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おっぱいとしか喋れなくなった勇者に世界は救えるのか?  作者: らいとふっと


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33/89

義姉、決断する(チョロい)

 

「そんなの、無理に決まってるでしょ!」


 マノンが告げた戯言に対し、強く反論するサラ。

 たった一日でシグネより強くなる、そんな夢物語を信じられる訳がない。

 ましてや、相手は世界に三人しか居ないプラチナ級冒険者である魔法戦士。

 そのシグネがどれだけ凄いのか、サラは実際に目の当たりにしているのだから。



「それが、出来ちゃうんだなぁ! サラお姉ちゃんの覚悟次第で……ね?」


 薄気味悪い嗤いを崩さず、そう囁くマノン。



「アンタが何を企んでるのかは知らないけど、私はこれ以上……クレイに迷惑を掛けたりしない! だから……もう帰ってよ!」


「頑固だねぇ。 でもね、サラお姉ちゃん? もしもシグネの奴が、何かの意図を隠しているとしたら?」


「何かの……意図? 何を言ってんのよ?」


 マノンは真顔に変わり、サラの顔を見つめる。



「この大陸のダークエルフって種族なんだけどね、現在では生き残っているのって……たった一人だけなの。 その昔、先代の魔王に(くみ)したダークエルフ達は……」


 マノンの話に、サラは静かに息を呑む。



「とある人間によって集落ごと焼き払われ、一族郎党全てが皆殺しにされたんだよ。 その唯一の生き残りこそ、あの女。 そして、その人間こそ……先代の勇者……!」


「それじゃあ、昔の勇者が……ダークエルフを……滅ぼした?」


 復唱するかの様に、思わず呟いてしまったサラ。


 もしもマノンが言っている事が真実であるなら、勇者であるクレイにシグネが近付いた理由は……?



「今、サラお姉ちゃんが考えている通りだよ? だから、誰かがクレイ様を守ってあげなきゃいけないと思うんだぁ、寝首を掻かれない様にさぁ〜」


「それならアンタが! アンタがクレイを守ってあげてよ! 魔女だか何だか知らないけど……アンタなら出来るんでしょう?」


「だからぁ、それはサラお姉ちゃん次第だって言ってるじゃん! お姉ちゃんが金輪際クレイ様を諦めるのなら、勿論あたしがやるよ? せっかくチャンスをあげようと思っただけなのに、見ず知らずのあたしに委ねちゃっても良いのかなぁ?」


「そ、それは……」


 嘘か真かは解らない。

 こんな話、どう考えても胡散臭い。

 だが、これは神様が与えてくれたチャンスである気がしないでもない。

 そんな葛藤がサラの頭の中をぐるぐると回る。



「ねぇ、どうする? サラお姉ちゃん?」


 マノンの妖しげな表情を凝視しながら、サラは遂に決断した。



「で、どうすんのよ? 私が一日で強くなれる方法ってのは」


「流石はサラお姉ちゃん! 純愛に生きる女! あたしの目に狂いはなかったぁ!」


 なし崩し的に決意をしたサラに、歓喜の声を上げながら抱きつくマノン。



「じゃあ、先ずは眠っちゃいましょうか? 今から睡眠学習ってやつを施してあげるね……」


 耳元でマノンがそう囁いた直後。

 サラの意識は遠退き、その身体は力無くパタリと倒れ込んだ。


 サラの身体を引き摺ってベッドに運ぶと、マノンは部屋の中を見回す。


 机の上にはマノンが探していた物は無かった。

 次に目に入ったチェスト。

 引き出しを開けると、それは簡単に発見出来た。



「そうそう、これこれ!」


 それは、猛毒が塗られたナイフ。

 聖女ナリアが居なければルーネを殺めたであろう、あのナイフである。


 鼻唄混じりに、ベッドの上で昏睡するサラの手にそれを握らせるマノン。



「それでは、世界最強のアサシン育成計画……始めちゃうよぉ!」


 静かに寝息を立てるサラを見下ろすと、マノンは何かを詠唱し始めるのだった……。

チョロいw

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 サラさん……なんという成り上がりメンヘラ主人公‼ 愛を取り戻せっていう言葉が浮かびますね。 まさか、寝取られるのがクレイ君側だったなんておっぱいおっぱい言ってた頃には…
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