クルージング
なし
ポンポンという
軽快な
エンジン音。
白い天井を
みながら
昨夜のことが
少しずつ思い出されていく
そうだそうだ
酔いに酔い
絶好調に
なったところで
明日はどうするのかの
話になり
「ロッホローモンドを
クルージングしましょう」
「私、しぶーーーい。
いい船持っているんですよ」
アランさんが
屈託なく笑った。
よっぽど
積もっていたものを
私に話して
すっきりしたのか
はたまた
いやな奴の
もらい物のワインがなくなって
せいせいしたのか
アランさんのテンションは高い。
さあ、果たして
翌日
クルージングなんか
いけるのか
そんなことを
思いながら私の記憶は
そこでない
うすい白の霧の中から
アランさんがぬっと
顔を出す。
「た、い、よ、う。
はわゆう。
気分はどうだい。
ガイズ」
今日も朝から
気分は絶好調のようだ
「太陽がテーブルで
そのままうっつぶして
寝ていたんで
そのままに
していたが」
「今朝6時の出航にあわせて
ガイズ。
俺がおぶって、船に
のせてやったぜ」
アランさん
あんたもタフですね。
あれだけ飲んで。
さらに、
私をおぶって
乗せるとは
というか
そんなに朝早くから
クルージング
しなくてもいいんじゃないすか
と心の中で思うも
「ナイス グッドデイ」
と
この白い霧で
どこがグッドデイなのか
私も相当酔っている
「本当だと
私が運転するところだが
今日は
湖の説明やら
釣りのことだとか
教えるので
近所のじいさんにきてもらったよ」
なんと釣り。
はたして
この白い霧の中。
そして、
透明度のない湖面に
魚はいるのか
なんだか
ネッシーはいるか
探検隊の様相。
そうか
アランさんが言う
クルージングは
釣りのことだったんですね。
まあ、それにしても
しぶいポンポン船で
釣りですね。
がくっと
顔が落ちて
まだまだ寝ていたかったなあと
気もそぞろ
なし




