神様の思し召し
なし
なんと神様は
粋なはからいを
するのであろう
その日の夜から
雪が降り始めた
スイスチームの
寮を出て
一人
とぼとぼと
寮に帰るとき
雪が静かに
降っていて
驚いた
そんなにボタボタとは
降っていない
地面も
うっすらと
積もる感じ
東京で
ちょっと
降っちゃったけど
電車止まりました
みたいな雪
そして
自分の寮に戻る
部屋の明かりはまったく
ついていない
今さらながら
どんなに
お酒を飲んで
遅く帰っても
そういえば
寮は開いていた
一度
車が通るゲートの
ところに
夜は守衛さんがいて
出入りを見張っていて
驚いた
だから
寮は施錠されないのか
今はただ
ひとりぼっちの
寮がさびしい
一人寝る
酔っぱらっていたので
カーテンを閉めずに
寝たらしい
すごく明るい
次の日は
おそろしく
晴れた
空の青い、そして、
どこまでも空気が
澄み渡った日だった
部屋の窓からは
外が
きらきら光り
向こうの山では
なんと
スキーをしていた
はじめてその山が
何か知ったが
大学の寮の広い
ただひたすらに
何もない
芝生。
道路をはさんで
敷地の向こうに
民間のスキー場が
あった。
年末にオープンできない時も
あるらしい
おめでとう。
オープン。
まさに、神様の思し召し。
小さい山だが
簡単なリフトだが
色とりどりの
蛍光色の
防寒着を着た子どもたちが
スキーをしている
まさか
自室からスキーを見るとは
それにしても
すばらしい
冬の1日
今日は夕方から
大学のある
小さな町の
フランス料理屋さんで
ディナーを食べる。
なし




