まさかの、絶体絶命(魔王が)
そして、ナリア達は遂にやって来た。
そこは城の最上階にある広間。
此処までの城内は廃墟の様になっていたが、この広間だけは荒れ果てる事もなく綺麗なままであった。
奥に見える玉座からして、かつては皇帝が鎮座する間であったに違いない。
この最上階に来るまでにも、アーク・デーモン、ヴァンパイア・ロードといった最強クラスの敵が行く手を遮ったが、やはりナリアによって瞬殺されていた。
「だ、誰も居ませんねぇ……?」
「まさか、ナリアさんの強さにビビって、流石の魔王も逃げちゃった……とか?」
閑散とした広間を見渡しながら、ティアとサラが口を開いた。
しかし肝心のナリアは何も言わず、玉座がある方に向けて歩みを進めて行く。
「隠れていないで、出て来ては如何ですか……?」
凛としたナリアの声が広間に鳴り響いた、その瞬間。
玉座の後ろから現れた気配。
何者かが、段上の玉座から素早く駆け降りて来る!
そして、ナリア達の目に映ったのは……。
「っサーセンしたぁーーーッ!!」
そう叫びながらの、スライディング土下座……!
床に頭を擦り付けて謝罪を行う、一人の男。
「貴方が……魔王なのかしら?」
突然の土下座に驚きもせず、ナリアは土下座する男に向かって歩み続けながら訊ねる。
「ハイッ! 俺が……あ、自分が魔王っす! サーセンッ、ホントにサーセンッ!」
自ら魔王と名乗った男は頭を上げる事もなく、そう答えた。
「あれが、魔王……なの? 何て言うか、普通の人みたい……」
「何だか魔王、ちょっとチャラい系だねぇ……」
「カッコ悪いですね……って、油断は禁物ですよ! ま、魔王なんですからっ!」
魔王によるスライディング土下座を見て、ナリアの後ろに控える三人も思わず減らず口を叩いてしまう。
「では、この都を壊滅させたのも、貴方の仕業によるもの……で、間違いないのですね?」
魔王の近くまで歩み寄ったナリアが、彼を見下ろす形となった。
「あ、えっと……サーセン! 何つーか、その……間接的に……つか、そんな感じで」
土下座魔王の返答に、溜め息を吐くナリア。
「とにかく、貴方を赦す訳には参りません。 聖女として……いいえ、人間として断罪します!」
「や、やっぱり殺されるんスか、俺……!」
「当然です」
「俺、もう何もしませんから……赦すって方向には……」
「有り得ません」
「マジっすか……!」
「はい」
土下座魔王による懇願も、受け入れられる事はなく……ニッコリと微笑しながら、そう言い放つナリア。
「それでは、裁きを受けて頂きます」
「え、ちょい待っ……」
有無を言わせず、唐突に始められた処刑の時間。
「聖光の刻印!」
「グ、グギャァァァーーーッ!」
苦しみ、悶え始める魔王。
その身体は聖なる光に包まれてゆく。
「直ぐに殺しては犠牲になった方々も浮かばれません。 じっくりと地獄に送って差し上げますわ」
「痛え痛え痛え痛えーーーッ!」
こうして、一方的な嬲り殺しが始められたのである……。




