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不協留学  作者: 玲於奈
87/146

サングリア

なし

寒さは

それほどでもないが

昨日の雪がのこる

道路


そして

クリスマスイブの

教会


そこに

集う人々


老若男女


たくさんの人たち


私がベアーズデンで

買い物をするときの

なじみの顔も見える


お菓子屋のおばさん

カメラやのおじさん

いつも

ウイスキーについて

熱弁する

酒屋の若旦那


バーの

バーテンダー。


いついっても

私を中国人と

間違え


髪をめちゃくちゃ

短く

刈る

床屋のおじいさん


さまざな

顔ぶれ


でもそれは

いつもなじみの人たち


どこかあたたかい人々


私がスイス人の

メンバーと

おそるおそる

教会の前庭に

足を踏み入れるも


おこったり

文句をいったりは

なかった


みんなが

あつまっている


火がたかれて

そこに

鍋がかかっている


甘いにおいがする


一人の老婆が

鍋からよそって

わたしに紙コップを

わたしてくれた


スイスの人たちも

次々と

わたされる


飲んでみる


どこかで

飲んだ味


そうだ

スペイン棟の

みんなが

週末によく作っていたお酒


私もまぜてもらって

パーティで飲んだ


いろいろな果物

ワイン

リキュールをいれたもの


とても甘くて

おいしかった


そのお酒


老婆が

嗄れ声で言う


「サングリアを飲んで

 温まれ」


ありがたい。


ワインを温めてのむと

美味しいが


サングリアも

とてもおいしかった


何より心にしみた


教育実習で

遊んだ子どもたちが


木の周りを

走り回っている


子どもたちも

何か手作りの

お菓子やケーキを

もらっているようだ


みんなにやさしい

クリスマス


スイスのメンバーが

中をのぞいていくかと

私に聞いてきたが


断って


一人


大学、寮に

戻ることにした


帰るとき


鍋の周りに集まる人たちに

丁寧にお礼をいった


子どもたちが


「バーイ、TAIYOU」


と手をふる


他の先生には

ミセスとかミスをつけて

敬語なんだけどな


と苦笑する


いつのまにか

空に星がまたたいている





なし

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