは違いました。ハルは、ユズを置いて前に進もうとしました。
許せませんでした。私はずっとハルのことが好きなのに、もう過去にされたことが許せなくて、もうなくなったと思っていた力が溢れてきました。
それを、ハルに使いました。
その瞬間、ユズは完全に悪霊になりました。
思うままに力を使い、ハルにも自分と同じ存在になってもらおうとしました。そして冷静になる頃には、ハルはもう既に虫の息でした。
沢山後悔して、沢山泣いている時にハルが目の前に現れました。ユズの力でこちらに呼び寄せました。しかしもう顔も見れません。
なのにハルは怒るどころか、自分を慰めてくれました。そして許すと言いました。
こうして、ユズはハルを完全に手に入れました。
・梵 楽について
梵は昔、大切な親友を悪霊のせいで失いました。しかし正確にいうと、梵を襲おうとしていた悪霊から梵を庇ったせいで親友は死にました。
梵のオッドアイの白茶色の方の目は色んなものがよく見えてしまう特別な目であり、そしてその色んなものとは主に霊のことを指しました。
そのせいで梵はよく霊と目が合ってしまい、もちろん無害な霊であれば何も起こらないのですが、悪霊は自身が害されると思うのか問答無用で梵を襲いにきました。
しかし、梵を救ったのも霊でした。梵が昔飼っていた猫が死後梵の守護霊となり、梵のことを守っていました。
話せるようになった猫はなかなか小生意気な口調の奴でしたが、梵を赤ちゃんの頃から知っている猫にとって梵は弟のようなものなので仕方なく、また梵もそんな会話に心地よさを感じていました。
悪霊はいろんな所に蔓延っています。そんな悪霊に襲われる人を減らす為、大人になった梵は占い師として活動しつつ、除霊活動も行っていました。親友の時のような悲劇を繰り返さないためです。
そんな時、厄介そうな悪霊に取り憑かれている少女を見つけました。夏の暑さにやられた訳ではなさそうなぼんやりとした瞳に緊急性を感じずにはいられず、すぐに声を掛けました。
声を掛けるだけで威嚇してくる悪霊に更に危険を感じましたが、目の前の少女には自分が危険人物だと思われてしまいました。怪しすぎて、相棒である猫にも「ほら見ろ。怪しまれているぞ。逃げられる前にさっさと本題を切り出せ」と呆れられる程です。
なんとか少女と連絡を取り合えるようになったものの、連絡を待っていた間にもう手遅れになっていました。
その少女が死んだことを梵が知るのは、もう少し先の昼にやっているニュースの速報でのことです。
・花崎 雛乃について
雛乃は純粋で、流されやすい子でした。なので別に、同性愛に対して偏見など持っていませんでした。そもそも存在を知りませんでした。
高校に入学し、知らない子が沢山の教室にとても緊張していた雛乃は、自己紹介の時にある女の子と出会いました。それがハルです。
「氷上 陽」という名前が、まるで雪解けの春を表しているようでとても綺麗だと思い、そんな綺麗な名前に負けない綺麗な女の子のことが何故か気になるようになりました。
その日から雛乃は毎日必ず一回はその女の子を目で追うようになり、ある日、その女の子に告白された時はとても驚きました。そして、とても嬉しいと思いました。
嬉しいのですが誰かと交際するのは初めてのことなので返事に躊躇い、そんな雛乃を気遣って女の子は返事を待ってくれました。
雛乃はとりあえず告白されたことに舞い上がり、その足で友達へ相談に行きました。しかしその友達は、話を聞くと眉を顰めて「気持ち悪い」と言いました。周りの人もそれに賛同していました。
雛乃は驚きで言葉を失いました。知りませんでしたが、同姓同士で交際することは少なくともこの子達にとっては受け入れ難く、嫌悪の対象になってしまうようです。
口々に悪口を言う友人達は、やがて雛乃にも意見を求めるようになりました。雛乃は突然向けられた視線の鋭さに戸惑い、その悪口に思わず賛同してしまいました。
その日以降、雛乃は賛同してしまったことへの罪悪感や告白に喜んだ自分は嫌悪の対象になるのかを悩むようになりました。
悩みながら曲がり角を曲がった時、誰かにぶつかりました。あの女の子でした。
雛乃は心配して差し伸べられた女の子の手を思わず払ってしまいました。傷ついたような女の子の表情に、罪悪感に心が押し潰されそうになりました。言葉に詰まり、涙を流しながらなんとか謝ってその場を走り去った雛乃は、隣にいた友人達の鋭い視線がその女の子へ向けられていることに気付けませんでした。
帰宅してからもあの女の子の表情が忘れられず、悩み泣いて夜を明かす頃にはすっかり風邪を引いてしまっていました。
この風邪が治ったらあの女の子にもう一度謝って、告白の返事をしようと思っていました。しかし風邪の正体はインフルエンザで、完治するのに一週間も掛かってしまいました。
寝込んでいる時も度々友人達とは連絡を取り合っていました。そのメッセージの中には「私達が雛乃を守るからね」「安心して戻ってきてね」なんて内容もありましたが、意味がよく分からなくて首を捻りました。
ようやく完治して、雛乃は学校に戻ってきました。しかし女の子の姿はどこにも見当たりません。友人達に何か知らないかと聞いても、皆体調が悪いんだろうと答えました。
女の子の体調が回復したら返事をしようと思いましたが、その女の子が戻ってくることはありませんでした。




